アスクル、物流センターへのAMR(自律走行搬送ロボット)導入でピッキングの生産性1.8倍を達成

ECのミカタ編集部

アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃)は、物流センターASKUL Value Center 日高(以下、「AVC日高」)にラピュタロボティクス株式会社(東京都江東区、代表取締役 CEO:モーハナラージャ・ガジャン)の自律走行型協働搬送ロボット「ラピュタPA-AMR(Autonomous Mobile Robot)」(以下、「AMR」)を導入し、本格稼働を開始したと発表した。これにより、従来の約3割減の人員で約1.8倍の生産性を達成したという。

AMR導入でバリューチェーンのDXへ

昨今のEC需要拡大に伴い、アスクルの物流センターにおいても出荷量が増加している。今回、一部エリアにAMRを導入したAVC日高は、東日本エリアのLOHACO出荷を担当する広大なピッキングエリアに商品の在庫棚が立ち並ぶ物流センターで、人力によるピッキングを実施していた。

従業員は庫内の端から端までカートを押しながら歩行し商品のピッキングを行う必要があり、増加する出荷量に対して人力で生産性を一層上げることが困難になりつつあった。また、従業員の長距離歩行負荷が大きいことも課題となっていた。

一方で、365日稼働するAVC日高においては「センターの稼働を止めずに導入できるソリューションでなくてはならない」という制約があった。

これを受け、生産性の向上を追求するとともに、従業員の歩行負荷低減を両立し、既存の設備を変更せずに導入可能なソリューションとしてAMRの導入に至った。本事例はAI・テクノロジーを活用し、バリューチェーン全体のDXを加速させる取り組みのひとつに位置づけられている。

従来の約3割減の人員で約1.8倍の生産性を達成

従来の約3割減の人員で約1.8倍の生産性を達成

今回、AVC日高へ国内EC業界最大規模である34台のAMRを導入し、本格稼働を開始。まとまった台数を一度に導入することで、AVC日高のピッキングエリアのDX推進を目指したものだ。

AMRは、従来人が担っていたピッキング作業における歩行工程の大半を人に替わって担い、人と作業分担しながら同じエリアで働くロボットのことで、自己位置や障害物を認識し指定位置まで自律走行する。従業員は近くのAMRの画面指示に沿ってピッキング作業を行い、作業が終わるとそのロボットの画面で表示される「どの商品棚へ行けば次の作業ができるか」にしたがって、近辺エリアで別注文のピッキングを担当する。

これによって、歩行の大半はAMRが担うため従業員の長距離歩行負荷が軽減され、より働きやすい環境づくりが実現。さらに、従業員がピッキング作業に専念できるようになったため、従来の約3割減の人員で約1.8倍の生産性を達成し、ピッキング工程の生産性が飛躍的に向上したという。

今後さらにAMRの活用が広がるか

今回アスクルが導入した「ラピュタPA-AMR」を提供するラピュタロボティクスは、チューリッヒ工科大学発のベンチャー企業で、世界でも最先端の制御技術および人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」の開発と、それを活用したロボットソリューションの開発・導入・運用を行っている。

同社によれば、ピッキングスタッフは1日の業務時間の50~60%を「歩行」に費やしているという。今回のアスクルの事例は、AMRを導入することでスタッフの歩行時間が大幅に削減され、ピッキングの生産性が飛躍的に高まることを実証する結果となった。ECの物流現場において、AMRの存在感は今後ますます高まっていきそうだ。

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