アパレルECモールとは? 最新情報から成功事例までを公開 

ECのミカタ編集部

近年、新型コロナウイルスの影響もあり、利便性が注目されているECサイトですが、その中でも勢いと成長を見せているのがアパレル×ECの領域です。
今回は、そんな注目すべきアパレルECモールの市場についてや成功企業の特徴など交えながらご紹介していきます。

アパレル業界の市場環境

アパレル業界全体の市場


矢野経済研究所が発表した「アパレル産業白書」によると、2019年度の国内アパレル総小売市場は前年比1.5%減の9兆1,732億円というデータが発表され、ここ数年アパレル市場は横ばいをずっと保っていましたが久しぶりにマイナスに転じました。
感染症の影響により、巣篭もりや消費の冷え込み、外国人客の減少によりマイナス材料が多く、アパレル市場は大幅な縮小が見込まれると予想されています。

アパレルEC化率の市場


アパレル業界の市場規模が縮小する可能性があると述べましたが、その中でも唯一、アパレル×ECサイトのシェアが高まっています。
先ほどの調査結果によると、チャネル別の市場は百貨店が1兆6,797億円(前年比93.6%)、量販店7,993億円、(98.2%)、専門店5兆514億円、(99.7%)、その他1兆6,428億円、(105.4%)というデータがあり、その他(通販等)のみ向上していることがわかります。
さらに詳しく、アパレル市場のEC市場にも目を向けると、アパレルECの市場規模は右肩上がりで、EC化率も13.87%と全産業の平均EC化率の6.76%を大幅に上回っています。
さらにアパレル市場は毎年EC化率が1~2%程度上昇しています。
なぜアパレルECの需要が近年伸びているのでしょうか?

コロナと消費者の購買行動の変化


ここ1〜2年は、感染症拡大防止によるおうち時間の増加によりオンライン購入が広まりました。
消費者の多くがオンライン購入を経験しており、shopifyの調査によると、今までインターネットを利用したことがなかった高齢者の方でも、3人に1人がオンラインでの買い物を経験しているというデータが出されました。
このように世代関係なく、インターネット上で買い物をする需要が増えたことと、企業側もリアル店舗だけでは厳しい現状を踏まえ、EC化に移行していることが、アパレル市場でEC化が進んだ背景であり、今後も上昇していく見通しです。

アパレルECの売上ランキング

自社EC部門から見てみると、ユニクロを展開するファーストリテイリングが堂々の1位です。
次いでグローバルワークやniko and...のブランドを展開するアダストリアが位置付けれられています。

ファーストリテイリングのECへの強化取り組み


ファーストリテイリングは、アパレル企業の中でも特に自社ECサイトでの販売に力を入れています。
自社ECサイトが好調の要因は、感染症により外出を控える消費者が多い中、広告やテレビCMなどでオンライン販売の誘導を強化したことが一つ挙げられます。
また、ECサイトでしか購入できない商品を用意したり、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取ることを可能とするなど、あらゆるポイントで消費者との接点をとり、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略をとっています。

アダストリアの取り組み


アダストリアは感染症に伴う商業施設の休業や、営業時間短縮などが経営に一時的に響いたものの、販売チャネルをECサイトへ移行したことにより大幅増収に加え、アダストリアの自社ECサイト「st(ドットエスティ)」の会員数は、2020年2月期末からの3か月で20万人増加することに成功しました。
アダストリアは、インスタグラムによるオンライン接客や、SNSでスタッフのコーディネートの写真投稿の頻度を上げたり、レビューを投稿してくれた消費者に対してポイント付与するなど、積極的にWEBでの集客施策を図っていました。
オンラインでも実際に来店しているような感覚になれるような接客に近づけることで、自社のファンを増やすことに成功できた要因です。
また、上位企業に共通することとして、実店舗とWEBデータをまとめて管理することで、消費者の囲い込みやファン化につなげることができており、WEB集客に成功していることがわかります。

アパレルECモールの流通総額ランキング(2016年度~2018年度のデータ)


続いてアパレルECモールでの市場を見ていきましょう。
アパレルECモールでは、ZOZOTOWNが圧倒的シェアを誇っています。
ZOZOTOWNが強い理由としては、初回での購入を失敗させないように、困っている消費者に対してチャット形式で対応したり、お金に限りがある若者に対し「ツケ払い」制度を設けたり、購入へのハードルを下げる工夫が様々となされています。
さらに、グループ会社が運営するコーディネートアプリWEAR(ウェア)は世界でも多くのユーザーがダウンロードし、利用されているアプリです。
WEARは、有名人だけではなく、消費者自身もコーディネート写真がアップでき、おしゃれな人が取り入れているコーディネートや、取り入れているアイテムを気に入れば、連携しているZOZOTOWNですぐ検索し、購入できる仕組みとなっており、ZOZOTOWNでの売上を大きく伸ばす一因です。
ZOZOTOWNは、前社長の様々なトピックスに焦点が当てられがちですが、このようなテクノロジーや新しいサービスに貪欲であり、試行錯誤した取り組みの結果、業界でも高いシェアを獲得しているのです。

アパレルECの課題と勝ち方

アパレルECにおける課題


アパレル×ECサイトで成功している各企業の取り組みをご紹介しましたが、そもそもECサイトとアパレルの相性は良いのでしょうか?
アパレルECサイトにおける課題を抑えていきましょう。

サイズがわかりにくい


消費者側からすると、リアル店舗のように試着ができないため自分にあったサイズがイメージできないのが大きな難点であり、ここで購入意欲を下げてしまいがちなのが企業側の課題とも言えるでしょう。
しかし直近はソリューションの進化が進み、スマホ1つで身体の採寸ができるテクノロジーが多く生まれており、アパレルECサイトにおけるサイズ問題も解消しつつあります。

モール依存


先ほど述べたZOZOTOWNや楽天、Amazonにはとても大きな知名度があり、集客においても大きな効果をもたらしてくれます。
しかし、モールに依存することなく価格競争に巻き込まれにくい自社サイトで売り上げを伸ばしていく必要があります。
自社ECサイトの構築には大きな費用がかかり、システム使用料や決済手数料も発生しますが、それでもモールに比べるとコストコントロールしやすいメリットがあるため、集客が上手くいけばモールと共に大きな売上を生むことができます。

モールと同時運用だと在庫管理ができない


自社ECサイトとZOZOTOWNと両方を展開しているブランドも多くありますが、在庫管理で大きなデメリットがあります。
ZOZOTOWNで販売する商品在庫は、全てZOZOBASEと呼ばれる倉庫へ入れる必要がありますが、自社サイトを運営している場合、在庫を別々に管理する必要があり、在庫管理が困難になってしまいます。
この場合、どのようなことに影響を及ぼしてしまうかというと、自社サイトでは売り切れの商品が、ZOZOTOWNでは販売されている状況が発生してしまい、自社サイトに訪れた消費者の購買機会を逃してしまう可能性があります。
アパレルはシーズンものアイテムが多いため、在庫の管理や運用のフローの構築が強く必要とされています。
現在はこの問題を解決するサービスがZOZOグループ会社からリリースされ、全て一元管理できるようになりました。
モールと自社ECサイトの運用を行う場合、在庫管理の運用体制は特に重要視して対策を考えましょう。

アパレルECの勝ち方


上記の課題と合わせて、より他社と差別化を図る取り組み手としては下記のようなことが挙げられます。

・ECサイトのSEO対策
・SNSのインフルエンサー集客
・購入までストレスがないECサイトの設計
・ライブコマースなどによる自社のファン獲得化

また加えてリアル店舗やWEB会員データを統合し、施策を行うことで顧客を囲い、リピート客を増やすことも可能になります。
しかしこのような取り組みは専門性も高く、難易度も高いですが、時代に合わせた施策と投資を行うことで自社ECサイトの売り上げを伸ばし、結果モールの依存を下げることにもつながります。

まとめ

いかがでしたが?
今回はアパレル市場から各企業の取り組み、アパレルECで成功するための施策についてご紹介しました。
感染症によりどんどん世界がデジタルへ移行している中、各社差別化や新しい取り組みを受け入れる企業が大きく成長していくと言えるでしょう。


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