3温度帯とは?食品ECにおける課題や外部委託のメリット

ECのミカタ編集部

主に食品の保管や配送に用いられる「3温度帯」。温度管理が重要な食品を取り扱ううえで、「適正な温度帯を把握したい」「より効率的な管理・運営を行いたい」と考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、3温度帯で用いられる保管温度や倉庫における温度管理の基準、食品ECが抱える課題について解説する。食品の管理・配送を外部委託するメリットについても紹介しているので、自社の体制を見直す際の参考にしてほしい。

目次

●3温度帯とは
●食品倉庫における保管温度
●食品を取り扱うEC業者における、運営上の課題
●食品の管理・配送を委託するメリット
●外部委託サービスを選ぶときのポイント
●まとめ

3温度帯とは

3温度帯とは、食品の配送時・保管時に用いる温度指定のことで、「保管温度帯」と呼ばれることもある。まずは、3温度帯における保管温度や4温度帯との違いなどを把握しよう。

3温度帯の保管温度


3温度帯では、「常温」「冷蔵」「冷凍」の3つの温度帯で食品の温度管理を行う。呼称や保管温度はサービス会社や倉庫、保管する商品によって異なるが、一般的な温度帯と保管温度は以下の通りだ。

 

4温度帯との違い


4温度帯とは、3温度帯に「定温」と呼ばれる温度帯を加えたものだ。定温とは、主に10~20℃の温度帯において一定の温度や湿度を保つ環境のこと。対象品目にはワインやチョコレート、フルーツなどの、繊細で温度による品質管理が必要な食品が挙げられる。


食品倉庫における保管温度

続いて、食品倉庫における温度管理についてみていこう。

食品倉庫は温度帯によって区分される


食品を保管する温度帯に応じて、食品倉庫も4種類に分けられる。各倉庫の特徴は以下の通りだ。

常温倉庫:温度・湿度の調整を行わない倉庫。季節や立地の影響を受けるため、温度の変化によって品質が損なわれない食品の保管に適している
定温倉庫:一定の温度と湿度で管理する倉庫。温度変化によって品質が損なわれる食品の保管に使用する
冷蔵倉庫:10℃以下の食品を保管する倉庫の総称。一般的には、そのうち-20~10℃の温度管理が必要な倉庫を指す
冷凍倉庫:冷蔵倉庫のうち、-20℃以下で食品を保存する倉庫

冷蔵倉庫・冷凍倉庫における温度管理の基準


冷蔵倉庫・冷凍倉庫における保管温度帯は、倉庫業法における「基準保管温度」によって、以下のように7等級に定められている。

C級(チルド)に分類されるものを冷蔵倉庫、F級(フローズン)に分類されるものを冷凍倉庫で保管すると解釈するとよいだろう。


食品を取り扱うEC業者における、運営上の課題

食品の取り扱いには、さまざまな点に注意を払う必要がある。ここでは、食品ECサイトを運営する業者が抱える、運営上の課題を見ていこう。

自社倉庫の運営に多額のコストがかかる


まず、温度管理が必要な食品倉庫における設備費や維持費、人件費に多額のコストがかかることが挙げられる。倉庫業法により、倉庫業を営む場合には「防水性能」「消火設備」「防犯装置」などの設備基準を満たさなければならない。加えて、温度管理が重要となる冷蔵倉庫・冷凍倉庫ではエアコンやドッグシェルターなどの設備や、倉庫内の霜・湿気対策、従業員の防寒着なども必要となるため、常温管理の倉庫運営に比べコストがかさむだろう。

一定の温度管理が難しい


自社配送では、一定の温度管理が難しいことも課題だ。食品を適切な状態で顧客に届けるには、店舗だけでなく、保管倉庫や食品を運ぶコンテナ、配送車両などにおいても一定の温度で管理する必要がある。倉庫やトラックの性能などによって適切かつ安定した温度での管理が行われない場合、鮮度が維持できない・品質が劣化するなどの可能性が懸念されるだろう。

在庫管理が複雑


賞味期限・消費期限があり温度管理を求められる食品の取り扱いでは、より細かな在庫管理が重要だ。一方で、食品ECは家電製品や衣料品に比べ、期限の切れたもの、品質の悪いものを破棄しなければならないという特徴がある。在庫管理が徹底されていない場合、在庫がなく「受注後に在庫切れのメールを送信しなければならない」などの事態にもなりかねない。顧客の信頼を失わないためにも、効率のよい在庫管理が求められるだろう。


食品の管理・配送を委託するメリット

食品ECが抱える課題を解決する手段の1つとして、近年、倉庫での在庫管理から配送までの一連の物流業務を委託できる「3PL」などのサービスが登場している。ここでは、食品の管理や配送業務を外部委託するメリットを紹介する。

コストの削減


在庫管理や配送を外部に委託する最大のメリットは、前述した倉庫の設備費、光熱費の他、システムの導入費や人材の教育コスト、人件費を削減できることだ。一般的な料金は基本料金と月額利用料(「月額固定制」もしくは「従量課金制」)からなるため、自社の物量に応じたプランを選択することで月々の費用を抑えられるだろう。

食品の広域配送


在庫管理から配送まで安定した温度管理を行うことで、食品の広域配送が可能になることもメリットとして挙げられる。これまでの自社配送では、品質維持の観点から、低温や一定の温度での管理が必要な食品は遠方への配送が難しいと考えられていた。

3PLを提供しているサービス会社ではコールドチェーン(一定の温度を維持したまま生産から配送までを鎖のようにつなげる仕組み)を確立しているため、これまで対象としていなかった地方への発送が可能となり、販路拡大につながるだろう。

異なる温度帯の商品の同時配送


提供するサービス会社によっては、配送車両の庫内を複層式にし、3温度帯の同時配送を可能としているところもある。これにより「食品ごとの温度管理が徹底できる」「温度帯の異なる商品を顧客に同時に届けることができる」などのメリットも期待できる。

管理や事務作業の負担軽減


物流業務を一括して任せられるため、在庫管理や事務作業が軽減されることもメリットだ。人的ミスが減る、コア業務に集中できるなどの効果も期待でき、それにより企業全体の効率や生産性、顧客満足度の向上にもつながるだろう。


外部委託サービスを選ぶときのポイント

最後に、外部委託サービスを選ぶ際のポイントを紹介する。気を付けたい点は以下の通りだ。

●対応している温度帯(倉庫/車両)
●対応可能な商品
●対応している地域
●倉庫の拠点・数
●料金・プラン
●同時配送の可否
●共同配送の有無

サービス会社によって対応している温度帯や設定温度などはさまざまななため、自社の商品が適切な温度で管理されるよう、細かなヒアリングを行おう。


まとめ

食品の管理や配送は主に3温度帯、もしくは4温度帯の温度区分によって行われる。取り扱う食品によって適切な管理温度は異なるため、品質を損なうことのないよう、適切な倉庫管理・配送管理をすることが重要だ。管理から発送業務をまとめて外部委託できるサービスもあるので、自社の管理状況やコスト、人材配置などを整理したうえで、サービス導入を検討してみてはいかがだろうか。

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