【JTB×ジェイグラブ】オムニチャネル越境EC代行サービスを開始
ジェイグラブ株式会社(以下、「ジェイグラブ」または「同社」)と株式会社JTBが協業し、越境ECモール出店と越境EC販売代行サービス「j-Grab Mall(ジェイグラブモール)」を開始することを公表した。
スタートキャンペーンも実施
越境ECベンチャーのジェイグラブと交流創造事業を推進する株式会社JTBが協業し、中小事業者が手軽に海外向け販売を始められるように、越境ECモール出店とJTB海外店舗内のショールームストアを活用したオムニチャネルによる日本製品の越境EC販売代行サービス「j-Grab Mall(ジェイグラブモール)」を開始することを公表した。
その第一弾として、2022年3月下旬からシンガポール随一の繁華街オーチャードエリアに位置するシンガポール高島屋に店舗を構えるJTBるるぶギフトショップ(高島屋店)で、商品サンプル展示とオンラインによる注文販売を行うショールームストアを運用するという。
出店事業者は、同サービスの利用により、商品説明を外国語に翻訳したり、海外に発送したりすることなく国内取引で完結し、海外への販路を創出できる。すでに日本製品を製造・販売する事業者30社が、2022年3月1日のサービスインと同時に出店することを決定しているという。
今後は、在庫の少ない事業者や、海外販売で難しいと言われる冷蔵・冷凍食品の販売、特にコロナ禍による外食需要減に伴う食品ロス解消といった社会課題を解決するため、小規模事業者や製造業者などを優先的にサポートするとしている。なお2022年4月末までに申し込みの場合、初期費用0円、販売手数料20%でスタートできるスタートキャンペーンも実施される。
「j-Grab Mall」の特徴
同社がまとめるサービスの特徴は次の通りだ。
◆日本語だけでOK
事業者は日本語の商品情報を提供するだけで「j-Grab Mall」へ出品できる。また、日本好き外国人170万人が集うFacebookページ『JAPAN CRAZE』やInstagramを活用したインフルエンサー販促などのプロモーションサービスもワンストップで利用可能だ。ノウハウを覚えたり、専任者を置いたりする必要もない。
◆在庫管理から配送まで自動化できるフルフィル・サービス
事業者は商品在庫を国内の指定倉庫に置くことで、梱包から海外配送までの物流業務を委託できる。貿易事務をはじめとした国際物流業務、インボイス発行、国際伝票や税関告知書の作成など一切不要だ。
◆海外のショールームストアでも展示販売
JTB海外店舗が「j-Grab Mall」のショールームストアとなり、海外消費者に商品とのリアルな接点を提供する。例えば、化粧品であれば実際につけて試せるテスターを利用のうえ、QRコードのリンク先の「j-Grab Mall」からオンラインで購入可能だ。事業者は海外の顧客にオムニチャネルでの購買体験を提供できる。
◆冷蔵・冷凍食品も販売可能
ショールームストアに設置する冷蔵冷凍庫で商品を一時保管。購入者は店舗でも商品を受け取れる。
3年で事業者数15倍、取扱高20倍を目指す
同社は、「j-Grab Mall」サービス開始に至った背景について次のように述べている。
「日本には海外需要の高い商材を開発・製造する中小企業が多数ありますが、ジェトロ海外ビジネス調査によると、越境EC利用企業は約30%ですが、コロナ禍前2018年度の13%から倍増しています。また、新型コロナの影響で事業者の海外出張が難しくなり、現地展示会や販売会の中止が相次ぐなか、代行販売や海外店舗での商品販売を希望する事業者数がこの2年で30倍に増加しています。その一方で、越境ECサイトの構築・運用に必要なIT、外国語、物流、決済、販促、事業ノウハウ等のスキルや経験を備えた人材確保が難しい状況です。
また、越境ECサイト構築に数百万円〜数千万円、毎月のランニングコストや広告費を含めると十数万円~数百万円と多額の投資コストが必要になります。EC販売の弱点は、商品を手にとり、触れたり、匂いを嗅いだりできず、写真と説明文、価格で購入を判断しなければならない点です。「ネットだけでの訴求には限界がある」「商品展示をさせてほしい」という声がこの2年で多数寄せられています。日本の生鮮食品・冷凍食品は海外で人気があるものの、輸出には品質維持のための輸送ノウハウをはじめ、検疫・通関・輸入規制など手続きが煩雑で手間がかかります。小規模なビジネス形態が多く、着手に踏み切れない事業者が多いのが現状です」
こうした背景をもとにサービス開始に至ったのだ。今後の展開については、海外で過去に売れていた商品のビッグデータを活用し、ジェイグラブ越境ECコンサルタントが海外販売価格を予想することも計画しているという。
また2022年6月には、j-Grabショールームストア専用のアプリを導入するとのことだ。ショールームストアに展示されている商品のQRコードをアプリで読み込むだけで商品説明と販売画面に遷移し、その場で購入できるとしている。
読み込んだ商品は閲覧履歴に残り、いつでもアプリから商品情報にアクセスして再購入できるようになり、ジェイグラブからのお知らせをプッシュ通知したり、アンケートに答えると商品購入時に利用できる割引クーポンを提供したりする機能も備える予定とのことだ。
また閲覧・購入データをAI分析して販売事業者に提供することや、ショールームストアでの行動分析を実施して1日にどの程度商品が見られたか、回遊していたのかなどのAI分析データの提供も検討しているそうだ。
さらに2022年度中に、ショールームストアはJTBシンガポール、台湾で複数回、期間限定で実施予定としている。2023年度以降は、国や地域を拡大して展開するとともに、常設のショールームストアの開設も視野に入れているという。その上で同社は、事業開始から3年目で参加事業者数は15倍、取扱高20倍を目指すとしており、これからの展開にも注目と言えそうだ。