サブスクリプションビジネスの収益、約10年で437%成長 消費者志向は「所有」から「利用」に変化【Zuora調査】

ECのミカタ編集部

サブスクリプションビジネスにおける収益化のためのプラットフォームを提供するZuora は、サブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)の2021年最新日本語版を公開した。

この調査で、サブスクリプションビジネスが過去9年間でS&P 500の約6倍のスピードで成長したことが明らかになった。

サブスクビジネスはS&P 500の6倍のスピードで成長

サブスクリプションビジネスにおける収益化のためのプラットフォームを提供するZuora(本社:米国カリフォルニア州レッドウッドシティ、日本法人 Zuora Japan株式会社:東京都千代田区、代表取締役社長 桑野 順一郎、以下「Zuora」)は、半期ごとに調査しているサブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)の2021年最新日本語版を公開した。

この調査で、消費者のサブスクリプションサービス利用の需要増加に後押しされ、サブスクリプションビジネスが過去9年間でS&P 500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)の約6倍のスピードで成長したことが明らかになっている。

消費者のサブスク志向が顕著に

調査会社Harris Pollの協力のもと、ZuoraのSubscribed Instituteが12カ国13,626人の成人を対象にオンラインで実施した調査では、実際の製品(モノ)を所有するよりも、サブスクリプションサービスの利用を好む消費者の志向傾向が強くなっていることがわかった。

◆サブスクリプションサービスの利用が増加。
各国回答者の78%が現在サブスクリプションサービスを利用しており(2018年の71%を大きく上回っている)、75%が将来的には、より多くのサービスを利用するようになり、実際に「モノ」を所有することは少なくなると考えている。

◆サブスクリプションはブランドとのつながりを強める。
サブスクリプションサービス利用者の3分の2近く(64%)は、一度限りの取引で製品を購入する企業より、ダイレクトなサブスクリプション体験を提供してくれる企業とのつながりを強く感じている。

◆消費者は利用した分に応じた支払いを好む。
各国回答者の4分の3近く(72%)は、定額料金より、自分の利用した分だけ支払う形態の方が良いと回答。

◆サブスクリプションのメリット上位は利便性、コスト節約、バラエティ。製品やサービスを所有する代わりにサブスクリプションサービスを利用することのメリットを挙げてもらうと、トップは利便性(42%)、次いでコスト節約(35%)、バラエティ(35%、2018年の32%からアップ)となった。

成長するサブスクビジネス

消費者のこのようなライフスタイル志向が急速に強まったことは、サブスクリプションビジネスの成長に起因している。

サブスクリプション・エコノミー・インデックスでは2012年1月の統計開始以来、サブスクリプションビジネスによる影響を業界別に分析し、SaaS、IoT、製造、出版、メディア、テレコミュニケーション、教育、医療、ビジネスサービスといった業界において、サブスクリプションビジネスとS&P500企業のベンチマークとを比較してきたが、過去約10年間のサブスクリプションビジネスの収益成長率は437%に達した。

2020年単年のSubscribed Instituteの調査結果は次のとおりだ。

◆サブスクリプションビジネスの収益が売り切り型製品ベースの同業他社の収益を上回る。
昨年、SEIのサブスクリプション企業の収益成長率は11.6%、一方S&P 500の売上高は1.6%減少した。第4四半期だけを見ると、サブスクリプションビジネスの収益成長率は21%で、S&P 500企業の成長率3%の7倍のスピードであった。

◆サブスクリプションサービス利用者あたりの収益率が2019年を上回る。
サブスクリプションビジネスの1ユーザーあたりの平均収益率は、2019年第4四半期の14%に対し、2020年第4四半期は18%であった。この成長は、SEIのサブスクリプションビジネスが顧客との関係性を深め、時間が経過しても価値が高まるサービスを提供していることを示している。

◆SEIのサブスクリプション企業は各地域の株式市場と比較して好業績。
2020年第1四半期、新型コロナウイルスによるロックダウンと各種の安全策がサブスクリプションの収益成長を鈍化させたように見えた(APACでは収益と契約数が同程度)。しかし、第4四半期の再ロックダウン時は、サブスクリプションの収益成長は加速し、サブスクリプション企業が提供製品・サービスを効率よく迅速に適応させたことを示している。

今回Zuoraが公表した調査からは、「サブスクリプションビジネスの成長に伴い、魅力的なサブスクサービスが増え、消費者の支持につながった」という構図がうかがえる。

電子書籍や動画コンテンツのサブスクはもちろん、車のサブスク、クリーニングのサブスク、美容院のサブスクなど、過去にはなかったサブスクが世の中に溢れる時代になっている。

企業経営者から見ると、ストック型のサブスクリプションビジネスは、コロナ禍のように急激に経済環境が変化しても、売り切り型ほど影響を受けないため、安定的に売上と利益を確保しやすいというメリットがある。

一方、消費者にとっては「そのサービスをたくさん利用する場合は、定額でお得感がある」というメリットがある。

サブスクの強みを上手に活かせば、企業にも消費者にもメリットの大きいサブスク。今後、消費者は、「購入して所有する」「都度お金を払って利用する」「サブスクで利用する」という選択肢の中で、ますます合理的かつ柔軟に判断するようになっていくのではないだろうか。

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