アウトソーシングとは?人事派遣と何が違う?メリット・デメリット、向いている業種を解説
アウトソーシングとは?意味から解説します
アウトソーシングは日本語訳すると「外部委託」を意味します。社内でおこなっていた業務を外部に委託する場合「アウトソーシングする」といった使い方で、ECサイトでいえば、梱包作業や発送業務などの業務を外部委託する場合があります。外部のサービスを利用し、業務を外部委託することがアウトソーシングの目的です。
アウトソーシングと人材派遣の違いは?
アウトソーシングと人材派遣では、外部に業務を発注するのか、人材そのものを発注するのかという明確な違いがあります。アウトソーシングは業務そのものを発注しているため、その業務にどれほどの人員や時間がかかっているかは発注者側に関係がありませんが、一方で人材派遣は、人材そのものを発注しているため、派遣された人材のスキルよって対応できる業務や成果が変わります。
たとえば梱包・発送業務をアウトソーシングした場合、発送した個数や保管期間に応じたサービス料を支払うのが一般的です。それに対して人材派遣の場合は、発送した個数に関わらず、派遣された人材の業務時間に対して報酬を支払います。アウトソーシングと人材派遣のどちらを利用するべきかは、業務内容の専門性や派遣される人材のスキルなどと比較して検討します。
ECサイトにおいてアウトソーシング(運用代行)の需要が高まっている理由
ECサイト運営者の間で、アウトソーシングの需要がこれまで以上に高まっています。その理由はBPOの主流化と、ECサイトの行との相性がよいためです。BPOとは何か、ECサイトの運営とどう関係があるのか、それぞれ確認していきます。
BPOとよばれるアウトソーシング形態
BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、業務のプロセスをまるごと外注することを差します。
業務を委託するアウトソーシングとの違いは、業務のプロセスごと外注化することです。これまでのアウトソーシングを例にすると、経理部のなかの「給与計算業務」のみを外注することが一般的でした。
ところが近年では、経理部の業務をまるごと外注化するような企業が増え、業務のプロセスをまるごと請け負う事からBPOとよばれるようになりました。矢野経済研究所の調査によれば、2018年度のIT系BPO市場規模は前年度比3.9%増の2兆4,762億円、2019年度以降も市場拡大が予測されています。業務のBPO化は今後ますます進んでいくことでしょう。
ECサイトでBPOが注目される理由
ECサイト運営のBPOが今、注目されています。その背景にあるのは、ECサイト業務の多様化や国際化で、ECサイトの多くは日々変化するデジタルでの集客トレンドや、広告戦略への対応に追われています。そのうえ今後は、国境を越えて海外のお客様へ商品を販売する越境ECへの対応も必須になっていくでしょう。
しかしECサイト運営者の多くは、ECサイト運営を専業でおこなっているわけではなく、実店舗の経営と同時に対応しているのが現実です。実店舗の運営をしながら、日々変化するECサイト運営に対応するのは難しいでしょう。そのため、ECサイトの運営は運営のプロにまるごと外注化するBPOが注目を集めているのです。
アウトソーシングのメリット
アウトソーシングは業務の委託料がかかります。料金が発生する以上、それ相応のメリットがなければいけませんよね。ここで具体的なアウトソーシングのメリットを確認しておきましょう。
プロの品質をすぐに入手できる
アウトソーシングでは、基本的にその業務の専門家に業務を委託します。つまりサービスを利用した時から、プロのクオリティーを享受できるのです。自社でスタッフを雇った場合、教育や業務効率化にどうしても時間がかかってしまいますが、アウトソーシングなら教育の時間もコストもかかりません。プロの品質をすぐに入手できることはアウトソーシングのメリットです。
必要な業務に集中する時間ができる
アウトソーシングを利用した場合、これまで委託した業務をおこなっていた時間を別の業務に使えます。「やりたいけれど時間がない」と、後回しにしてしまっていた業務はありませんか?ECサイトの場合でも、受注が増えて経営が軌道にのるほどマーケティング業務に手が回らなくなります。アウトソーシングによって、これまで時間を圧迫していた業務が手を離れ、本来やりたかった業務に集中する時間ができます。
社内設備のコストカットになる
アウトソーシングによって、不要になる社内設備もあります。これまでスタッフひとりひとりに用意していたパソコンを、1台でも減らせたならコストカットになりますよね。ECサイトの場合では、商品登録や在庫管理、お客様からのメール問合せのアウトソーシングで、パソコンを使っての業務を大幅に減らせた事例もあります。副産物として社内設備のコストカットにつながる場合があることも、アウトソーシングのメリットのひとつです。
アウトソーシングのデメリット
アウトソーシングにはデメリットもあります。アウトソーシングを実際に導入する前に、デメリットも確認しておきましょう。
社内にノウハウが蓄積しない
アウトソーシングでは、良くも悪くも業務が手を離れてしまいます。自社で業務をおこなわないということは、社内にノウハウが蓄積しないという側面をもつことも忘れてはいけません。アウトソーシング先のプロから技術を盗もうにも、規模の違いから実現できないスキルも多いものです。とくに365日24時間体制のコールセンターなどは、自社で実現することは困難ですよね。自社の限られたリソースでどれだけのサービスを提供できるか、そのノウハウが蓄積されないことは、アウトソーシングのデメリットといえます。
機密情報が漏洩するリスクがある
アウトソーシング先で機密情報が漏洩するリスクは、ゼロにはできません。業務を委託する以上、多少なりとも大切な情報をアウトソーシング先に預けることとなり、守秘契約などを結ぶこととなります。顧客情報などの重要な情報が分散されるということは、漏洩リスクが上がってしまうことも事実です。神経質になりすぎることもよくないですが、機密情報の漏洩リスクというデメリットは知っておくべきでしょう。
コストが増える可能性もある
アウトソーシングによって、コストが増えることもあります。その業務のプロに委託するわけですから、当然といえば当然です。委託する業務の規模が大きくなるほどコストも比例して大きくなり、長期間にわたって業務を委託した場合、自社でスタッフを雇うほうが、コストが下がることもあります。スタッフの育成と、プロのクオリティー、どちらをとるかは企業の戦略次第となるでしょう。コスト面だけをみると、単純なコストカットといえないことは、アウトソーシングのデメリットです。
アウトソーシングに適している業種・業務とは?
実際にアウトソーシングするなら、どのような業務から委託するべきか。その判断基準として、以下の点で業務を見直してみてください。
●必ずしも社内でおこなわなくてもよい業務
●社内ではスペースが足りない業務
●繁忙期と閑散期の差がはげしい業務
●ルーティンが決まっている業務
●ルール変更が少ない業務
上記の項目にあてはまるなら、アウトソーシングを検討する余地があります。ECサイト運営の場合、倉庫管理業務をイメージするとわかりやすいかもしれません。倉庫での適切な保管は、必ずしも社内でおこなう必要はなく、可能であれば大型の倉庫に一括で商品をまとめておきたいものです。
また倉庫管理業務は、繁忙期と閑散期で業務量の差がはげしいため、固定の人数のスタッフでは負担がかかりすぎてしまったり、逆に仕事量が減りすぎてしまったりもします。現在おこなっている倉庫間業務のルーティンが決まっており、ルール変更も少ないのであればアウトソーシングの検討対象です。
ECサイトの運営業務でアウトソーシング(運営代行)すべき業務は?
業務効率化が期待できるアウトソーシングですが、すべての業務を外注できるわけではありません。アウトソーシングするべき業務については、以下の表を参考にするとよいでしょう。
新商品開発やマーケティングなど、ECサイトのコアとなる業務については、外注化せずに自社でおこなっていく業務です。一方で商品登録や受発注管理については、プロのノウハウやリソースを活用できるアウトソーシングと相性がよい業務といえます。業者によっては商品撮影や商品説明文の作成など、いわゆる「ささげ業務」を請け負ってくれるサービスも存在するため、取り扱う商材にあわせたサービスを選択しましょう。
ECサイトのアウトソーシング(運営代行)を選ぶポイントは?
ECサイトにおけるアウトソーシングは多岐にわたります。ここでは運営代行とよばれるアウトソーシングにしぼり、運営代行業者を選ぶポイントをまとめました。
売上を上げてくれるか
運営代行を依頼するからには、売上アップのアドバイスは欲しいところです。ところが指示通りの商品登録や、最低限のデザイン設計のみを請け負う業者も少なくありません。ECサイト運営のプロとして、売上アップの提案をしてくれる業者を選ぶことは大事なポイントです。
実績はあるか
運営代行業者の実績は事前に確認しておきましょう。また実績として紹介されたサイトが受けているサービスと、これから依頼するサービスに差がないかどうかも確認しておきたいところです。特別対応しているサイトを実績として紹介されている場合、同じような結果になるはずがありません。同じサービスが受けられるのか、どの程度の期間でこの規模まで成長したのかなど、できるだけ細かく確認しましょう。
対応してくれる業務範囲
運営代行を請け負う業者もさまざまです。デジタルマーケティングをメインとする業者による運営代行もあれば、デザイン制作会社の提供する運営代行サービスもあります。つまり運営代行業者によって、集客に強かったり、LP制作に強かったりと得意ジャンルは変わります。自社で苦手をする業務範囲をカバーしてくれる運営代行業者を選びましょう。
おすすめのECサイトのアウトソーシング(運営代行)業者11選<
アートトレーディング株式会社
ECサイト構築から配送まで、ECサイトの運営をほぼすべて請け負っている運営代行サービスです。とくにフルフィルメント業務のノウハウは豊富ですので、大切な商品を安心してお任せできます。できるかぎり外注化したいECサイトにおすすめのサービスです。
株式会社Eストアー
ECサイトのコンサルに強い運営代行サービスです。「課題解決よりも課題発掘」のスローガンにあるように、ECサイトが気付かなかった課題を発見し解決のサポートをしてくれます。なにから手を付けたらいいかわからないような、手一杯のECサイト運営者におすすめのサービスです。
株式会社いつも
ECサイトに関する書籍も多数出版している、株式会社いつもによる運営代行サービスです。マーケティングに強く、D2Cマーケティングに力をいれているという特徴もあります。集客面で非常に頼りになるサービスです。
MakeShop EC運営代行サービス
GMOが提供するMakeShopのノウハウが詰まった運営代行サービスです。10,000店舗以上のビッグデータを活用した運営ノウハウが魅力。成果報酬型のため、固定費が気になるかたにおすすめです。
askme(アスクミー)
楽天市場やYahoo!ショッピングなど、モール出店にも強い運営代行業者です。自社ドメインのサイト構築、引っ越しのサポートにも対応しています。モール出店からの多店舗展開を検討中のECサイトにおすすめです。
ECレスキュー
バックヤード業務をメインとする運営代行サービスです。ささげ業務やハンガー対応など、商材に合わせた保管・発送方法を依頼できます。デリケートな商材を扱うECサイトにもおすすめです。
株式会社ブランジスタソリューション
越境ECに向けたサポートが充実している運営代行サービスです。海外への販売時に必要な、リサーチ・翻訳・集客・決済・配送をまるごと相談できます。国外へ向けた越境ECを検討中のECサイトにおすすめです。
ECホールディングス
創業以来13年の実績をもつ運営代行サービスです。対応件数は500社、運営継続率91%という数字がその実力の高さをあらわしています。実績のある運営代行サービスをお探しのECサイトにおすすめです。
サヴァリ株式会社
広告分析などのマーケティングに強い運営代行サービスです。同社が開催するセミナーなどにより、スタッフの人材育成も実現できます。運営代行を頼みながら、スキルも身に着けたいECサイトにおすすめです。
株式会社アプロ総研
受注から出荷までの業務に特化した運営代行サービスです。個人情報保護のプライバシーマークを取得しているため、情報漏洩の心配がありません。12年の実績もあり、安心しておすすめできるサービスです。
Hameeコンサルティング株式会社
コンサルティング会社が提供する、ECサイトの運営代行サービスです。楽天市場の競合他社の販売数を推計するツールなど、独自の調査が魅力。運営代行業者と共に、ECサイト運営に関わっていきたいかたにおすすめのサービスです。
まとめ
多忙を極めるECサイトの運営でも、コアとなる業務の手は抜けません。新商品の開発やマーケティングといった、コアな業務をおこなうリソースを確保するには、適度なアウトソーシングが重要です。取り扱う商材や、運営のスタンスに合わせたアウトソーシング先を選びます。場合によっては、運営業務をまるごと外注するBPOも検討するべきです。数ある運営代行サービスの特徴を理解し、ECサイトの売上アップを実現しましょう。