テレネット 高橋宏幸副社長に聞く、フィリピン・セブ島でコールセンター

ECのミカタ編集部

通販企業向けのコールセンター運営を手がけるテレネットはこのほど、フィリピンのセブ島にコールセンターを開設した。席数は最大で約100ブースまで対応できる。現地のスタッフを採用し、英語での電話対応サービスを提供。安価でありながら、一定の英語力が担保されているのが特徴だ。まずは11月からシンガポールに進出している日系企業向けにサービスを開始する。同社の高橋宏幸副社長に新センターの狙いや展開について聞いた。

──コールセンター開設の経緯は。

「米国のコールセンターではIVR(音声自動応答)が大 半だが、現地の日本人と話すとIVRにはうんざりしている。米国人も『嫌だけど仕方がない』という反応。そこで、人間が直接英語で受け答えするようないわ ゆる"日本式"の電話対応のニーズがあるのではないかと感じた。ほぼ同じタイミングで社長の目黒がセブに行く機会があり、フィリピンは英語ができるという ことを知った。その結果、英語のニーズとそれに対応する場所というのがたまたま合致した」

「フィ リピンを調べると、BPOの産業は日本と同程度の売り上げがある。例えばIBMのBPOセンターはフィリピンが世界最大だ。日系のコールセンターではマニ ラに大手の企業さんが進出しているが、セブには今のところ小さな会社しか進出していない。コスト面でもセブはマニラに比べて物価や人件費が2割ほど安いと 聞いている。米ロサンゼルスと比較すると、コストは8分の1程度だ」

──新センターの席数は。

「日本から輸入の形で50ブース分の設備を持って行った。スペースは約400平方メートルあるので、100席くらいは対応できる。テレネットのセブのセン ターとしては9月に登記を行った。当初、米国向けに営業をかけようと思っていたが、たまたまシンガポールに進出していた日系企業さんから案件をいただいた ので、近くシンガポールの受電をセブで行う。11月の中旬か下旬の開始に向けて、今はスタッフを採用して教育をしていこうという段階だ」

──その後のターゲットは。

「今は米国の各州にある商工会議所に登録をして、まずはビジネスマッチングで探していこうと考えている。そのほか米国で日本人が運営している通販会社があ り、日本向けに化粧品の通販を行っている。その企業はまだ米国内では通販展開をしていない。そうした現地の日系企業にもアプローチしたい」

──日本在住の通販企業へのサービス展開は。

「日本国内で争いが激化する中で、中国ではなく米国へ展開しようという通販企業さん向けに、現地での物流や広告面で強みを持つ企業の紹介や、法人立ち上げ の支援、そして電話対応は請け負うことができる。単にコンサルテ―ションだけでなく、米国進出の実務をすべて手がけてトータルサポートを提供することがで きる。米国進出を一緒にやっていこうということで、すでにアプローチは行っている」

──新センターの強みは。

「例えば日本在住のバイリンガルを雇うような単価ではなく、米国人が最低限納得してもらえるような英語を安価に提供できるのが強み。シンガポールでの案件 で出した見積もりも、問い合わせ対応や注文受付の受電と業務報告を含めて月々25万円。日本の拠点で同じことをやろうとするとその倍以上のコストがかか る」

「日本からスタッフを5人派遣しており、そのうち3人が通販の電話対応をしていたメンバー で、現地スタッフの教育を行っていく。マニュアル通りの英語対応ではなく、お客様のトークに合わせるような当社の日本でのやり方を伝授する。今後は、3年 でフィリピンのセンター全体で3500席まで拡大させる計画だ」


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