日本ではカゴ落ちが継続的な問題・国内ECサイトの97%が決済フォームに多くの課題を抱える【Stripe調査】

ECのミカタ編集部

インターネットのための経済的インフラストラクチャを構築するストライプジャパン株式会社は、ECにおける決済フォームに関する調査を行い、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

決済フォームの設計に関する問題点トップ5

78%:有効期限切れクレジットカードが使用されてもリアルタイムでエラーメッセージが表示されない

76%:無効なクレジットカード番号が入力されてもリアルタイムでエラーメッセージが表示されない

75%:クレジットカード番号の入力時にカードのタイプが確認されず、支払いの詳細をリアルタイムで検証する機会を逃している

61%:次回に備えた支払い情報の保存ができない

56%:住所のオートコンプリートを導入していない

求められるモバイル最適化

求められるモバイル最適化

調査対象者の 52% は、買い物の半分以上をモバイルデバイスから行っていると回答しているが、スマートフォン取引でのカート離脱率はデスクトップの 2 倍以上とされている。そのため、決済ページをスマホ画面に合わせて表示させる必要があるが、調査対象サイトの多くは決済フォームにおいて最適なモバイル体験を提供できていなかった。

94%:Google Pay・87% が Apple Pay に対応していない

46%:ゲストチェックアウト機能を提供していない
*調査対象者の 25%が、決済時時にアカウント作成を要求された場合、カートを破棄すると回答

41%:モバイルでクレジットカード情報を入力する際にテンキーを表示していない

サブスクへの対応状況

サブスクリプションビジネスの規模は拡大しており、Stripe の調査によると、日本の消費者は、平均2つの有料サブスクリプションサービスを利用している。調査では、グローバルに展開するサブスクリプションビジネスの決済フローにおけるベストプラクティスとして、決済フォームにおける以下の3点が明らかになった。

53%:決済ページでクーポンコードを直接入力できる

47%:ウォレットや口座引き落としなどの再利用可能な決済手段に対応している

44%:無料トライアルを提供している

信用とセキュリティにも課題

調査対象者によると、購入体験に影響を与えた上位2つの要因のうちのひとつがWebサイトの安全性で、安全性を懸念してWebサイトの利用を止めたことがあると回答した回答者も少なくなかった。しかし、注文を確定した後に追加のセキュリティ手順を求められると、顧客は面倒に感じ、結果として顧客体験や売上の機会損失に影響する。信用とセキュリティ面における課題として、決済フォームにおける以下の3点が明らかになった。

76%:ソーシャルメディアのプロフィールを使ったアカウント作成ができない

46%:ゲストチェックアウト機能を提供していない

10%:注文詳細を簡単に変更・修正できるような、注文内容の確認ページを表示していない

各地域への適応状況

各地域への適応状況

調査対象者の10%は、利用したい決済手段が使用できなかったことを理由に、過去 1 年間に購入を断念したことがあると回答している。最適な決済方法とは、対応可能な決済手段の数ではなく、決済オプションの適切な組み合わせにあることがわかった。

ECサイトの大多数は、クレジットカードに加えて合計4つの決済手段に対応している。複数の市場で展開する上位のECサイトを調査したところ、対応する決済手段の数は増えておらず、代わりに国ごとに決済手段を調整し、現地のコンバージョンを最適化していた。例えば、中国の顧客にAlipayとWeChat Payの決済手段を提供し、オーストラリアの顧客にはAfterpayを提供しているECサイトがあった。

[日本国内で人気の高い決済手段]
代金引換 36%、コンビニ決済 25%

[アジア太平洋地域各国で人気の高い決済手段]
オーストラリア:Afterpay 59%、Zip Pay 40%
ニュージーランド:Afterpay 52%、銀行振込 23%
シンガポール:GrabPay 18%、銀行振込 15%
マレーシア:FPX 60%、Boost 46%

課題解消が売上につながる

今回、インターネットのための経済インフラを構築するStripeは、Edgar, Dunn & Companyと提携して日本における上位100のECサイトを対象とした調査を実施した。その結果、大多数の訪問数の高いサイトにおいて、ユーザーが購入を確定し支払いを完了させる決済(チェックアウト)機能に問題があることが判明した。驚くことに、97%以上のサイトが決済フォーム上に5つ以上の基本的な課題を抱えていたのだ。

調査では、日本のオンライン消費者は支払い体験において、スピード、わかりやすさ、モバイル向けに最適化されていることを求めており、24%が購入に2分以上かかると途中でやめてしまう傾向にある。

ECサイトの多くは2分以内の購入体験を提供できておらず、消費者の 67% が購入を完了するまでに平均3分以上かかっていると回答した。17%は、過去1年間に注文をやめた理由として、購入手続きが長くて複雑だったことを挙げている。

オンラインショッピングカートの大半が破棄されてしまう中、決済フォームの基本的な課題を解消し、顧客にシームレスな決済体験を提供することが売上アップにつながるだろう。消費者や企業の購買活動のオンライン化が加速する今、これは特に喫緊の課題となりそうだ。

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