シニアのスマートフォン利用者はさらに増えて84.7%に
MMD研究所は、スマートフォンへ乗り換え検討しているモバイル端末未所有者、または新規契約未検討者を対象に「2021年シニアのスマートフォン・フィーチャーフォンの利用に関する調査」を実施した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
スマホ利用者は7.7ポイント増、ガラケーは5.9ポイント減少
60歳~79歳の男女10,000人を対象に、モバイル端末の所有について聞いたところ、モバイル端末の所有率は93.8%で、メインで利用しているモバイル端末の内訳は、「スマートフォン」が84.7%、「フィーチャーフォン」が11.4%、「ガラホ(4G LTEケータイ※以下ガラホ)」が3.9%となった。
シニア向けスマートフォンを含むスマートフォンの利用割合とシニア向けフィーチャーフォンを含むフィーチャーフォンの利用者について、2012年から行っているシニア調査を元に2021年までの推移を集計した。スマートフォン利用者は2021年(n=9,379)の84.7%と2020年(n=9,292)の77.0%と比べ、7.7ポイント増加し、2012年(n=769)の12.7%と比べると72.0ポイント増加となった。
フィーチャーフォンの利用者の割合を見てみると、2021年(n=9,379)の11.4%と2020年(n=9,292)の17.3%と比べ、5.9ポイント減少し、2012年(n=769)の87.3%と比べると75.9ポイント減少となった。
また、フィーチャーフォンまたはガラホ利用者(n=1,334)を対象に、スマートフォンへの乗り換え意向を聞いたところ、「いますぐにでも乗り換えたい」が2.5%、「いますぐにではないが、乗り換えを検討している」が45.7%とあわせて48.2%のシニアが乗り換え意向のあることがわかった。
自粛中、新しく始めたこと・頻度が増えた上位は「EC・通話・散歩」
通信会社と回線を契約している端末を持っている人またはモバイル端末を持っていない人を対象(n=9,885)に、外出自粛期間中、新しく始めたこと・する頻度が増えた習慣・行動はあるか聞いたところ、「ある」と回答した人は51.5%となり、そのうち、スマートフォン所有者(n=4,255)にスマートフォンを活用して新しく始めたこと・する頻度が増えたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人は58.2%となった。
前問で外出自粛期間中、スマートフォンで新しく始めたこと・する頻度が増えた習慣・行動があると回答した(n=2,476)を対象に、新しく始めたこと・する頻度が増えた習慣・行動は何か聞いたところ(複数回答可)、「オンラインショッピング」が16.8%と最も多く、次いで「家族・友人との音声通話」と「散歩」が14.9%となった。
また、通信会社と回線を契約している端末を持っている人またはモバイル端末を持っていない人を対象(n=9,885)に、スマートフォンで利用しているサービスを聞いたところ、「利用したことがある」が最も多いのはニュース、ニュースキュレーションで60.0%となり、次いで天気が52.3%、チラシ、ポイントが35.5%となった。
スマホを利用し始めたきっかけは「LINEなどを使いたかったから」
予備調査からスマートフォンメイン利用者(n=500)、スマートフォンへ乗り換え検討しているフィーチャーフォンまたはガラホ所有者とスマートフォンの新規契約を検討しているモバイル端末未所有者(n=500)、スマートフォンへ乗り換えまたは新規契約未検討者(n=500)を抽出し、スマートフォンメイン利用者(n=500)にスマートフォンの利用を始めたきっかけ(複数回答可)を聞いたところ、「LINEなどのコミュニケーションツールを使いたかったから」が25.8%と最も多く、次いで「家族に勧められたから」が22.4%、「地図、ナビゲーションを利用したかったから」が19.8%となった。
続いて、スマートフォンへ乗り換え検討しているフィーチャーフォンまたはガラホ所有者とスマートフォンの新規契約を検討しているモバイル端末未所有者(n=500)にスマートフォンを利用してみたいと思ったきっかけ(複数回答可)を聞いたところ、「3G回線がもうすぐ終了するから」が27.8%と最も多く、次いで「災害などの際に持っていたほうがいいと思ったから」が22.4%、「地図、ナビゲーションを利用したかったから」が19.8%となった。
次に、スマートフォンへの乗り換えまたは新規契約未検討者(n=500)にスマートフォンへ乗り換えを検討しない理由(複数回答可)を聞いたところ、「パソコンを持っており、それで十分だから」が48.8%と最も多く、次いで「通信料金が高そうだから」が30.6%、「今使っている携帯電話の機能で十分だから」が30.2%となった。
スマホに慣れ親しむシニア層が厚みを増す
調査結果にあるように、シニアのモバイル端末所有率は93.8%で、そのうちスマートフォンは84.7%、フィーチャーフォンは11.4%だった。2020年と比べスマートフォン利用者は7.7ポイント増加、フィーチャーフォン利用者は5.9ポイント減少していた。
またフィーチャーフォン、ガラホ利用者のうち48.2%がスマートフォンへの乗り換え意向があり、外出自粛期間中、シニアがスマートフォンで新しく始めたこと・する頻度が増えた習慣・行動の上位は「オンラインショッピング」「家族・友人との音声通話」「散歩」となった。
シニアがスマートフォンで利用したことがあるサービスは「ニュース」がトップとなり、スマートフォン所有のシニアがスマートフォンを利用し始めたきっかけは「LINEなどのコミュニケーションツールを使いたかったから」だった。
さらに検討者のスマートフォンを利用してみたいと思ったきっかけの上位は「3G回線の終了」で、未検討者のスマートフォンに乗り換えを考えない理由上位は「パソコンで十分だから」が挙げられた。
このように、実質的にガラケーの販売が終了する中で、シニア層のスマホ利用率は着実に増加傾向にあるようだ。今後、よりデジタルデバイスに親しんだ年代がボトムアップすることになり、よりスマホを利用するシニア層は厚みを増し、ECの利用も広がることになるだろう。
これまではシニア層は、デジタルデバイスに慣れている子や孫の世代を通してオンラインサービスを利用することも多かったであろうが、今後はダイレクトにシニア層をターゲットとしたアプローチも、より求められることにもなりそうだ。