2021年、クリスマスの消費意識と行動は?【インテージ調査】
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、クリスマスシーズンを前に、全国の15歳から79歳の男女(2,101人)を対象に実施した調査結果を公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
調査概要
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:「マイティーモニター(同社キューモニター+提携モニター)」より母集団構成比にあわせて抽出しアンケート配信および回収
標本サイズ:n=2101
調査実施時期: 2021年12月1日(水)~12月2日(木)
「クリスマスに予定がある」約半数
現在予定しているクリスマスの贈り物や買い物、イベント(食事会・パーティや旅行を含む)について予定があるかを聞いたところ、「クリスマスになんらかの予定がある人」は全体では47%となっていた。
男女別でみると女性は53%が「予定がある」と回答しており、男性よりも12ポイント高くなっていた。女性の方がクリスマスにプレゼントをはじめとした買い物やパーティなどのイベントなどを企画して楽しみたいと考えている人が多いようだ。
クリスマスの予定について内訳をみると、「クリスマスプレゼントの購入(自分用を含む)(30%)」や「自宅でのクリスマスパーティ(25%)」が多くなっていた。次いで、自宅を離れての「クリスマスイルミネーションを見に行く」、「レストランなど飲食店で食事をしたりクリスマスパーティ」、「友人・知人宅でのクリスマスパーティ」といったイベント系が続いた。
予算は2019年並みに回復
次に2019年、2020年、2021年と3年間の変化をみると、新型コロナの第3波感染拡大の渦中にあった昨年のクリスマスに対してすべての項目が増加しており、今年のクリスマスは去年よりも楽しみたいという期待が感じられる結果となった。
「自宅でのクリスマスパーティ(25%)」がコロナ前の2019年を上回っている一方で、「クリスマスイルミネーションを見に行く(5%)」や「レストランなど飲食店で食事をしたりパーティ(4%)」といった外出や移動を伴うイベントについては、昨年よりも増加したものの2019年より大きく減少していたりと生活者の感染不安を反映して安心・安全を念頭に置いた行動になっているように見える。
プレゼントや食事、旅行といったクリスマスを機会としたイベントにどのくらいの支出をするか質問したところ、平均金額は21,331円と去年から4,700円ほどアップしていた(図表3)。自宅でのパーティやプレゼントを中心にした安心・安全なクリスマスを念頭に置きながらも昨年よりも財布の紐は緩みそうだ。
今回の調査結果と15~79歳の推定人口から「クリスマス関連市場規模」を試算したところ、2019年は2兆1,456億円、2020年 は1兆6,220億円(前年比76%)、2021年の見込みは2兆816億円(前年比128%)となった。2019年と比較すると97%とわずかに下回ったが、生活者の予算は2019年度並みに戻りつつあるようだ。
またクリスマスのプレゼントを贈る相手を聞いたところ、「子ども」との回答が半数の50%を占めた。次いで「夫・妻」が37%となっている。また「ご褒美消費」とも呼ばれる自分用のクリスマスプレゼントも1割ほど確認できる。年代別にみると、30~40代では「子ども」、「夫・妻」というご家庭内でのプレゼントが多くを占めた。また10~20代に目を移すと「恋人」が最も多くなった。
クリスマスに一番お金をかけるものは?
今年のクリスマス関連のイベントで一番お金をかけるものについて聞いたところ、「子ども向けのプレゼント」は24%と最も高く、次いで、「自宅でのクリスマスパーティ(21%)」が続いた。
年代別にみると、30~40代は「子どものプレゼント」、あるいは「夫・妻」が高く、10~20代は「恋人へのプレゼント」が高くなった。また、10代においては男女ともに「自分用のプレゼント」が他の世代と比較して高くなっているのも特徴的だ。
「子ども向けのプレゼントに一番お金をかける」と答えた人にプレゼントに予定しているものを尋ねたところ、「ゲーム」が35%と最も高く、ゲームの購入予算の平均金額をみると「12,085円」となった。また、「ゲーム」に次いで「その他」が高くなっており、「その他」の内訳を詳しく見てみるとゲーム以外の「おもちゃ」との回答が大半を占めた。また、おもちゃ以外には「自転車、三輪車」や「現金・電子マネー」といったものもあった。
最後に今年のクリスマスの過ごし方に関する考えや行動について尋ねたところ、「家族や恋人など少人数で会食程度に留めたい」が3割弱を占めた。また「少人数でも会食などはしない(10%)」や「繁華街など人の多い場所には近づかない(21%)」といった感染への警戒心からの行動抑制も浮き彫りになった。
さらに、先行きの不安から「あまりお金をかけずに過ごしたい」は27%にのぼり、「それなりにお金を使って楽しみたい」の11%を大きく上回る回答となった。
リベンジというよりは回帰
調査結果にあるように、2021年のクリスマス、イベントの「予定あり」は47%。女性は53%と男性の41%を大きく上回った。予定しているイベント上位は「プレゼントの購入」が30%。また、「自宅でのクリスマスパーティ」は25%だった。
プレゼントを贈る相手は半数は「子ども」、次いで「夫・妻(37%)」と家庭内が中心。20代では「恋人」、10代では「自分用」が目立つ。クリスマス関連で使う金額は、コロナ前の2019年は21,987円、2020年は16,621円と約5,000円程度大きくダウンしたものの、今年の予算は21,331円と約4,700円の大幅アップした。推定市場規模は2兆816億円と前年比128.3%の大幅増を予測している。
生活者研究センター長、田中宏昌氏は次のように述べている
「クリスマスにかける予算はコロナ前に戻りつつあるものの、使い方へ目を向けると、『家族や自分へのプレゼント』や『自宅でのクリスマスパーティ』といった『家族・家庭』をキーワードとしたシーンが浮かんできます。~どこよりも暖かく安心できるお家で。少しだけ贅沢なおいしい食事やお酒を準備して。妻や夫、子どもには心からのプレゼントを用意して~リベンジ(復讐:revenge)ではなく、リカージョン(回帰:recursion)。コロナ不安で抑制していた欲求を解放するのではなく、自分にとって本当に大切にすべきものを再認識してより豊かな時間を過ごしたい、そうした想いを映したクリスマスになるのでは」
今回の調査では、贈り物や食事会・パーティ、旅行といったクリスマス関連に支出したいと考えている金額は、コロナ前(2019年)の水準へ戻りつつあることが示唆された。
一方で、新規感染者数が減少し明確な再拡大は確認されていないものの、これまでの度々の再拡大や「ブレークスルー感染」、さらには国内においても「オミクロン株」が確認されている現状を鑑みて、2021年のクリスマスも手放しで楽しめる状況にはなっていない生活者の心理状況もうかがえる調査結果となったようだ。