JODA  本筋議論と透明性を、スイッチ直後品目で要望書も

日本オンラインドラッグ協会(JODA)は10月4日、安倍晋三内閣総理大臣や田村憲久厚生労働大臣など関係閣僚あてに、スイッチ直後および劇薬指定品目の一般用医薬品の取り扱いに関する要望書を提出した。厚生労働省の「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」(専門家会合)で、非対面のネット販売での当該品目の取り扱いを認めるべきではないとの議論が行われていることを受けたもので、合理的な根拠なくネット販売を禁止しないことなどを要望。一方で、専門家会合は、同月8日に検討結果を取りまとめている。

要望書は、安倍総理大臣および田村厚労大臣のほか、甘利明経済再生担当大臣、稲田朋美内閣府特命担当大臣(規制改革)、管義偉内閣官房長官宛に提出。要望書では、合理的な根拠なしにネット販売だけスイッチ直後品目の販売を禁止しないよう求めるとともに、対面か否かの販売手法に関係なく、合理的・科学的根拠に基づいた安全確保策を講じるべきとし、その決定にあたって透明性が確保されたプロセスを踏むことを求めている。

今回、JODAとケンコーコムが要望書を提出した背景には、「専門家会合」での議論が本筋から外れた方向で進められていることがある。

一般用医薬品ネット販売の解禁の方針を盛り込んだ「日本再興戦略」の中で、副作用リスクの高いスイッチ直後および劇薬指定品目について医学・薬学的な見地に基づき医療用に準じた慎重な販売や使用を促すための仕組みを検討・検証し必要な措置を講じることとしている。

「専門家会合」は、これをもとに厚労省が設置したものだが、これまで2回の会合では、スイッチ直後・劇薬指定品目(28品目)の特性などに関する議論は皆無で、対面ではないネット販売を不安視し、当該品目の取り扱いを認めるべきではないといった話題に終始した。

要望書では、「専門家会合」について、根拠なくネット販売を不安視する情緒的な意見が散見され、専門的な知見に依拠した科学的な議論が行われているとは言えないと指摘。「日本再興戦略」で求めている「インターネット販売か対面販売かを問わず、合理的かつ客観的な検討」が行われているとは認められないとする。

一方、「専門家会合」は10月8日、約1カ月振りとなる第3回会合を開き、薬剤師による慎重な販売対応などを盛り込むスイッチ直後品目の販売時の留意点を取りまとめた。ネット販売についての記載はないが、「広く大量に購入できるような形や簡便に購入できる形での流通は避けるべき」とするほか、使用者以外の代理人への販売、症状が出ていない段階での常備薬としての購入は認めるべきでないと指摘する。

JODAとしては、「専門家会合」で本筋の議論が十分に行われないまま、水面下でスイッチ直後品目等のネット販売禁止の流れができてしまうことを危惧し、今回の要望書で「日本再興戦略」の趣旨に基づいた合理的な議論と施策決定プロセスの透明化を求めた形だが、実質的に要望書提出前に専門家会合としての結論が出ていたもよう。

厚労省では、専門家会合の検討結果をもとに、省内でスイッチ直後品目の取り扱いを検討する考えだ。