Full Jetが中国EC大手Baozunに統合 ブランド&ラグジュアリービジネス支援で今後3~5年に200億元の年間GMVの創出を目指す

ECのミカタ編集部

中国EC企業Full Jet Limitedは、中国最大手のEコマース・サービス企業であるBaozun Inc.に統合されたことを公表した。

ブランド&ラグジュアリービジネス支援を加速化

Eコマース・ソリューションを提供する中国企業Full Jet Limited(以下、「Full Jet」)は、盛況を呈している中国のラグジュアリーEコマース分野でリーダーシップを強化する動きの一環として、中国最大手のEコマース・サービス企業であるBaozun Inc.(以下Baozoun)による買収を公表した。

これにより同社は、Baozunのプレミアム・ブランド&ラグジュアリー事業部門に統合される。両社は協力して、その強みを生かし、プレミアムおよびラグジュアリー分野の顧客が成長目覚ましい中国のEコマース市場に参入し、収益化できるよう支援するとしている。

Full Jetは、ブランド開発、戦略コンサルティング、Eコマース運営、マーケティングなどを主要な事業分野とし、中国のEコマース市場に関するノウハウと資産を活用し、国際的なラグジュアリー・ブランドである大手パートナー企業やグループの中国進出を数多く支援してきた。

Baozunは、多くの国際的なプレミアムおよびラグジュアリー・ブランドに世界有数のEコマース・サービスを提供している信頼のおけるパートナーであり、2020年9月末時点で260のブランド・ポートフォリオを有している。

Baozunは2020年9月に同社のプレミアム&ラグジュアリー・ブランド・チームを最上位の事業部門に引き上げさせ、データ・アナリティクス、インサイト、リソースの有効活用を図ってきた。今回の統合によって、世界中のさらに多くのプレミアムおよびラグジュアリー・ブランドの中国進出が期待される。

BaozunとFull Jetのチームが課題解決を支援

BaozunとFull Jetのチームが課題解決を支援

Eコマース・サービス部門業界におけるエンドツーエンドなEコマース機能、オムニチャネルのカバレッジ、技術主導のソリューションのパイオニアであるBaozunは、中国におけるラグジュアリー・ブランドのEコマース戦略実施支援のデファクトスタンダードとなってきた。

Baozunはチャネル戦略、製品選択、マーケティング戦術、業務および実用的ソリューションから多文化理解、消費者ニーズ洞察、ソース統合能力、インフラに至るまで、プレミアムおよびラグジュアリー・ブランドが成長目覚ましい中国のラグジュアリー市場を最大限に活用することを支援できるとしている。

マーケティングおよびブランドに関する掘り下げた専門知識と中国の消費者ニーズに対する深い洞察を有するFull Jetは、コンサルティングおよびデジタル・マーケティング・サービスを通じてEコマース運営を提供するものとみられる。国際的なプレミアムおよびラグジュアリー・ブランドはBaozunおよびFull Jetと協業することで、複雑なEコマース運営を信頼できるチームに任せ、中国の消費者との長期的なブランド価値の構築に専念することになりそうだ。

今後3~5年に200億元の年間GMVを生み出すプロジェクト

今後3~5年に200億元の年間GMVを生み出すプロジェクト

Baozunの会長兼CEOであるVincent Qiu氏は次のように述べている。

「当社はFull Jetとのパートナーシップを通じて、我々の共通の目標である、国際的なラグジュアリーおよびプレミアム・ブランドのパートナーが、中国における市場機会を素早く捕捉できるよう支援します。プレミアムおよびラグジュアリー事業はBaozunにとって成長の有力な牽引役であり、今後3~5年に200億人民元の年間GMV(取引総額)を生み出すプロジェクトです」

Full Jetの創業者 兼 会長であるSandrine Zerbib氏は次のように述べている。

「今回の買収は、両社にとって非常に大きな機会を生み出すものです。Baozunによって当社はブランド価値を短期間で向上できます。当社はBaozunとビジョンを共有しているので、この買収が国際的なプレミアムおよびラグジュアリーEコマース産業を次のレベルに高めるものと期待しています」

サードパーティのコンサルティング企業が発表した最近の統計によると、中国の個人向けラグジュアリー市場は堅調なEコマース需要に牽引され、2020年に45%以上成長した。高まる需要から利益を得るべく、多数のプレミアムおよびラグジュアリー・ブランドがオンラインストアを開設している。

その一方で、中国のEコマース市場は、ラグジュアリー製品の消費層が若年であること(中国におけるラグジュアリー製品購入の50%は30歳以下の消費者によるもの)、熾烈な競争、急速に進化するEコマース・プラットフォームなど、課題が山積みの状態だ。国際ブランドにとっては、自社のチームを一から構築するのはコストがかかるため、Eコマース・サービスのパートナーと協業することは当然の選択ともなる。

ラグジュアリー・ブランドは、実店舗での豊かなショッピング体験と同様のものをオンラインでも提供するために、オンラインのカスタマージャーニーについて掘り下げて考える必要があるだろう。オンラインストアのルック&フィールからサービス品質、マーケティングからコンテンツ、納品からアフターサービスにいたるまで、あらゆるタッチポイントにおいて、ブランドが顧客にシームレスかつプレミアムな体験を提供することが極めて重要になる。こうした中国市場での課題に対応するための、今回の統合劇となったようだ。キーパーソンが述べているように、今後3~5年に200億元の年間GMVを生み出すこととなるか、その展開に視線が集まりそうだ。

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