なぜ今、LINE広告を使ったマーケティングが注目を集めるのか?~LINE Direct Dayレポート~
7月28日火曜日、LINE株式会社のオンラインイベント「LINE Direct Day」が開催された。
昨今、新型コロナウイルス感染症拡大による影響でオンラインへの購買シフトが進んでいる。このような状況の中で、自社のブランドやサービスを選んでいただくにはどのようなマーケティングを行っていくべきだろうか。LINEを活用する企業がその取組みと効果について語った。
リーチ・獲得、その先へ ~LINEで実現するダイレクトマーケティング~
ダイレクトマーケティングとはレスター・ワンダーマンによると「価値ある顧客を獲得し、維持しようとするコミットメントである」と言われている。
LINEではダイレクトマーケティングにおいて、認知・興味関心・購買・ファン化すべてのフェーズが重要であると考える。
サービスごとの活用として「LINE公式アカウント」はすべてのフェーズで効果的であり、運用型広告「LINE広告」は8,400万人にアプローチが可能でユーザーの様々な興味関心・購買に対応できる。また、「Talk Head View」では大規模な認知獲得へのアプローチができるのが特徴だ。
「LINE広告」においてLINEは機能アップデート、動画対応、クロスプラットフォームの構築を進めている。
機能アップデートにおいてはターゲティング機能の拡張や、友だちや顧客情報に類似したユーザーである類似オーディエンスの自動入札に対応する。動画対応においてはコロナ禍におけるユーザーの動画反応率が上昇したことも踏まえ、動画広告配信在庫を急拡大する予定である。
「Talk Head View」では1日で想定2,500万~4,000万人にリーチすることができるという。しかし、プレミアムな広告枠のため価格的に試しづらいという声から、9月までの期間限定で、1日1社限定で配信が可能な「1 Day Lite」というプランがリリースされた。Imp単価は通常と変わらず想定1,250万人にリーチできる。
また、データ環境の変化に対してLINE社では自社の顧客データの活用、各社独自の固有識別子/固有IDとの連携をしていく。そしてLINEの様々なサービスのデータを格納する”LINE DATA HUB”に蓄積することで、サービス間をまたいでデータの活用が可能なクロスプラットフォームを実現する。
「攻略のカギは動画」エーザイの事例に学ぶ、LINE広告運用術
エーザイはWEBメディアでの販売件数拡大のため「LINE広告」の活用を開始した。その際に、エーザイの広告運用を請け負うワンスターが注力したのがクリエイティブである。制作フローにおいては立案・制作の体系的な整理をし、PDCA手法の言語化による成果の安定・最大化を図った。また広告フォーマットでは配信可能な広告フォーマット・サイズをフル活用し、ユーザー・配信面の最大化を目指した。
実際にエーザイの「美チョコラ」の静止画クリエイティブをバーティカルにリサイズした静止画風動画にすることで制作工数を削減し低コストで動画を制作した。バーティカル動画を導入後、新規顧客数の増加、CPA推移維持に加え配信金額比率が5倍以上に上昇したという。
「LINE広告」攻略における配信設計・運用のポイントは広告配信面、広告フォーマット、ユーザー属性、入札方法の掛け合わせの勝ちパターンを素早く見出すことだという。
また、類似オーディエンス配信の活用もポイントだ。顧客のデータで、類似オーディエンスを作成することで、性別や年齢を加味して生成され、セグメントを切った後もリーチ数を確保して配信できるのだ。
バンダイナムコ/BOTANIST/menuに学ぶ、LINEを活用したブランディングとダイレクトマーケティング
前提としてブランディングとは認知の拡大、リーチをどれだけとれるかなどが指標としてあげられ、ダイレクトマーケティングとはCPA、LTVなどが指標である。LINE社のサービスにおいては、「LINEプロモーションスタンプ」、「Talk Head View」がブランディングの領域だ。またダイレクトマーケティングの領域としては「LINE広告」、「LINEセールスプロモーション」がある。そしてそのハブとなるのが「LINE公式アカウント」である。
バンダイナムコエンターテインメントは約7兆円のモバイルゲーム市場でターゲット戦略にあった広告配信のためLINEの広告サービスを活用している。
その中でも「Talk Head View」を活用した理由は多くのユーザーにリーチできること、動画によるゲーム内容の理解促進できること、コミュニティによりユーザー同士の会話ができることだ。他認知系メニューと比べ、2.5倍のリーチ数があった。また、施策実施後1時間ではプレイユーザー数が2倍と大きな影響が見られたという。
I-neは「LINE公式アカウント」を軸に運用する。その中で、「LINEスタンプ」や「タイムライン」の活用、「LINEマイレージ」にも注力。「LINEスタンプ」による新規集客をし続けることにより大きな売上をモール経由で生み出している。「タイムライン」ではブランドコンテンツを投稿し流入を得ている。これらユーザー情報をIDベースで開封データを取ることで効率化を図っており、全配信と開封者のみでいうと開封者のみの方がCTRもいいという結果が出ているという。
menuではオンラインデリバリーの事業をスタートしたが、日本では海外に比べ認知が少ないためマーケット自体を認知させないといけないと考えている。「LINE広告」でWEB広告の配信を行っており今後も認知とダイレクトを様々なチャネルを駆使して運用し、menuのサービスを広めたいという。
「認知から購買、ファン化まで」3,300万人と繋がるオルビスが実践する顧客コミュニケーション
オルビスのマーケティング戦略は大前提として「売上=顧客数×顧客単価(LTV)」としている。それを踏まえてLINE公式アカウントを使う主な目的は新規顧客獲得である。
LINE以外のメディアでは公式アカウントと広告機能が分断されやすく、獲得~エンゲージメントを一貫して実施することが難しい。他メディアに対して「LINE公式アカウント」は認知・獲得・ファン化まで一貫して行うことができ、投資対効果も可視化される点が魅力的である。
オルビスが実施している施策は複数の画像を掲出できるカルーセル配信だ。スキンケア商品のSTEPに沿ったカルーセル形式の配信をすることで内容の理解促進からコンバージョンに繋がった。クリック率は当月の平均比147%という結果が出ている。また、セグメントを~34歳までに絞って配信したところ、他メッセージと比べCPO21%という結果が出た。
さらにはID連携を活用し、オルビスオンラインショップとLINE連携のキャンペーンを行ったところ11万人増加した。ID連携者へのメッセージ配信は全配信と比べCTRが約3倍となった。最終的にはLINEのIDとオルビスの顧客IDを紐づけることで顧客一人一人に沿ったメッセージ配信をしていきたいという。
急成長するアクセサリーD2Cブランド「ROOM」のLINE活用法
サードオフィスでは新規・見込み顧客の囲い込みの施策として「LINE公式アカウント」を開設した。メールよりもユーザーのチェック頻度が多く、見やすい点が「LINE公式アカウント」の魅力だという。友だち追加して間もないユーザーへ多く配信することで次のステップに進んでもらえるよう促している。サイトへの誘導ではリッチメニューを活用した結果、2年間で友だち数10万人を達成し売上は開始月の約30倍となった。CTRはメルマガの3~5倍とこちらも成果が出ている。
「LINE広告」のセルフサーブは、事業拡大のため導入。「LINE広告」はアクティブ率の高さ、未リーチユーザーの多さ、親和性の高さが特徴だ。新規顧客獲得のため配信するバナーを3~4本に絞りCPA最適化やCPC最適化などを試した結果、クリック単価は他社広告より75%下がったという。「LINE広告」を運用することで「LINE公式アカウント」の友だち数も増え相乗効果を得られた。
各企業のLINEの広告サービス活用法や成果はマーケティング担当者のみならず、ブランドやサービスを扱う方々にとって非常に興味深い内容であったのではないだろうか。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるオンライン市場の急増に伴って、ダイレクトマーケティングへの注力はさらに重要となるだろう。そんな中、圧倒的ユーザー数を誇るLINEの広告サービスは認知~ファン化まで一貫して行うことが可能だ。これを上手く活用することがダイレクトマーケティング成功への肝になるだろう。