アパレル事業者がWithコロナ時代に生き残る術とは?【ローランド・ベルガー分析】

ECのミカタ編集部

ローランド・ベルガーは、アパレル業界の最新動向に関するスタディ「Withコロナ時代のアパレル市場の展望」を公表した。同スタディでは、アパレル業界で今起こりつつある5つの変化を分析し、勝ち残りに向け必要となるアパレル経営の要諦について示唆を抽出している。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

今起こりつつある5つの重要トレンド

今起こりつつある5つの重要トレンド

アパレル市場では、5つの大きな変化が既に起こりつつある。従来通りの製品・サービスでは、停滞する市場と共にアパレル企業も沈んでいく一方であり、これらの変化に対応していく必要があるとしている。

▶リアルからデジタルへ:メタバース、サブスクリプション、デジタルファッションが存在感を増していく

▶ビジネスからウェルネスへ:ビジネスウェアのカジュアル化が進み、ウェルネス・ライフスタイルへファッションが拡張

▶ローカルからグローバルへ:国内アパレル市場に限界がある中で、海外に成長機会を求める必要

▶ファストファッションからサステナブルファッションへ:アパレル産業の環境負荷が高い中、消費者の間でもサステナビリティがKBFの一つに

▶トレンドからコンテクストへ:トレンドだけで消費を喚起することは難しくなり、ブランドの普遍性や意味・コンテクストが重要に

勝ち残りに向けて、求められるアパレル経営とは

勝ち残りに向けて、求められるアパレル経営とは

現在は20世紀の根幹をなした資本主義と民主主義という2大イデオロギーが再構築を迫られる“時代の端境期”にあり、グローバルに低成長時代を迎えつつある中で、アパレル業界も抜本的な変化を求められていくと認識すべきであるとしている。

特に、今後アパレル業界で起きる3つの変化、

「マテリアルイノベーション」
「デジタルトランスフォーメーション」
「サービスイノベーション」

上記を“脅威”ではなく“機会”として捉え、ビジネスモデルを変革していくことが勝ち残りに向けた鍵だと分析している。そのうえで業界全体としては“サーキュラーエコノミー”の実現に向け官民合わせた協調を加速化し、個々のアパレル企業は次のAからFの要諦を抑えた経営をすることが必要だという。

A) ファストファッションからの脱却
B) ビジネスモデル改革
C) カーボンニュートラルに向けた継続的な取組
D) 社会課題とブランドストーリーの接続
E) ESG対応
F) KPI改革

サマリー

同社が述べているように、COVID-19以前より停滞していた国内アパレル市場は、COVID-19により約16%縮小。かつAfter COVID-19での従来水準持ち直しも見込まれていない状況だ。

また日本の家計におけるアパレルの購入単価は、従来より減少していたが、2020年には更に10%近く減少し、米英等と比較して、日本は足元の一人当りアパレル支出額の回復ペースが特に遅い。さらに娯楽的アパレル消費ではなく、必要に駆られた消費が目立っている。

こうした劇的とも言える時代と市場、社会情勢の変化の中で、これまでの前例や固定概念に囚われることなく、EC化を含めたドラスティックな転換が迫られているとも言えそうだ。

ECのミカタ通信23号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事