千趣会イイハナ、家庭菜園の不安払しょく、アプリ通じプロがアドバイス

千趣会のグループ企業でギフト関連商品の通販を手掛ける千趣会イイハナ(イイハナ=本社・東京都品川区、菅原正敏社長)は、家庭菜園とガーデニング商品の通販サイト「花くらす*野菜くらす」の新たな試みとして、9月25日からスマートフォン用アプリ「菜園コンシェルジュ」のテスト運用を始めた。家庭菜園初心者の支援ツールとなるもので、気軽にプロのアドバイスを受けながら、楽しく野菜作りをできるよう工夫。野菜作りに対する不安を払しょくするツールの提供を通じ、家庭菜園に興味を持つ潜在顧客の掘り起こしやリピート購入につなげる。

ベルメゾン生活スタイル研究所が行った調査では、家庭菜園に興味を持っているという回答、家庭菜園未経験者でも機会があればやってみたいという回答がともに約7割を占めるなど家庭菜園への注目度が高まっており、実際にガーデニング市場も拡大傾向にあるという。

一方で、初心者の場合、野菜の育て方や、育てるために必要なものや道具の選び方が分からない、あるいは虫がつくこと、失敗するかも知れないといった不安から、家庭菜園に二の足を踏むケースが少なくない。

「花くらす*野菜くらす」は、「初心者に失敗させない、園芸店よりも親切なサポート」をコンセプトに開設した園芸関連の通販サイト。ガーデニングを楽しむことで生活を豊かにするという価値観を持つ30~40代女性をターゲットとし、種子や球根、花苗など家庭菜園・ガーデニング商品を販売する。

同サイトで特に留意したのは、ガーデニングに対する顧客の不安を払しょくすること。オールインワンの栽培キットを中心とした商品展開もその一例と言えるが、顧客のサポートについても、商品への栽培説明書の添付や電話等での問い合わせ対応、メールによる情報発信、イベントの開催、園芸コミュニティとの連携など様々なサービスを展開している。

一方で、顧客側がネットで購入したものに対して質問をあまりしない傾向があり、コミュニケーションが一方向になりがちだったほか、園芸コミュニティとの連携でも、話題が専門的過ぎて初心者には敷居が高いなどの課題が浮上。よりホスピタリティ性の高いサービスが必要と判断し、今回の「菜園コンシェルジュ」をテスト的に展開することにした。

「菜園コンシェルジュ」は、「花くらす*野菜くらす」で販売している「きのこの栽培キット」など5アイテムの購入顧客を対象に提供するAndroid端末向けのアプリで、2014年3月末までの期間限定で展開する。顧客は、商品に入っているIDを使ってアプリにログインし、植え付け日などを設定して各種サービスを利用する仕組みだ。

機能面でポイントとなるのは顧客とのコミュニケーションの双方向性だが、この部分では、顧客側が育てている野菜の画像や質問のコメントを日記感覚でアップできる機能を装備。顧客がアップした画像やコメントに対し、家庭菜園のプロであるコンシェルジュがマンツーマンでアドバイスをする。

また、情報発信の部分では、顧客が購入商品の栽培を始めた同時期に家庭菜園のプロ側でも野菜の栽培を始め、生育状況に応じてつぶやきを発信。また、アプリの使用状況や野菜の生育時期に応じて、コンシェルジュ以外のキャラクターが野菜に関する豆知識やレシピ、虫情報などをつぶやき、顧客が飽きずにアプリや野菜作りを楽しめるようにした。

このほかに物販との連携では、アプリの利用状況をもとに仮想メダルを進呈し、仮想メダル枚数に応じて「花くらす*野菜くらす」で利用できるクーポンが獲得できるサービスを提供。同アプリを通じた物販の流れとしては、例えば、顧客の虫に関する質問に対し、コンシェルジュが回答とともに適切な殺虫剤を提案し、「花くらす*野菜くらす」で購入するといった形を想定しているようだ。

一方、今回の「菜園コンシェルジュ」は、シャープ(本社・大阪市阿倍野区、高橋興三社長)のクラウド技術を活用したもので、イイハナでは、家庭菜園を行う顧客の育成パターンや習慣などの情報をクラウド上で蓄積および分析し、より顧客のニーズに合ったサポートサービスの展開につなげる考え。

「菜園コンシェルジュ」の展開は来年3月末までだが、初心者の不安を解消するツールの展開を通じ、家庭菜園愛好者のすそ野を広げることができるか、今後の動向が注目されるところだ。