インドにおけるスマートフォン市場 2020年に1.5億台突破

ECのミカタ編集部

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、インドにおけるスマートフォン市場についての調査結果を発表した。

インドのスマホ出荷台数は1.5億台を突破

2020年のインドスマートフォン市場は、新型コロナウイルスの感染拡大や反中国感情の勃発、国内製造のエコシステム整備問題など予期せぬ出来事に見舞われた。さらに、Micromaxなどの再参入もあり新発売のINシリーズにより、Micromaxは過去6四半期で最高のシェアを獲得した。インドメーカーが商品ラインナップを整備し、大手キャリアのJioがエントリーレベルの4Gスマートフォンを投入することで2021年はインド国内企業にとって、躍進の年となることが予想されている。

また、2020年にインドの5Gスマホの出荷は400万台を超えた。5Gを牽引しているのは、完全は5Gラインナップを持つ「OnePlus」と5G対応のiPhone12を発売した「Apple」の2社である。5Gスマートフォンの出荷は約9倍に伸び、2021年には3,800万台になることが予想されている。

2020年メーカーごとのシェア

■Xiaomi
2020年第4四半期に前年同月比13%の成長を見せ、首位を奪還。パートナーのEMSを増やして生産能力を増強したこと、高級機種で重点的に新機種を投入したこと、Redmi9とRedmi Note9シリーズの根強い人気に、お祝いシーズンにキャンペーン攻勢をかけたことでこの業績を生み出した。2021年は実店舗拡充のペースを上げることに加えて中位〜高級機を重視することでブランドイメージ作りをすると見られる。

■Samsung
前年同期比30%の伸びを見せ、2020年第4四半期の2位となった。オンラインチャネルを積極的に使ったこと、商品ラインナップを広い価格帯で揃えたことは初めてのことで、オンラインチャネルでの出荷は2020年に1.5倍に増えた。

■ realme
2020年に22%成長し、初めて2,000万台を突破。オンラインチャネルでの需要が強いことやCシリーズ、Narzoシリーズの出荷が好調だったことが成長につながった。2021年は実店舗を拡充し、Tier3やTier4の都市にリーチするとともにClotセグメントへの参入も見込まれる。

■OPPO
2020年通年では前年比11%成長となったが、第4四半期は伸び悩んだ。インドでの製造能力を増強しつつ、R&Dプロセスを改良して5G技術を中心とした製品のイノベーションに注力している。

■ Poco
3020年第4四半期に初めてスマートフォン出荷500万台を突破。

■ Transsion
Transsionグループの各社(Itel、Infinix、Tecno)は、2020年第4四半期も勢いをいじ、四半期単独では最高となる900万台を出荷した。

■Apple
2020年第4四半期に6位となったが、前年同期比で第4四半期は171%の伸び、2020年通年でも前年比93%の伸びを示した。iPhone 12の発売に加えて、iPhone SE 2020やiPhone 11の積極的なプロモーションやオンラインチャネルの拡充が、この成長に繋がり四半期単独で初めて150万台を出荷。

■OnePlus
2020年第4四半期に前年同期比200%成長。Nordシリーズで中位機種セグメントの再参入したことで、初めて年間300万台出荷を達成した。

コロナ禍でもスマートフォン市場を牽引

インドのスマートフォン市場の動向について、カウンターポイント社のシニアリサーチアナリスト、Prachir Singh氏は以下のようにコメントしている。

「インドのスマートフォン市場は、記録破りの好調だった2020年第3四半期の勢いを、第4四半期もキープした。ディーワーリー(数日かけて行われるヒンドゥー教のお祝いで、買い物が縁起良いとされる)が11月中旬だったため、10月から出荷が増加した。ロックダウン明けに起こった需要増のおかげで、2020年通年では1.5億台を超える出荷となった。オンライン学習や音楽・映像の視聴といった新しい使い方が広まったことが、需要増の大きな要因となった。さらに多くの人がフィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えると同時に、多機能な端末が安くなるにつれ、需要はさらに高まると予想される。」

競合状況と各社の戦略について、カウンターポイント社のリサーチアナリスト、Shilpi Jain氏は以下のようにコメントしている。

「年末には中国に対する感情もだいぶ収まり、2020年の中国メーカーのシェアは75%となった。COVID-19の影響で消費者の行動が変化したことをうけ、チャネル戦略にも工夫がみられた。従来、実店舗での販売が中心だったSamsung、vivo、OPPOなどはインターネット販売のプレゼンスを上げた。SamsungはGalaxy MシリーズをAmazonで売り、Galaxy FシリーズをFlipkartで発売した。Xiaomiは 「Mi on Wheels」 (移動販売車でスマートフォンを売る形態)で実店舗チャネルの売上を強化するとともに、これまでカバーできていなかった遠隔地にも販路を広げた。メーカー各社は、プロモーションやブランドロイヤリティを高めるプログラムにも、工夫を凝らし、既存のユーザーベースを守るとともに上積みすることを狙っている。「Smart Upgrade」がその一例である(Samsungのスマートフォンを定価の7割で1年間使える。ユーザーは、残りの3割を支払って使い続けるか、返却するかを、1年後に選択できるというプログラム)。年末にはインドメーカーが勢いを盛り返し、MicromaxはINシリーズのスマートフォンを発表した。インドメーカーはPLIスキーム(Production-Linked Incentive: 中国依存度を減らすため、インド国内で製造された製品を売る企業にインセンティブを与える制度)をテコにシェアの拡大を狙っている。」

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