日用消費財をECで買う理由は「お得感」、「環境への配慮」は若い女性が支持
株式会社ミンテルジャパンが展開するMintel Japan Reportsは、日本の消費者のFMCG製品(日用消費財)の購買に関する調査・分析を行った。
ECで日用消費財を購入する理由は「お得感」
新型コロナウイルスは、世界のEC市場の拡大に拍車をかけ、今やオンラインショッピングは多くの消費者のライフスタイルに欠かせないインフラとなっている。
Mintel Japan Reportsの最新の調査では、FMCG(日用消費財)製品を店頭ではなくECで購入したいと考える日本の消費者は多く、そのおもな理由は「お得感」で、生活習慣として日々消費される健康食品や化粧品がECで多く購入される傾向にあることがわかった。
一方で、食品や洗剤などの家庭用品は「すぐに持って帰りたい」「実物を見て買いたい・選びたい」といったニーズから、店頭での購入を好む消費者がまだまだ多い傾向にある。
本調査・分析結果のポイント
今回の調査結果から浮かび上がったポイントは下記の通りだ。
・日本の消費者がFMCG製品(日用消費財)をECで購入するモチベーションは、「送料無料」「クーポン」「価格の安さ」といった「お得感」にある
・ECで多く購入されているFMCGカテゴリーは健康食品(69%)と化粧品(47%)
・ EC事業者への個人情報提供に対する抵抗感は年齢が上になるほど強くなるが、これをもとに提供されるレコメンデーションの恩恵を一番受けているのはシニア層
・環境に配慮した取り組みを行っているECサイトが若い世代や女性に支持される傾向に
シニア層でいまだ理解の薄い情報提供のメリット
パーソナライゼーションは、顧客が自身の意思、もしくは知らず知らずのうちにECサイト上に登録した情報やサイトに残る購買履歴などのデータを活用してユーザーに提供される、個々人のためにデザインされた経験だ。
パーソナライゼーションを目的としたデータ活用の恩恵について、「良くわからない」日本人は年齢が高くなるほど多くなる。一方で、それをもとにしたECのレコメンデーション機能で購買に至ったことがあるシニア層は4割にのぼり、その下の年代よりも高くなっている。
個人情報の提供は良いレコメンデーションを受けるための材料である一方、情報提供へのメリットが広く理解されていないため、このギャップを埋めていくことが重要となる。
このギャップが最も大きいのが、シニア層でも特に女性と言える。EC事業者は、このような女性を対象に、噛み砕いた透明性の高いコミュニケーションを取りつつ、丁寧なパーソナライゼーションを続けていくことが求められる。
「サステナビリティの推進」においても存在感を増すEC
ECの良さとして先行しがちなのは「利便性」や「お得感」だが、グローバルトレンドではサステナビリティの推進という文脈でもECの存在感が大きくなりつつある。
例えば、店頭購入では持ち帰りが大変な洗剤などの大容量製品は、包装材や運送時のCO2削減など、下げられる環境負荷が大きい。
また、補充の頻度の高い家庭用品や日用品については、その手間を減らすという意味で大容量製品の利点は大きく、特に車を持たない忙しい子育て世代の若い女性などにとっては重い大容量製品を宅配してもらえるECのメリット大きい。
ECに「エコ」を期待する消費者は若い女性消費者に多く、利便性とエコを兼ね合わせているという意味で、ECとこの層の相性も良いと言えそうだ。
ECは、「実店舗で買うより安い」あるいは「重いものを持って帰らなくてもいい」といった実利的なメリットが消費者に支持され、拡大してきた。しかしこれからのECには、「価格」や「利便性」だけでなく、「新たな気づきが得られる」「精神的に豊かなライフスタイルを提案してくれる」など、より高次元の付加価値がますます求められていくだろう。