オープンソース(OSS)とは?意味や基礎知識、メリット・デメリットをわかりやすく解説

ECのミカタ編集部

オープンソース(OSS)とは?意味や基礎知識、メリット・デメリットをわかりやすく解説

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オープンソースとは一体どんなものなのか

オープンソース(OSS)とは、誰でも無償で利用できるソフトウェアのことであり、改変や再配布も自由に許可されています。
オープンソースはソースコード(プログラムの設計書)も公開されているので、世界中の開発者によってソフトウェアの脆弱性やバグ修正、機能の追加などが常に行われています。

そのため無償でありながら、企業が利用する環境にも対応できる性能や安定性などを高い品質で維持できている点が特徴です。
代表的なオープンソースには、Oracle社が開発したデータベース管理システムのMySQL、オペレーティングシステムのLinux(UNIX互換OS)、簡単にECサイトを構築できるEC-CUBE、Webサイト制作でよく使われているWordPressなどがあります。

基本的にオープンソースは無償で利用できるのですが、利用条件や制約がまったくないというわけではありません。
オープンソースの発展・促進を目的とする非営利団体「Open Source Initiative(OSI)」がライセンス(使用許諾条件)を管理しています。

オープンソースとして承認されるためには、OSIが発行している「The Open Source Definition(オープンソースの定義)」の10項目のガイドラインを満たしている必要があります。
OSIから認定されると、オープンソースのソフトウェアとして「OSI認定マーク」が与えられます。
The Open Source Definition(オープンソースの定義):https://opensource.org/osd

オープンソースの使用例は?想定される利用シーンについて

オープンソースでも有名なWordPressは、導入も簡単でコストもかからないので、企業のWebサイト制作や、個人でブログ運営をしたい方によく利用されます。
有料のソフトウェアだと、数万~数十万円もするうえにライセンス費用もかかる場合があるので、オープンソースは「ソフトウェアのコスト削減」を考えている企業などで使われます。

たとえば自社ECサイトを構築したい場合は、国内最大規模のシェアを誇るEC-CUBEなどがオープンソースとして利用されています。
EC-CUBEは、導入事例が3,400件以上の実績もあるので、信頼性も高く、自社ECサイトを構築する際は非常におすすめできるオープンソースです。

また、オープンソースは自社用のソフトウェアを開発する際にも活用されています。
自社の用途に合ったオープンソースを選択すれば、開発にかかる手間を減らし、短期間で自社向けにカスタマイズしたソフトウェアを開発できます。
そのほか、オープンソースは社内サーバインフラやIoTプラットフォームの構築、機械学習基盤の構築など幅広い分野で使用されています。

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ECサイトにおけるオープンソースとは?

ECサイトの構築におけるオープンソースには、EC-CUBEやMagentoなどさまざまな種類があります。
オープンソースのプログラムをサーバーへインストールすれば、ECサイトの運用を行えるようになります。

ECサイトでオープンソースを活用するメリットは、低コストでカスタマイズも幅広く行える点です。
ただし、ECサイトのカスタマイズについては、プログラミングのスキルやシステム開発の知見がある技術者が必要になります。
また、オープンソース自体は無償ですが、別途費用が発生するものを以下に記載しますので参考にしてください。

サーバーの契約

ネット上でWebサイトなどを公開する際にはサーバーを契約しなければいけませんが、ECサイトも同様にサーバーが必要になります。
レンタルサーバーを利用する場合が多く、費用相場は月間で数千円~数万円程度です。

ドメインの取得

ECサイトのドメインは、年間1,000円程度で取得できます。
なおドメインとは、WebサイトのURLやメールアドレスに使われます。
たとえば、あるECサイトのURLが「https://ecsite-domain.com」の場合、「ecsite-domain.com」がドメインと呼ばれる部分です。

ECサイトのデザインや機能追加

本格的なECサイトの運用を考えており、オリジナル性のあるデザインや独自機能の追加をしたい場合は、Web制作会社などに依頼した方がいいでしょう。
デザイン・カスタマイズ(機能追加)の費用相場は100万~500万円程度になります。

しかし、オープンソースにはあらかじめ無料のデザインテンプレートが用意されています。
デザインも品質が高くオシャレなものが揃っており、レスポンシブ対応もしているため、よほどのこだわりがなければテンプレートの利用をおすすめします。
有料のテンプレートでも1万~2万円程度の費用で抑えられます。

オープンソースでECサイトを構築する3つのメリット

メリット1.低コストでECサイトを構築できる

ECサイトはオープンソースを利用すれば低コストで導入できます。
サーバーの契約やドメイン取得などに多少費用はかかりますが、一からECサイトを構築していくよりは圧倒的にコスト削減へつながります。

オープンソースを利用したECサイトは、用途に合わせてデザインや機能を追加・変更できますし、短期間で導入が可能です。
予算を抑えた運営を考えている場合は、オープンソースの利用をおすすめします。

メリット2.拡張機能が豊富でカスタマイズ性が高い

オープンソースは拡張機能が豊富なので選択の幅も広く、自由にカスタマイズもできるため、自社に技術者がいればオリジナル性の高いECサイトを構築できます。
また、変化していくトレンドや顧客のニーズにも柔軟に対応可能なので、競合他社に遅れをとることなく運営していけます。

メリット3.ソフトウェアの信頼性と安定性

オープンソースは、ソフトウェアのソースコードが公開されているので、プログラムのバグや脆弱性などが発見されても、常に世界中のユーザーによって修正が行われます。
オープンソースを利用しているユーザーがいる限り継続的にアップデートされていくため、信頼性と安定性を保ちながらECサイトを運営できます。

オープンソースの3つのデメリット

デメリット1.スキルや知識がある技術者が必要

オープンソースはカスタマイズが自由にできる反面、導入する際はWebサイト制作などのプログラミングスキルや知見のある技術者が必要です。
ECサイトの運営においても、プログラムのアップデートやトラブルへの対応は自社で行うことになります。

ただし、技術的な対応が困難な場合は、ECサイトの運営をサポートしてもらうために、Web制作会社へ一部の業務やシステム管理などを委託しなければいけません。
外注した場合はそれなりの費用も継続的に発生しますので、可能であれば技術者の採用も検討しておきましょう。

デメリット2.セキュリティ対策の問題

オープンソースはソースコードが公開されているため、悪意のある他者からセキュリティホールを狙われる可能性があります。
ECサイトの運営においては、顧客の個人情報などが漏洩する危険もあるので、セキュリティにはとくに気を配る必要があります。
対策としては常にプログラムのアップデートを欠かさないことや、ECサイト以外からも情報漏洩がないように社員へ周知し、セキュリティ対策を万全にしておきましょう。

デメリット3.集客が難しい

オープンソースに限らずにはなりますが、自社独自のECサイトをオープンした場合、最大の課題となるのが集客になります。
モール型ECサイトの楽天市場やYahoo!ショッピングであれば、ネットショップを出店してもモール自体が集客を担ってくれているため、集客しやすい環境が整っています。

しかし、自社ECサイトにおいてはWebマーケティングに注力しないと、なかなか集客ができません。
メルマガやSNS・SEO・広告運用などを行い、露出回数を増やし集客につなげ、顧客との関係性を構築していきながら自社ブランディングをしていく必要があります。
また、Webマーケティングを行っていく際は、できればWebマーケティングの経験者であったりWeb解析士などの資格を取得している人材であったりと、専門的な知見を有した人材を確保しておくと安心です。

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【比較用】ECサイトをオープンソースで構築する際のおすすめ5選

ECサイトを構築する際におすすめのオープンソースを4つ紹介しますので参考にしてください。

EC-CUBE

EC-CUBEは、国内でもっとも普及しているECサイト向けのオープンソースです。
追加できる機能も豊富で導入できる決済方法も一通り提供されています。

またEC-CUBEは、開発コミュニティなども活発で必要な情報を探しやすいのも強みです。
さらに大手のレンタルサーバーであれば、EC-CUBEを簡単にインストールできる「クイックインストール」機能がレンタルサーバーの管理画面から利用できます。

ECサイトを構築するためのオープンソースで迷ったら、とりあえずEC-CUBEを選択してみましょう。

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Adobe Magento

Magentoは世界中の25万のECサイトで採用されており、開発者は約15万人、パートナー企業は300以上と安定性や信頼性が非常に高いオープンソースです。
海外のECシステムですが、日本語対応のモジュールがありますので、インストールすれば管理画面を日本語にすることが可能です。

開発情報については日本語フォーラムも用意されていますが、英語フォーラムの方が開発情報は充実していますので、英語ができる人は、より多くの有益な開発情報が得られるでしょう。

WordPress(WelCart)

WordPressは「Welcart」をプラグインとして追加すればECサイトの構築もできます。
オープンソースの中でもWordPressは圧倒的に情報量が多く、WelCartでも独自のフォーラムが用意されています。

WordPressを使い慣れている場合は、Welcartを利用した方がスムーズにECサイトを構築できるでしょう。
なお、すでにWordPressでブログ運営をしており、アクセス数もそれなりに集まっている場合は、集客に強いECサイトとしてWelcartを活用できます。

WordPress(WooCommerce)

先ほどのWelcart以外でも「WooCommerce」をプラグインとして追加することでECサイトの構築ができます。
世界で最も人気があるため、たとえばLINEID連携機能など、世界中で新しいプラグイン開発が作られています。
ただし海外製のため、WooCommerceを日本語化したり、カスタマイズする際の情報収集などには少し苦戦するかもしれません。

osCommerce

osCommerceはドイツで開発され、2000年にリリースされたオープンソースです。
2万以上のECサイトに導入された実績があり、29万人以上の開発者と160万以上のフォーラム投稿がある点が特徴です。

無料のアドオンが9000以上も用意されているため拡張性に優れており、オリジナルティのある自社ECサイトを構築できます。
国境を超えてECサイトの取引を行う「越境ECサイト」に向いているオープンソースでもあります。

オープンソースを扱う際の注意点

オープンソースを利用する際の注意点として、ソフトウェアの取り扱いについては、定められたライセンス契約に違反しないように気をつけなければいけません。
冒頭でも述べた通り、オープンソースのソフトウェアの利用は無償であり、カスタマイズなどについては自由です。

しかし、ソフトウェアごとにライセンスが宣言されており、準拠する内容については『ソフトウェアを再配布するときはソースコードを必ず公開する』『ソースコードを改変している場合はその旨を示す』などがあります。
オープンソースのライセンス形態でとくに注意したいのが「コピーレフト型」のライセンスです。

コピーレフトとは「ソフトウェアの著作権は保持し、二次的な著作物も含め、誰もが利用、改変、再配布できること」というライセンスの概念になります。
代表的なコピーレフト型ライセンスには、GPL、LGPL 、CPLなどがあります。

つまり、自分でオープンソースのソフトウェアを改変し、再配布などする場合などに『ライセンスの内容を自由に変えてはいけない』ということです。
また、コピーレフト型ライセンスのオープンソースを改変した場合は、ソースコードを公開することが義務付けられていますので覚えておきましょう

まとめ

EC業界の市場規模は年々拡大しており、株式会社野村総合研究所が行った市場調査によると、2025年にはBtoC(企業と一般消費者の取引)の市場規模が27兆8,000億円にまで拡大すると予測されています。
参照:https://x.gd/i59Da

EC業界へ参入するため、オープンソースを利用される方は、本記事で解説したメリットやデメリット、ソフトウェアを扱う際の注意点などをよく理解したうえでECサイトを構築しましょう。

EC-CUBEやWelCartなどはカスタマイズ性が非常に高いので、競合との差別化もしやすいです。
集客においてはWebマーケティングにも注力し、自社ECサイトの売上を伸ばしていけるようにしましょう。

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