ページスピードインサイトとは?指標の見方、表示速度の改善方法を詳しく解説
Googleが提供するページスピードインサイトでは、Webサイトの表示速度、速度改善に関するアドバイスを確認できます。Webページの表示速度はユーザビリティを左右するだけでなく、SEOにも大きな影響を与える要素です。この記事では、ページスピードインサイトの概要、ページスピードの重要性と改善によるメリット、具体的なスピードアップ施策について紹介します。
ページスピードインサイトとは
ページスピードインサイトとは、Webページの表示速度を測定できるツールです。測定結果は0〜100までの数値で表されるうえ、表示速度を悪化させている原因も分析されるため、技術やノウハウがなくても簡単に利用できます。
ただし、速度改善に関するアドバイスの部分では、技術的な内容も多く含まれており、実際に改善を図るにはエンジニアやコーダーの協力が必要となるでしょう。
ページスピードインサイトのスコア評価
ページスピードインサイトでは、モバイルとパソコンのそれぞれの表示について、ページスピードを測定できます。スコアは0〜100の数値で表されるほか、Good・Medium・Lowの3段階に分かれており、以下のように色分けされています。
●Good:90〜100
●Medium:50〜89
●Low:0〜49
ページスピードが重視されている理由
Webサイトを運営していくうえで、ページスピードは無視できない要素です。しかし、ページスピードが遅いと、具体的にどんな問題が生じるのでしょうか。
以下では、ページスピードが重視されている理由、適切な表示速度の目安について解説します。
表示速度が遅いとユーザーの直帰率が上がる
GoogleはWebサイトの表示速度に関する調査結果を公開しており、表示速度が1秒から3秒になると直帰率が32%増加し、1秒から5秒になると直帰率が90%増加すると発表しています。つまり、検索エンジンやリンクなどからユーザーを獲得できても、ページの表示速度が遅いとユーザーが離脱する可能性が高まります。
表示速度が遅いとインデックスされない
検索エンジンにおいては、クローラーと呼ばれるロボットがあらゆるWebページを巡回して、問題ないと判断されると検索結果画面に表示されるようになります。しかし、あまりに表示速度が遅いページは、クローラーが検索エンジンへのインデックスを認めないケースもあるようです。
実際、GoogleでWebマスターを務めるジョン・ミュラー氏は「1000ミリ秒以上以上かかるWebページはクローリングに制限がかかる」と明言しています。
表示速度の目安は?
ジョン・ミュラー氏の発言をもとにすると、Webサイトにおける理想的な表示速度は1秒以内です。しかし、CSSやJavaScriptによってデザイン性を高めたり、画像や動画を埋め込んだりすると、1秒以内に表示させるのが難しいケースもあります。そのため、3秒以内を一つの目安とするのがおすすめです。
ページの表示スピードを向上させるメリット
前述のとおり、Webページの表示速度はページを訪れたユーザーの体験を大きく左右します。表示速度が速いほど、ユーザーは快適にコンテンツを閲覧できます。サイト単位で表示速度を改善できれば、ユーザーはストレスがない状態でWebサイト内を回遊できるため、コンバージョンにもつながりやすくなるはずです。
また、Googleがページスピードについて公式に言及していることからもわかるとおり、SEOにおいてもページスピードは重要な要素の一つです。より良質なユーザー体験を提供することによって、検索順位の向上も見込めるでしょう。
ページスピードインサイトの特徴
ページスピードインサイトは、Webページの表示速度改善を図るうえで欠かせないツールです。実際に利用するうえでツールとしての特徴を知っておくと、より効率的に活用できるでしょう。
以下では、ページスピードインサイトの特徴について解説します。
誰でも無料で利用できる
ページスピードインサイトは無料で利用できるうえ、利用にあたってユーザー登録なども必要ありません。そのため、個人・法人を問わず、誰でも手軽に利用できます。有料のオプション機能なども実装されておらず、資本力によって機能に差が出ることもありません。
パソコン・モバイルのページスピードを確認できる
ページスピードインサイトでは、パソコン・モバイルのそれぞれの環境下で表示速度を検証できます。近年ではモバイルファーストの重要性が広く浸透しており、デバイスごとにセグメントしてユーザー体験を調査できるのは非常に魅力的です。
モバイル速度はパソコンに比べて改善が難しいものの、一般的に多くのWebサイトにおいてはモバイルユーザーによるアクセスが過半数であるため、チェックしておくべきポイントです。
自社サイト以外も分析できる
ページスピードインサイトでは、URLを入力するだけでページの表示速度を検証できます。そのため、自社で管理しているWebページだけに限らず、競合他社のサイトやベンチマークしているサイトをチェックすることも可能です。SEOにおいては、自社が狙うクエリで上位に表示されているサイトの表示速度を目安とするのも一つの手です。
ページスピードインサイトで取得できるデータ
ページスピードインサイトでは、主に以下の3種類のデータを取得できます。
●フィールドデータ
●診断と監査
●ラボデータ
以下では、それぞれのデータについて解説します。
フィールドデータ
フィールドデータとは、ユーザーが実際にWebページを閲覧した際のデータを収集したものです。iPhoneやAndroidなどのデバイス、4Gや5Gなどのモバイル回線、無線や有線などの接続方法はユーザーによって異なりますが、フィールドデータにはあらゆる環境のユーザーのデータが含まれます。
診断と監査
診断と監査の項目は、細かくは「診断」と「監査」の2つの項目に分かれています。診断では、開発上の課題点があげられています。それぞれの課題点は赤とオレンジの2色に分類されており、赤色になっているところは優先的に改善すべきポイントです。
監査では、適切に開発されている項目が並びます。すでに改善できている部分をあげているため、細かくみる必要はありませんが、どんなポイントが評価されているのかを判断するのに役立ちます。
ラボデータ
ラボデータとは、特定の環境下におけるデータを収集したものです。検証時のネットワーク環境などによってラボデータは変動するため、実際に提供できているユーザー体験とは差異がある可能性もあります。
ページスピードインサイトの重要指標
前述のとおり、ページスピードインサイトにはフィールドデータやラボデータなどを取得できますが、それぞれのデータ内にはさまざまな指標があります。しかし、専門的な用語も多く、どの指標をチェックすべきなのかがわからない方も多いでしょう。
以下では、ページスピードインサイトの指標のなかでも、とくに重要なものについて解説します。
FCP(First Contentful Paint)
FCP(First Contentful Paint)とは、最初のコンテンツ表示にかかるまでの時間です。FCPには、サーバーの応答時間や各種ファイルの読み込み時間が関係しています。
FCPの速度と評価は、以下のとおりです。
●0~1.8秒:「良い」
●1.8~3.0秒:「要改善」
●3.0秒以上:「不十分」
LCP(Largest Contentful Paint)
LCP(Largest Contentful Paint)とは、メインコンテンツが表示されるまでの時間です。Webページ内において、主要な役割を果たしている画像・動画・見出しなどがメインコンテンツにあたります。
LCPの速度と評価は、以下のとおりです。
●0~2.5秒:「良い」
●2.5~4.0秒:「要改善」
●4.0秒以上:「不十分」
FID(First Input Delay)
FID(First Input Delay)とは、Webページ内でユーザーがはじめて行ったアクションに対する応答時間です。クリック・タップ・キーボード入力などがアクションにあたります。
FIDの速度と評価は、以下のとおりです。
●0~100ms:「良い」
●100~300ms:「要改善」
●300ms以上:「不十分」
ページスピードの改善方法
ページスピードインサイトを利用する方は、Webページの表示速度を課題に感じているはずです。しかし、具体的にどのような施策が効果的なのかがわからず、悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。
以下では、ページスピードの改善方法について解説します。
ページ内画像の最適化
ページ内の画像は、もっとも簡単に対応できる部分です。とくに解像度が高かったり、フォーマットが適していなかったりすると、読み込みに時間がかかりやすくなるため、最適化をしておくことが大切です。画像データを入稿する際、データを圧縮しておくだけでも一定の効果が得られるでしょう。
HTML・CSS・JavaScriptの縮小
Webページを構成するHTML・CSS・JavaScriptなどは表示速度に大きく関係します。できるだけ簡潔にコーディングをするのはもちろん、不要なインデントや改行なども削除しておくと効果的です。ただし、ソースコードをいじることによって、表示が崩れたり、データが破損したりするリスクもあるため、かならずバックアップをとっておきましょう。
サーバー応答時間の短縮
サーバーの応答時間を短縮させられれば、その分読み込み速度を高速化できます。サーバーの応答時間が遅い場合、サーバーのスペック、PHPのバージョンなどを見直す必要があります。サーバー関連の課題を解決するには、インフラの知識が必要となる可能性が高いでしょう。
ブラウザのキャッシュ活用
ブラウザのキャッシュを活用して、表示速度を速くするのも一つの手です。キャッシュとは、Webページの情報をブラウザに保存しておき、ページの表示速度を高速化するものです。開発側ではキャッシュの保存可否、保存期間などを設定できるため、キャッシュにの設定によって表示速度を改善させられます。
リダイレクトの非推奨
特定のURLに遷移しようとした際、別のページに遷移させるリダイレクトもページスピードを悪化させる原因です。たとえば、サイトのドメインを引っ越した場合やモバイル専用ページが別にある場合などに用いられます。どうしてもリダイレクトを使用しなければならないときは、中間リダイレクトをなくす方法などが効果的です。
ファーストビューの制限
Webページにアクセスした際、はじめに表示されるファーストビューの範囲やコンテンツを見直す方法もあります。たとえば、ファーストビューに読み込みが遅い画像や動画が含まれていると、それだけ表示速度も遅くなります。ただし、ファーストビューの改善は、Webページ全体の高速化につながるわけではない点に注意が必要です。
次世代フォーマットの活用
画像のフォーマットも表示速度に影響を与える部分です。一般的にはJPEGやPNGなどが用いられますが、JPEG2000やWebPと呼ばれる次世代フォーマットに変換すると、よりスピーディーな読み込みが可能です。一方、ブラウザによっては次世代フォーマットの読み込みに対応していないものもあるため、非対応ユーザーに対してケアする方法を検討する必要があります。
まとめ
ページスピードインサイトでは、Webページの表示速度を実測値にもとづいて検証できます。誰でも無料で利用できるうえ、競合サイトや上位サイトの数値を分析できる点が強みです。Webページの表示速度は、ユーザー体験を大きく左右すると同時に、SEOにおいても重要視されている要素の一つです。SEO施策の一環として効果を発揮するため、積極的に改善を図るとよいでしょう。