Z世代とミレニアル世代の消費動向の違いとは?ニールセンが調査結果を公表

ECのミカタ編集部

視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータと消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2020 (Nielsen Digital Consumer Database 2020)」をもとに、Z世代とミレニアル世代のメディア消費状況に関する分析結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

Z世代は、よりSNSを利用している

調査からはミレニアル世代(現在およそ25-39歳)やZ世代(現在およそ18-24歳)とコミュニケーションをとっていく上でスマートフォンは最も重要なデバイスだが、その中でのサービスの利用状況が両世代間では異なっているのが浮き彫りとなったようだ。

ミレニアル世代と同様に、Z世代はTwitterやInstagramなどのソーシャルメディアや、YouTubeなどの動画サービスを好んで利用しているが、スマートフォン利用時間のうちより多くの時間をそれらのコンテンツに費やしている。

ミレニアル世代がスマートフォン利用時間全体のうち「ビデオと映画」、「メンバーポータル・コミュニティ、SNS」にそれぞれ15%の時間を費やしているのに対して、Z世代は「ビデオと映画」に20%、「メンバーポータル・コミュニティ、SNS」に24%もの時間を費やしていた。

つまり、ECサイトや検索サービスなどその他のサービス上での接点も重要だが、動画やソーシャルメディア上で如何に効果的にZ世代とコミュニケーションをとっていくかが極めて重要であることがわかったとしている。

異なるデバイスを同時に楽しむZ世代

異なるデバイスを同時に楽しむZ世代

両世代間のデジタルサービスの利用状況の違いは利用時間だけではない。TwitterやInstagramといったソーシャルメディアに囲まれて育ってきたソーシャルネイティブのZ世代では、ミレニアル世代の約2倍の37%もの人がソーシャルメディア上で積極的に投稿している。

このようにソーシャルメディアへの関与度が高いZ世代とコミュニケーションを取る場合は、彼らが普段接しているコンテンツに溶け込むように、彼らが注目するコンテンツや話題に適合する広告クリエイティブを製作したり、彼らが意識するような、例えば彼らの等身大に近いマイクロインフルエンサーを活用したりすることで、より多くの共感を生むことができるだろう。

また、様々なデジタル機器に囲まれて育ってきたZ世代は、ミレニアル世代と比べて情報の処理の仕方も異なっている。テレビを視聴している時にスマートフォンを同時に利用するという、ながら利用はどちらの世代でも多くの人が行っているが、Z世代はテレビを視聴しているときも、ソーシャルメディアと動画コンテンツに対するエンゲージメントが強いようだ。

実際、ミレニアルがテレビと同時に視聴するコンテンツは、ソーシャルメディアが45%、投稿動画が16%であるのに対して、Z世代はソーシャルメディアが68%、投稿動画が23%と、より多くの割合でこれらのコンテンツをテレビ視聴と同時に楽しんでいた。投稿動画はもちろんのこと、ソーシャルメディアでも近年動画コンテンツが投稿されることが多くなっていることを考えると、ミレニアル世代と比べてZ世代は、複数の動画コンテンツを同時に視聴していることが多いことがわかる。

こうした状況を鑑みると、Z世代に対しては、彼らの視覚もしくは聴覚がどのデバイスに集中しているのかを把握した上で、適切なコミュニュケーションをとる必要がありそうだ。

デジタルにより親しんでいるZ世代への理解が重要

同社シニアアナリストの高木史朗氏は、調査に際して次のように述べている。

「ミレニアル世代は既に成熟し自ら所得を得て購買力のある世代であるのに対し、Z世代は親と同居する学生も多く、購買力もそれほど高くはない世代です。そのためミレニアル世代の購買力をターゲットにする時と、購買力はそれほど高くないが発信力の強いZ世代をターゲットとする時とでは、マーケティング戦略を変える必要があります。また、今は購買力の高くないZ世代も、今後彼らが社会人となり生活環境が変わってくると、メディア消費行動も変化する可能性があります。マーケターは常に彼らのメディア消費状況を随時把握し、マーケティング戦略をアップデートして、コミュニケーションを設計していく必要があります」

デジタル上でのコミュニケーションの重要性が高まる中、多くのマーケターがミレニアル世代(現在およそ25-39歳)やZ世代(現在およそ18-24歳)とのコミュニケーションが重要と考えているだろう。その際に、どちらの世代も「デジタルテクノロジーを使いこなしている」ため、同じような世代として捉えているケースがあるとすれば、それは好ましい判断ではなさそうだ。

ミレニアル世代がデジタルとともに成長してきた世代であるのに対して、Z世代はスマートフォンや動画サービス、ソーシャルメディアなどが当たり前のように存在している時代に育ってきているため、ミレニアル世代よりもさらにデジタルへの関与が深いと言える。自社のターゲットとの効率的なコミュニケーションをプランニングしていく上で、これらの世代間の差異を把握することはECにおけるマーケティングやプロモーションを考える上でも重要となりそうだ。

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