「北欧、暮らしの道具店」のアプリが1年半で150万DLを突破。年間売上1.7倍、EC売上の6割がアプリ経由になった要因とは?
株式会社クラシコム(本社:東京都国立市、代表取締役:青木耕平)は、同社が提供するライフカルチャープラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」のスマホアプリ(iOS・Android)が、iOS版に続いて2020年4月にAndroid版を提供開始してから、1年半で150万ダウンロードを突破したと発表した。
また、スマホアプリの提供開始前後で比較すると、年間売上が約1.7倍増の45.3億円に伸長。現在では、月間EC売上の56%がアプリ経由となっているという。
1年半でアプリDLが150万を突破
「北欧、暮らしの道具店」では、SNSからの誘導だけに依存しないリピートユーザーの獲得と、同社が提供する商品ページ・コラム・動画・ポッドキャストといった多様なコンテンツをシームレスに行き来できる独自プラットフォームを構築するため、2019年11月にiOSアプリを提供開始。
2020年4月にAndroidアプリを提供開始してから1年で100万ダウンロードを突破し、1年半となる2021年10月に150万ダウンロードを突破した。
EC購入比率は56%がスマホアプリ経由に
スマホアプリは売上向上にもつながっており、アプリ提供前の2019年7月期の売上27.4億円に対し、アプリ提供後の2021年7月期には年間売上が約1.7倍増の45.3億円に伸長した。
スマホアプリのダウンロード数が150万を突破した2021年10月のEC購入比率は56%がスマホアプリ経由となり、ウェブサイト経由よりも高い割合を占めた。アプリのダウンロード数は提供開始から右肩上がりで増加しており、さらなる利用者の拡大が見込まれている。
同社は、アプリの成功要因が、導線のシームレス設計、YouTube動画活用、ウィジェット活用の3点にあると分析している。
成功要因①:導線のシームレス設計
「北欧、暮らしの道具店」のスマホアプリでは、商品が購入できる「商品」、コラムなどが読める「記事」、ドキュメンタリーやvlogなどの動画が観られる「ビデオ」、スタッフ同士の雑談やエッセイの音読が聞ける「ラジオ」のコンテンツを配信している。これらの多様なコンテンツをシームレスに遷移する設計で巡回を促進、購買や顧客のファン化につなげている。
具体的には、スワイプするとすぐに自分が見たいコンテンツに移動できたり、全コンテンツを一覧化してブックマークできたりする「お気に入り機能」など、シームレスな設計が好評で、ウェブページを利用していたユーザーが徐々にスマホアプリに移行している。
成功要因②:YouTube動画でアプリDLを促進
2020年4月にはYouTubeにて、スマホアプリの紹介動画を公開。「北欧、暮らしの道具店」の世界観や、アプリを日常的に使うイメージを持った上でダウンロードされるように、同店の公式YouTubeチャンネルでの人気動画シリーズ「わたしの好きな時間」でアプリのある生活を描いた動画を制作し、既存ユーザーへアプリ移行を促進した。
あわせて広告配信も行うことで新規ユーザーも獲得し、アプリのダウンロード数は2倍に伸びたという。
成功要因③:ウィジェットでアプリの起動や継続利用を促進
2021年2月からは、スマホアプリを開かなくてもホーム画面上で更新情報を受け取ることができる機能「ウィジェット」を追加。現在「北欧、暮らしの道具店」では、ウィジェットを通して1日に3回程度、写真を添えて新着商品や配信時間帯に合わせたコラムやレシピなどの情報を配信し、アプリの起動を促している。
ウィジェットは、運営者は時間帯に合わせて最適なコンテンツと画像を配信することができ、ユーザーもプッシュ通知のようなわずらわしさを感じることなく、好きなときにタップしアプリを起動することができるという、双方にとって利点の多い機能だ。
ウィジェットで通知を行うには、ユーザー側で設定する必要があるため、2021年3月に「わたしの好きなおうち時間」シリーズでウィジェットの機能や設定方法を解説する動画を公開し、具体的な追加方法をまとめて紹介した。これにより、ウィジェットを通じたスマホアプリの起動数は約2倍に増加。
機能搭載から1年未満で、ウィジェットからアプリを起動する人は、DAU(1日当たりのアクティブユーザー)の約10%を占めている。さらに平均して1人当たり月に15回、半数以上のユーザーが6ヶ月後も継続してウィジェットからアプリを起動しており、アプリの継続利用にもつながっていると見られる。
ECサイトのアプリ化は、ユーザーとの接触頻度の増加やリピート率向上が見込まれるとして近年注目されている。
知名度やブランド力のある大手ECサイトを中心に成功事例も多いが、ECサイトをアプリ化しても、アプリをダウンロードさせるための導線の確保や、軽く使いやすいアプリ設計などがうまくいっていなければ、「絵に描いた餅」になってしまう可能性が高い。
今回の「北欧、暮らしの道具店」の成功事例は、ECサイトのアプリ化を検討している事業者や、アプリ化したものの思うようにダウンロード促進や起動促進ができていない事業者にとって、示唆に富んだものとなりそうだ。