越境ECとは?取り入れるメリットや事前に把握しておきたい注意点と手順

ECのミカタ編集部

越境ECとは?取り入れるメリットや事前に把握しておきたい注意点と手順

越境ECとは、国際的な電子商取引を指す。ECサイトを運営するにあたって、販路やビジネスの拡大を期待し、越境ECを取り入れたいと考える担当者もいるのではないだろうか。今回は、越境ECの概要やメリット、始める際に知っておきたい注意点を紹介する。実際に越境ECを始める手順も紹介するので、自社サイトの海外進出を検討する際の参考にしてもらいたい。

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目次

●越境ECとは?市場規模の動きは?
●越境ECを取り入れるメリット
●越境ECを始める前に知っておきたい注意点
●越境ECを始める手順
●まとめ

越境ECとは?市場規模の動きは?

昨今、越境ECに参入を考える企業が増加している。はじめに、越境ECの概要や越境ECに関する市場規模の動きを確認していこう。

越境ECの概要


越境ECとは、インターネットの通信販売サイトを通じて国外へ商品を販売することを指す。基本的に日本国内よりも、海外の消費者に向けて商品を販売することを目的としている。新型コロナウイルスの巣ごもり需要の影響もあり、現在急成長している市場でもある。

越境ECへの出店手段は以下の4つの方法に分かれる。

1.自社で運営する越境ECサイト
1つ目は、自社で越境ECサイトを構築し運用する方法だ。対象とする国や地域を決め、言語や決済システムなど、現地のニーズに応じてシステムを構築することが必要になる。国内のECカートに越境ECの機能を備えつけるケースや、越境ECに特化した専用のECカートを作るといったケースもある。

2.海外のECモールに出店
2つ目は、海外のECモールに出店し、自社の商品を販売する方法だ。越境ECの販売が認められているオンラインショッピングモールを選択し、出店する。具体例として、欧米ではAmazonやeBay、中国では天猫国際(Tmall Global)や京東全球購(JD Worldwide)のECモールは越境ECが認められている。

3.保税区を活用した越境EC
3つ目は、中国を対象に用いられる手法で、関税の徴収を一時留保できる保税区を活用して越境ECを取り入れる方法がある。中国の保税区の倉庫に商品を保管しておくため、顧客の元へ商品が届く時間を短縮でき、配送料も抑えられるといった特徴がある。

4.代行販売型越境ECの活用
4つ目は、代行販売型越境ECと呼ばれる、海外への販売代行を扱っている業者に商品を買い取ってもらう方法だ。代行業者を経由して商品を海外の顧客に配送するため、注文を受けてから配送までの複雑な工程を省ける。一方で、代行業者への手数料や配送料を上乗せして販売するため、商品の価格が高価になりやすい特徴がある。

市場規模の動き


世界の越境EC市場は、大幅な拡大が予想されている。実際、経済産業省が2021年7月に発表した『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)』の報告書によると、2019年における世界の越境ECの市場規模は7,800億USドルと推計されている。そして、2026年には4兆8,200億USドルにまで拡大すると予想されているのだ。

市場規模急拡大が予想される背景として、消費者側は「越境ECの認知度の向上」「自国にない商品への取得欲求」「商品やメーカーへの信頼性」などが挙げられる。また、事業者側は「消費者のターゲットを世界へと拡大し販路を広げたい」といった積極的な姿勢が挙げられるだろう。また、物流の進化も越境ECを促進する要因として考えられる。

参考:経済産業省『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書』

越境ECを取り入れるメリット

実際に越境ECを取り入れることで得られるメリットを確認しておこう。

海外の顧客を獲得できる


越境ECの最大のメリットは、海外の顧客を獲得できることだ。日本市場は少子高齢化による人口減少により、縮小傾向にある一方で、世界の人口は増加傾向にある。テクノロジーの発展により、世界のどこからでも、ニーズに応じた商品の購入を可能にする越境ECは、魅力的な販路が存在することを意味していると言えるだろう。

ビジネスが拡大する可能性がある


海外の消費者が対象になるため、扱う商品によっては日本で販売するよりもライバルが少なくなり、ビジネス拡大を狙えることも可能だ。越境ECの活用は、実店舗を海外に展開するよりも容易に出店ができるため、コストを抑えて大きな市場を相手に販売できるメリットがある。

日本製品という付加価値を活かせる


海外の消費者の中には、日本製品に魅力を感じる人も多く、メイドインジャパンという付加価値を活かした販売が行えることもメリットと言える。商品の開発ストーリーや歴史、商品にかける思いなど日本というブランドに訴求したブランディングを行うことで、顧客の囲い込みも期待できるだろう。


越境ECを始める前に知っておきたい注意点

海外の消費者を相手にする越境ECは、EC事業者にとって魅力的なビジネスと言えるがが、注意すべき点も忘れてはならない。越境ECを始める前に知っておきたい注意点を見ていこう。

商品やサービスのニーズを確認


まず、自社で扱っている商品やサービスが現地のニーズに合っているか十分に確認することが重要だ。日本を飛び出し世界で販売する場合、文化や習慣の違いから消費者の需要にマッチしないケースも考えられる。越境ECの対象とする国や地域で、販売した場合に本当に需要があるのかリサーチし、勝算を得てから準備を進めていくと安心だろう。

国や地域に合わせた対応の必要性


越境ECを行う際、販売する国や地域に合わせて、法律や規制などへの対応が不可欠となる。例えば、EU域内では個人情報の取り扱いについて、厳しい規制があるため注意が必要だ。マーケティング施策も、現地の消費者に受け入れられるよう言語翻訳やデザイン、追加機能などの修正を行うといったローカライズも必要となるだろう。

輸送料金や手数料の把握


越境ECは、日本から海外へ輸送するため、輸送料や手数料がどのくらい発生するのか事前の把握が重要だ。また、決済は外貨で行われるため、為替レートの変動によっては、価格に大きな差が出てしまい売上に影響を及ぼすという点も注意しておこう。


越境ECを始める手順

越境ECを開始するためには、事前準備が重要だ。最後に、越境ECを始める手順を紹介する。

ターゲットを決め商品を準備する


まずは、どの地域の誰を対象に行うのかターゲットを決め、販売する商品の準備から始めよう。販売する商品を準備する際、現地に輸送が可能なモノか確認する以外にも、現地の法律や規制、商習慣を意識して用意を進めていこう。

人員と予算を確保する


国際的な取引となるため、語学が堪能な人材を確保する、越境ECに対応できるサイト構築を行うといった、必要な経費を十分に確保することも大切だ。国内の取引とは異なるトラブルに見舞われる場合もあるため、問題が起きたときに対応できるよう準備しておくと安心だろう。

越境ECサイトの出店方法を決定する


越境ECサイトの出店方法は、前述したように「自社で運営する越境ECサイト」「海外のECモールに出店」「保税区を活用した越境EC」「代行販売型越境ECの活用」といった方法がある。どの出店方法が、自社に合っているか十分精査した上で、ビジネスを展開していくことをおすすめする。


まとめ

国際的な電子商取引を指す越境ECは、今後発展していく市場としてますます注目されている。販路やビジネスの拡大、日本ブランドの付加価値を活かせる越境ECを、取り入れる価値は大きいと言えるだろう。注意点や越境ECを始める手順を参考に、越境EC事業を検討してみてはいかがだろうか。

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