ドイツのネット通販最大手ツァランドがフランクフルト証券取引所に上場

商品について詳細に、スピード重視でユーザーに伝達

ドイツのネット通販最大手ツァランド(Zalando)が上場した。中国アリババの大型上場で世界中が沸いた直後のことだ。分野もアパレルなど、アリババと共通項が多い。

ツァランドは2008年、デビッド・シュナイダーとロバート・ゲンツという2人の若者によって創業された。創業当時はサンダルに特化したECサイトだったが、インターネット事業家のサムワー兄弟の投資を受けて、ファッション・小物全般へと事業範囲を広げ、急速に業績を伸ばしてきた。サンダルが創業時の商品だったせいか、今でも履物には力を入れているが、スポーツ用品、バッグ類など、扱う商品の範囲は広がっている。

ツァランドの成長は速い。ヨーロッパでも日本やアメリカと同様、ネット通販が成長しており、ツァランドも今年の上半期の売上は30%増で10億ユーロ超となった。

ツァランドでは、6方向から撮影が行われる。さらにモデルが着用した場面のほかに、商品単体の写真も撮影される。服の全体的なイメージだけではなく、細かい部分がどうなっている、どんな素材が使ってあるのか、詳細に把握できるようになっている。
女性衣料品の責任者パジェット・ビリングスレイは「市場の動きが速いから、タイミングが重要。最新の商品をお客様に見せるために、よい写真を撮影して、速攻でアップする」と語る。
商品について詳細に伝えることとともにスピードが命であるのは、EC事業では共通の課題であり、日本と同様のようだ。

使いやすさを追求したサイト構成やユーザー視点での返品システムが強み

ツァランドのサイトは使いやすく工夫され、たとえばカラーパレットから好みの色を選んでクリックすると、その系統の色の商品が表示される。ユーザーはその中から、自分の求めるイメージに合ったものを探すことができる。

返品のしやすさも魅力になっている。購入から100日以内の商品であれば、基本的に無料で返品が可能。返品に必要な書類も届く商品に添付されており、試着感覚で通販を利用できる。

こうしたビジネスを支えるシステムも、ほとんど社内で賄っている。システム部門の担当者が「もはやソフトウェア企業でもある」と語るほどだ。

ツァランドのアクティブユーザーは約1400万人。
比較としてアリババの数値を提示すると、国際サイト約3670万人、中国サイト約7770万人である。
アリババには及ばないが、それでも相当なものだ。

ツァランドはヨーロッパ最大の経済大国であるドイツを基盤に、すでにフランス、イタリア、オランダ、スイス、オーストリア、イングランド、スペイン、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ポーランド、ノルウェーの各国でも企業活動を行っている。今後、ヨーロッパを席巻するECサイトに成長していく可能性は大きいだろう。