受発注管理システムとは?導入前に知っておきたいメリット・デメリット、おすすめシステム12選
受発注管理システムとは
受発注管理システムとは、受注や発注に関連する一連の業務を管理するためのシステムです。卸売業者と小売店、食品卸とレストランなど、主にBtoBの取引において導入されます。受発注管理システムを導入すると、受発注にかかる業務を効率化できるだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
受発注管理システムの導入検討が必要な企業とは
受発注管理システムは、あらゆる企業において導入すべきシステムではありません。ビジネスにおいて必須のシステムではないため、自社の現状を鑑みたうえで導入すべきかどうかを判断する必要があります。
以下では、受発注管理システムの導入を検討すべき企業の特徴について解説します。
受発注業務の負荷が大きい
受発注管理システムは、業務負担を軽減するうえで効果的です。経営している店舗数が多かったり、FAXで処理していたりと、受発注業務の負荷が大きい場合、システムの導入によって改善を図れるでしょう。目安として5店舗以上の店舗数を展開する企業は、アナログ作業だと効率が悪くなりがちです。
取引先の数が多い
取引先の数が増えるほど、受発注の業務負担は大きくなります。受発注管理システムの導入効果は「店舗数×取引先数」といわれているため、店舗数が少なくても取引先数が多い場合は、導入を検討すべきです。
とくに取引先が多いと、発注書や納品書の数が増えて煩雑になりやすくなります。店舗数が多い場合、各店舗で処理する量はそれほど多くありませんが、取引先が多い場合は1店舗あたりの負担が増えるため、苦労を感じるかもしれません。
納品書や請求書が多く管理工数を削減したい
受発注業務の負担は、基本的には店舗数と取引先の数に比例しますが、それだけではありません。消費期限の短い食材などを仕入れる場合、受発注のスパンが短くなる分、納品や請求の回数が増えて負担が大きくなります。
店舗数や取引先数による計算はあくまでも目安であるため、従業員が負担を感じている場合には導入を検討すべきです。受発注管理システムの導入は管理工数の削減にもつながります。
受発注管理システムの主な機能について
受発注管理システムの導入を検討する際は、どんな機能があるかを理解しておくことが大切です。自社の受発注のフローに合わせて検討しないと、導入後にそれほど効果が得られないリスクもあります。
以下では、受発注管理システムの主な機能について解説します。
発注側の機能
受注側の機能
受発注管理システムの導入メリット
受発注管理システムの導入には、業務効率化をはじめ、さまざまなメリットがあります。受注側と発注側のそれぞれに異なるメリットがあるため、業務ごとにチェックしておくとよいでしょう。
以下では、受発注管理システムのメリットについて解説します。
発注業務のメリット
受発注管理システムを利用すると、発注したデータをいつでもリアルタイムで確認できます。発注した店舗だけでなく、本社のPCや外出先のスマートフォンでもデータを取得できるため、場所を問わずアクセスできる点も魅力です。
さらに、発注データの自動入力によってヒューマンエラーの防止にも役立ちます。発注したデータをダイレクトに記録できるだけでなく、棚卸表も自動で作成できるため、業務効率化にもつながるでしょう。
受注業務のメリット
工数削減やヒューマンエラーの抑止は、受注側にも共通するメリットです。販管システムと連携すれば、大幅に管理の手間を削減できるでしょう。
さらに、受注ルートを集約できる点もメリットです。受注側は、多くの業者から注文を受けるため、受注ルートも多種多様です。しかし、電話やFAX、メールといったように、受注方法が分かれているとデータをまとめるだけでも苦労します。システム上での発注をメインとして、システム発注に対応できない業者のみ、営業担当者が代理入力する仕組みを整えれば、受注ルートの一本化も可能です。
また、システムを導入すると、自動的に郵送やFAXのやりとりが減ります。印刷や封入の作業がなくなるうえ、郵送コストの削減、用紙の消費量減少にもつながるでしょう。
受発注管理システムの導入デメリット
基本的にはメリットが多いものの、受発注管理システムにはデメリットもあります。デメリットを知らずに導入してしまうと、デメリットがボトルネックとなる可能性が高いため、利用を検討する際はかならずチェックしておくべきです。
以下では、受発注管理システムのデメリットについて解説します。
発注業務のデメリット
自社の取引形態に適したシステムを選定しないと、それほど業務効率化につながらないおそれもあります。たとえば、複雑な設定を必要としないにもかかわらず、細かな発注設定ができるシステムを導入しても意味がありません。むしろ、操作性の複雑さから使いにくいと感じることもあるでしょう。
また、受発注管理システムの利用は、取引先にも同様のシステムがあることが前提です。取引先がシステムを導入できない場合、システム上で発注した内容をメールやFAXで自動送信する機能などを利用する方法があります。
受注業務のデメリット
前述のとおり、受発注管理システムは取引先どうしがシステムを導入して、効果を発揮します。どちらか一方が導入しても、それほど大きな効果は得られません。しかし、個人店や中小企業との取引が多い場合、すべての取引先にシステムを導入してもらうのは難しいはずです。導入してもらえる取引先が少ないと、想定していたようなメリットが得られない可能性もあるため、注意しましょう。
受発注管理システムを比較する際のポイント
受発注管理システムを導入する際は、自社の取引形態や取引先に応じて、適切なシステムを選択することが大切です。さまざまなシステムがあるため、それぞれの特徴を比較して選ばなければいけません。
以下では、受発注管理システムを比較するうえでのポイントについて解説します。
自社の導入目的に合ったシステムか
まず、チェックすべきポイントは導入目的です。たとえば、業務負担軽減を目的とする場合、どんな業務に工数がかかっていて、どんな業務が負担となっているかを確認する必要があります。
多くの受発注管理システムは、基本的な機能は変わりませんが、強みや特長をもっています。自社における業務課題となっている部分について強みをもっているシステムを導入するのが望ましいでしょう。
取引先企業も導入しやすいシステムか
受発注管理システムは、自社と取引先の双方が導入すると真価を発揮します。そのため、取引先企業において導入しやすいかどうかも比較のポイントです。たとえば、導入コストが高すぎるシステムや、複雑な操作が多いシステムは敬遠されやすく、導入してもらえない可能性が高まります。また、既存の取引先が利用しているシステムを中心に、検討するのも一つの手です。
作業の操作感・容易性はどうか
接客や品出しに追われる店舗では、操作性や容易性が重視されます。求められるのは、ルーティン業務の合間に、スムーズに受発注できるシステムです。
とくに、経営陣の想定と現場のニーズは異なる場合が多く、注意すべきです。たとえば、経営陣は細かな設定ができて高機能なシステムを求めていても、現場では忙しい中でもシンプルに操作できるシステムを希望しているかもしれません。現場におけるニーズをヒアリングしたうえで比較することが大切です。
サポート体制はどうか
サポート体制は、導入するシステムによって大きく異なるため、事前にチェックすべきです。たとえば、電話によるサポートを無料で提供しているサービスもあれば、有料としているところもあります。受発注管理システムは、企業運営の根幹になる部分であるため、導入前と導入後のサポート体制は入念に確認しておく必要があります。
おすすめ受発注管理システム比較12選
受発注管理システムの導入を検討する際は、導入事例が多いサービスを中心に、複数比較して選ぶと失敗しにくくなります。導入事例の多いサービスは、利便性や操作性に長けているだけでなく、取引先が利用している可能性も高く、受発注管理システムを選ぶうえで有力候補です。以下では、おすすめの受発注管理システムを紹介します。
BtoBプラットフォーム 受発注(株式会社インフォマート)
BtoBプラットフォーム 受発注は、株式会社インフォマートが提供するクラウド型受発注管理システムです。クラウド上のサービスを利用するシステムのため、個別開発の必要がなく、低コストで導入できる点が特徴です。とくに、飲食業界向けの機能が充実しています。スマートフォンやタブレットを利用した発注にも対応しています。
楽楽販売
楽々販売は、株式会社ラクスが提供するクラウド型販管システムです。自動化を強みとしており、業務効率化には最適なツールです。毎月の請求の自動化はもちろん、時間指定で処理を実行する機能やメールのデータベース化をはじめ、工数削減や業務負担の軽減につながる機能を豊富に備えています。また、スマートフォンからも各種データにアクセスできます。
CO-NECT
CO-NECTは、CO-NECT株式会社が提供するクラウド型受発注管理システムです。クラウド型のシステムでありつつ、カスタマイズの自由度も高く、自社の運用体制に応じた導入が可能です。初期費用ゼロで導入できるため、コストを抑えて試してみたい事業者に向いています。スマートフォンで利用できるほか、LINE連携機能を利用すれば、LINE経由での受発注にも対応できます。
MOS
MOSは、株式会社アクロスソリューションズが提供するWeb受発注管理システムです。業種に応じたカスタマイズができるほか、モバイルデバイスでも操作しやすいUIが特徴的です。スマートフォンやタブレットからも利用できます。また、クラウド版のMOS Liteも提供しているため、比較しつつ検討してみるとよいでしょう。
アラジンEC
アラジンECは、株式会社アイルが提供するWeb受発注管理システムです。もともとBtoB-ECの構築パッケージとして開発されており、受発注に必要な機能もパッケージ化されています。システム開発に関して、豊富なノウハウをもったベンダーが開発しているため、カスタマイズにも対応しやすい点が特徴です。スマートフォンやタブレットにも標準対応しています。
NEXT ENGINE(ネクストエンジン)
NEXT ENGINEは、Hamee株式会社が提供する受注管理システムです。同社は、EC運営のサポートツールをメインに開発しており、NEXT ENGINEもECに特化しています。楽天市場やAmazon、PayPayモールをはじめ、大手ECモールに対応しているため、ECモールに出店している事業者に向いています。スマートフォンを利用した受注管理にも対応可能です。
COREC
CORECは、株式会社ラクーンコマースが提供するクラウド型受発注管理システムです。無料プランのほか、月額1,000円前後で利用できるプランも用意されており、コストパフォーマンスの高いシステムです。シンプルな手順で注文フォームを作成して、受注に対応できる環境を整えられるシステムが評価を得ています。スマートフォンやタブレットにも対応しています。
Bカート
Bカートは、株式会社Daiが提供するクラウド型受発注管理システムです。BtoB-ECに特化したシステムを構築しており、カスタマイズなしでも利用できるほど、機能が充実しています。決済や販管、在庫管理をはじめ、さまざまなシステムと連携できる点も特徴的です。スマートフォンやタブレットにも対応しています。
TANOMU
TANOMUは、株式会社タノムが提供するクラウド型受発注管理システムです。飲食業界に特化したシステムとなっており、レコメンドをはじめとする販促機能を備えています。モバイルデバイスでも利用しやすいUIが特徴的で、中小事業者における導入事例が豊富です。スマートフォンからも利用可能です。
受発注管理システムとEDIの違いって?
EDI(Electronic Data Intercarge)とは、専用回路を経由したデータ通信によって取引をするシステムです。以前は専用回線での取引も多く用いられていましたが、現在では専用回線ではなく、Webブラウザを利用するWeb-EDIが主流となっています。EDIも受発注管理システムの一部ではあるが、近年ではWeb-EDIやクラウド型の受発注管理システムがほとんどであるとおさえておきましょう。
エクセルで受注管理できる?
受発注管理システムのかわりに、Microsoft Officeのエクセルを利用している事業者もいます。シンプルな帳簿には適しているうえ、マクロやVBAを利用すれば自動化もできるため、受注管理にも利用可能です。
しかし、受発注管理システムに比べるとやはり機能面では劣ります。エクセルを利用している事業者の中には、受発注管理システムの導入や運用にかかるコストを懸念している方もいるかもしれません。最近では、コストを抑えつつ導入できる受発注管理システムも多くリリースされているため、検討してみるとよいでしょう。
まとめ
受発注管理システムは、ビジネスにおいて不可欠な受注や発注を効率化するシステムです。業務負担の軽減だけでなく、ヒューマンエラーの防止やデータの共有にも役立ちます。受発注管理システムを導入する際は、システムごとの特徴や自社における運用体制を含めて、検討することが重要です。適切なシステムを選択できれば、受注側と発注側の双方にとってよい効果が得られるでしょう。