ECサイトで希望する決済手段が無ければ約50%が離脱【ネットプロテクションズ調べ】

ECのミカタ編集部

株式会社ネットプロテクションズ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:柴田 紳)は、実店舗やネットショップでの「決済ニーズ」に対する調査を実施しました。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

調査名:実店舗やネットショップでの決済ニーズに関する調査
調査方法:弊社独自のインターネット調査
調査期間:2019年12月18日~12月25日
調査対象:20代~50代の男女 945名

※決済ニーズとは、どの決済方法を利用したいか、それぞれの決済方法にどのような利用動機があるのかなど決済方法に関わる消費者の要求全般を指す。

ECではカード、街では現金を使いたい

ECではカード、街では現金を使いたい

「普段、利用したい決済方法を選んでください。(複数選択可)」という質問に対しては、(Q1. )町でのお買い物の場合は1人あたり平均2.7種類、(Q2.)ネットショップの場合は平均1.6種類の決済方法を選択した。同社では消費者はそれぞれがメインで利用する決済方法を持ちつつも、場所や状況に応じて第2、第3の決済方法を使い分けていることが推測できるとしている。

Q1.「普段、利用したい決済方法を選んでください。(複数選択可)」という質問に対して、「スマホ決済」のいずれかを選択した人は全体の33%という結果になった。「スマホ決済」がこの数年で拡大を始めたサービス群であることを鑑みると、33%という数値は高いと考えられるが、現段階では消費者の大半が使用したいと考えるほどの決済方法ではないようだ。

またQ1.で「現金」を選択した人に対して、Q3. 「どんな状況や選択したい理由があると思いますか?共感できるものを選んでください(複数選択可)」という質問に対しては「支払った感覚がほしい・使いすぎの防止」が44.8%で1位、「支払いが楽・便利だから」が33.2%、「支出の管理が楽・便利だから」が28.4%、「クレジットカードやスマホ決済の情報漏洩や不正利用が心配だから」が27.5%となった。支出額が目に見えにくい決済方法に関して、浪費の不安を持つ消費者が多く存在すると考えられるとしている。

スマホ決済の魅力はポイント還元

スマホ決済の魅力はポイント還元

Q1.で「スマホ決済」のいずれかを選択した人の利用動機は、「ポイント制度等があり現金よりお得だから」が63.1%で1位という結果になった。2位の「独自のキャンペーンが特にお得だから」という回答と合わせて「お得」の少なくとも一方を選択した人は83.4%にのぼる。同社では「スマホ決済」は「お得さ」を求める層が中心となって利用していると推測している。

また「後払い」は「手元にお金がなくても利用できるから」が40%で1位、「購入後に支払いたいから」が35.8%で2位になった。同率3位には33.7%で「支払いタイミングを自分で決められ便利だから」「ポイント制度等があり現金よりお得だから」、5位は「請求書で支払った感覚を残したいから(22.1%)」という結果になった。実店舗での後払い決済は、クレジットカードを持たない層の「支払いを後日にしたい」というニーズを満たす新たな決済手段であると考えられそうだ。

希望する決済手段が無ければ約半数が離脱

希望する決済手段が無ければ約半数が離脱

Q2.で「クレジットカード」を選択した人の利用動機は、「支払いが楽・便利」が52.2%で1位、「どんなサイトでも使える」が49.8%で2位という結果になった。その他には「商品がおかしい、届かないときに補償してもらえるから」という回答などがあった。

またQ2.で「後払い」を選択した人の利用動機は、「商品が届いてから/利用してから支払いたい」が52.7%で1位、「支払いタイミングを自分で決められ便利だから」が35.1%で2位という結果になった。ほかにも「請求書で支払った感覚を残したい」(22.1%)「はじめてのお店でカード番号を入れたくない」(20.6%)など、ほかの決済手段では満たしにくい多様なニーズを満たせるため、利用されていることがわかった。

その他、「代引き」の利用動機は「支払いを受け取りと同時にしたいから」が47.9%で1位、それ以外に「現金で支払いたい」「カードやスマホ決済の情報漏洩や不正利用が心配」という声も上がったようだ。「スマホ決済」の利用動機は「ポイント制度等があり他の決済方法よりもお得だから」が74%で1位と、実店舗と同じく「お得さ」が強い利用動機であることがわかる。「前払い」に関しては、12.7%が「利用したい」と後払いの次に多く回答を集めており、支払いが完了していない状態に不安を感じる層が「前払い」にニーズを感じていると考えられそうだ。

さらに「初めてのお買い物をするネットショップで希望する決済方法がなかったらどうしますか?」という質問では、「購入を迷う」が37.4%で1位、次いで「希望の決済方法がある別サイトで購入する」が27.1%、「購入しない」が22.2%、「別決済手法で購入する」が13.3%という結果になった。

希望する決済手段がない場合には、約半数がそのネットショップでは購入しないという意思決定を下していることが分かる。消費者それぞれの決済ニーズを満たすことは、消費者だけでなく事業者にとってもメリットがあると言えそうだ。

まとめ

調査結果にあるように利用したい決済は、町でのお買い物で平均2.7種類となり、ネットショップで平均1.6種類だった。また町でのお買い物でスマホ決済を利用したい人は33%だった。それぞれの決済方法において、「支払った感覚がほしいから」「支払いが便利だから」「お得だから」「支払いタイミングを自分で決めたいから」などニーズは様々であることが分かった。さらにはじめて買い物をするネットショップで、希望する決済方法がなかった場合、「購入しない」 「希望の決済方法がある別サイトで購入する」「購入を迷う」が86.7%だった

同社では調査結果を付けて次のように述べている。

「今回のアンケート調査の結果から、消費者は希望する支払いのタイミングや利用場所などそれぞれの状況に合わせて決済方法を変えており、どの決済方法にも異なるニーズがあると推測できます。特定の決済に利用を集中させようとするのではなく、『ユーザーファースト』という観点で個々人にとって利用しやすい決済サービスを拡充させていくことを業界全体として取り組む必要があるのではないでしょうか」

今回の調査結果からも、ECにおいて多様な決済手段に対応することが、たとえば「カゴ落ち」と呼ばれる、ECでの買い物途中でカートに商品を入れたもののサイトから離脱してしまうような行動を抑え、売り上げ向上につながることが強く示唆されると言えそうだ。

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