佐川急便が、あらたに飛行ドローンの実証実験を開始へ 東京本社からドローン操縦も

ECのミカタ編集部

佐川急便は、環境優良車普及機構の公募「過疎地域等における無人航空機(以下:ドローン)を活用した物流実用化事業」に採択されたことを公表した。

ドローンの実証実験を実施へ

佐川急便株式会社は、環境省の補助金執行団体である一般財団法人環境優良車普及機構の「過疎地域等における無人航空機(以下:ドローン)を活用した物流実用化事業」に係る公募に採択された。同社は、各地方自治体(島根県邑智郡美郷町、香川県小豆郡土庄町、福井県丹生郡越前町)と共同で、今年度中に離島・山間部におけるドローンを用いた複数拠点間輸送に関する実証実験の開始を目指すという。

◆利用予定のドローン機体(イームズロボティクス株式会社製)

機体寸法:軸間 1,060mm・全長 987mm・全幅 1,129mm・全高 547mm
機体重量:5kg(バッテリーなし)
飛行時間:約40分(離陸重量9.0kg・バッテリー700Wh搭載時)
飛行距離:約24km(10m/s時)

東京本社から遠隔操作も

東京本社から遠隔操作も各拠点をドローンで結ぶ空の物流ネットワーク構想

今回の実証実験では、ドローンの機材提供ならびにオペレーション全般をイームズロボティクス株式会社、各地方自治体との協議会の運営等を一般社団法人空の駅協議会の全面協力を得て行うという。佐川急便の各営業所より特定の配送拠点へ荷物を輸送した後、ドローンを用いて中継点(地域の公共施設)を経由し、終着点までの輸送を行う。

なお操縦については、佐川急便の東京本社を拠点とし、遠隔地からの目視外操縦でドローンを飛行させるそうだ。山々が連なる美郷町での複数拠点間輸送を皮切りに、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の土庄町ではドローンによる離島間の海上輸送、日本海に面した越前町では開発中の169MHz帯を活用したドローンにより、災害時を想定し、一般的な携帯電話のLTE通信回線が途絶した場合でのドローン飛行の実証実験を行っていく見込みだ。

災害時の物流確保も視野に

公表に際し、同社では次のように述べている。

「近年、物流業界は新型コロナウイルス感染拡大の影響により宅配事業の需要が高まる一方、将来的な少子高齢化にともない、担い手が不足することが懸念されております。特に離島・山間部などにおいては、船舶輸送あるいは山越えが必要となります。集落間の移動距離が長いことなど、地理的特性もあり、今後このような地域において、現状の輸送手段だけではサービス品質の維持が困難となることが想定され、新たな手段の検討が求められております。国際社会においては、『持続可能な開発目標(SDGs)』や気候変動に関する国際的枠組みである『パリ協定』など脱炭素化の取り組みが求められております。

こうした潮流の下で佐川急便では、CO2排出量削減などの地球温暖化防止を目指した様々な環境保全活動を行っております。また、佐川急便は災害対策基本法に基づく指定公共機関として、災害時には国や自治体と協力して緊急事態に対応する責務を有しており、被災地へ救援物資を届ける上でも、ドローンによる輸送は有力な手段のひとつであると位置付けております。今回の実証実験で、車両による輸送をドローンに代替することによりCO2排出量の削減、災害時の有効活用や、将来的な物流業界における労働力不足の解消が期待できます。佐川急便はこれからも持続可能な社会形成に向けて、新たな輸送手段の研究開発に努めてまいります」

日本国内においても物流の課題に対応するために、飛行ドローン活用が各所で検討されている。一方で、安全性確保の観点や法規とのかねありもあり、営業レベルでの活用は、なかなか進んでこなかった。今回の佐川急便による実証実験の動きが、物流業界における早期の飛行ドローン実用につながるか注目と言えそうだ。

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