米ヤフー第3四半期売上高、かろうじて増収/市場予想を上回る
経営戦略を巡って火花を散らすCEOと投資家
米ヤフー の7-9月(第3四半期)売上高が市場予想を上回り、投資家の間では強気材料となっている。
21日の発表資料によれば、米ヤフー の7-9月期の売上高は提携先サイトへの支払い分を除いたベースで10億9000万ドル(約1165億円)と、前年同期比で1.5%増加。
10-12月(第4四半期)の売上高は11億4000万-11億8000万ドルの見通しだ。
マリッサ・メイヤーCEOは電話会議で、経営再建や買収戦略について語り、アジア企業の持ち分と手元現金の処理などをめぐる株主の懸念の緩和に努めた。
また、モバイル分野でのチャンスについて説明。さらに、費用効率を重視している点にも触れ、「われわれのビジネスに大きな自信を持っている。持続可能な市場シェアの拡大に専念している」と述べた。
この電話会議でのコメントは、物言う株主として知られる投資会社スターボード・バリュー から圧力を受けるメイヤーCEOが、自らの経営戦略について、正当性を主張したものだ。
スターボードは同CEOの指導力に疑問を呈し、株主価値をより多く引き出すため会社分割するよう要請。さらなる企業買収を取りやめて、経費を削減することも求めていた。
これに対して、メイヤーCEOは「携帯端末向けの技術が不足していたヤフーにとって買収は不可欠で、買収した企業は利用者を増やすなどその後、価値を高めている」と反論している。
アリババ効果で業績アップも、なお厳しい見通し
米ヤフーはアリババによる9月の新規株式公開(IPO)で保有株を売却し、税引前で90億ドル余りの一時的収入を得た。ヤフーは21日、保有株売却に関連する約33億ドルの納税を行うと説明した。
リアババ上場時の保有株売却益については、半分は投資家に還元するが、残りは引き続きM&A(合併・買収)などに投じる計画だ。
なお、同社はまだアリババ株の約15%を保持している。
米ヤフーは今回の決算で初めて、モバイル部門の売上高を公表した。それによると、同部門の収入は7-9月期に2億ドルを超え、今年の総売上高は12億ドルを上回る見通しだ。同CEOは「モバイル分野に大きく投資してきた。これらの投資が奏功している」とコメントした。
一方、主力のオンライン広告事業であるディスプレー広告は振るわなかった。ディスプレー広告収入は4億4700万ドルと、前年同期比で5%減少した。
米ヤフーの第3四半期の業績は、数字から見ればかろうじて増収だが、その多くをアリババ効果に負っている。一時的には強気材料となっても、長期的に見れば、安心とは言えないだろう。
米ヤフーでは現在、エジプトや韓国など8拠点を閉鎖し、部署の統合など合理化も進めている。期間雇用社員を中心に、社員の1割以上にあたる人員をリストラし、合理化をはかる。リストラは米国に次ぐ拠点のインドなどが中心になると見られる。
これらの施策が効を奏するかどうかは、この先を見ていく必要があるだろう。