ECサイトで重要な返品ポリシーとは?重要性や作り方、作成のポイントを紹介

ECのミカタ編集部

ECサイトで重要な返品ポリシーとは?重要性や作り方、作成のポイントを紹介

「返品ポリシー」とは、商品の購入者が返品や交換をする際に、企業側が規定したルールのこと。ECサイトを運営する企業の中には、返品ポリシーの重要性や作り方を知りたい方もいるだろう。そこで今回は、返品ポリシーの概要や重要性とあわせて、作り方や作成時のポイントを紹介する。

目次

●返品ポリシーとは
●返品ポリシーの重要性
●返品ポリシーを盛り込むべき項目
●返品ポリシーを作成する際のポイント
●まとめ

返品ポリシーとは

「返品ポリシー」とは、顧客が購入した商品を返品・交換する際に、企業側がルールや条件を示したものだ。返品の条件や期限などが規定されており、この情報をもとに、購入者は返品の可否や方法を得る。

2020年4月1日に民法が改正され、「契約自由の原則」が規定された。これにより、基本的に各企業が掲げる「返品ポリシー」は、法律よりも優先となることが確立された。各社で返品ポリシーを記載することは返品や交換などにまつわる顧客とのトラブルを未然に防ぐために、より重要になったといえるだろう。

参考:法務省『法務省説明資料』p.3

返品ポリシーの重要性

民法改正により、「購入者は購入前に返品ポリシーを確認すること」が必要となった。今後は返品ポリシーを確認してから商品を購入する顧客が増えていくだろう。しかし、なぜECサイト側の返品ポリシーを明確にすることが重要なのか、その理由を3つ紹介しよう。

安心感・信頼感につなげる


ECサイトでの買い物における、購入者の最も大きな懸念材料は、商品への「不安感」だ。販売企業の中には、使用後の満足度が低い場合の返金サービスや、試着後に返品できるサービスなど、さまざまな方法で購入者に安心感や信頼感をもってもらうため工夫をしている。明確にわかりやすい返品ポリシーを掲載することで、購入時の満足度につながるだろう。

売上げの向上につなげる


ショッピングの際時、実際に商品を手にとって見れないことは、顧客にとって不安要素となる。購入者が返品をしたい理由を考え、購入者にとってメリットのある返品ポリシーを規定することで、新規顧客の獲得につながるだろう。また、返品対応の自動化やアウトソーシングにより、新たな戦略の考案時間を確保することも可能になるため、売上げの向上という効果も期待できる。

購入者とECサイト側の利益を守る


ECサイトでのショッピングはクーリング・オフ制度の適用外だが、消費者庁が定める「特定商取引法」が適用されるため、返品ポリシーの記載がない場合でも8日以内であれば返品可能だとされている。しかし、ポリシーを規定していない場合は返品にかかる送料を企業側が負担することがあるなど、ECサイト側が不利になるケースもある。自社の商品やサービスに適した返品ポリシーを規定することは、購入者とECサイト側両者の利益を守るといえる。

参考:消費者庁『契約について理解しよう!』

参考:消費者庁取引対策課『特定商取引法ガイド』

参考:消費者庁『通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン』p.12

返品ポリシーに盛り込むべき項目

返品ポリシーを作成する際は、返品にはどのような条件や手続きがあるのかなど、購入者が困惑しないよう詳しく記載する必要がある。返品ポリシーを作成するときに必要となる項目を見てみよう。

<項目1>返品・交換が可能な条件


まずは、返品・交換できる条件を記す必要がある。「汚れや破損など商品に不具合があった場合」のように、購入者側に落ち度がない場合に限るのか、「イメージ・サイズの違いなど購入者都合の場合」も含めるのかなど、商品自体の問題か、購入者都合なのかを明確にする。また、購入者都合の場合は、開封や使用の有無で受け付けるかを具体的にすることが大切だ。

<項目2>返送料の負担


返送時の送料を購入者と企業側、どちらがどのくらい負担するのかを記す必要がある。現在、ECサイトの中には、「○○円以上で送料無料」のようにキャンペーンなどを利用して複数点購入した場合に、返品後の合計金額がキャンペーンの条件を満たさない場合は送料が追加で発生するなど、返送料の負担率をより細かく設定している企業も存在する。

<項目3>セール品や特売品の取り扱い


セール品や特売品も返品・交換が可能な条件となるかも記載するとよい。一般的にはセール品や特売品の返品や交換は認めない場合が多いため、その可否を明記することで、購入後のトラブル回避につながるだろう。

<項目4>返品や問い合わせの受付時間


返品・交換を行う際、手元に到着してから何日以内に返送を済ませる必要があるかも明記しよう。返品・交換の申し込みなのか、商品到着までなのかなど、詳しく記すと購入者もわかりやすい。一般的な受付期間の設定は、国内向けで1週間程度、海外向けで1ヵ月程度だ。

また、返品・交換についての問い合わせが来る場合もある。電話やメール、チャットなど自社が問い合わせを受ける手段について、受け取れる時間や回答にかかる時間を書くと購入者も安心だろう。

また、消費者庁では、返品ポリシーを作成する際のガイドラインをまとめている。どのような項目を記すとよいか、あわせて参考にしてみてはいかがだろうか。

参考:消費者庁『通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン』p.12

返品ポリシーを作成する際のポイント

返品ポリシーを作成する際は、どのようなポイントがあるだろうか。

購入者に寄り添ったポリシーに


ECサイトでは、購入者に商品を購入してもらえるよう、さまざまな工夫を凝らしている。その一方で、返品ポリシーに関しては「返品について小さな文字で返品不可と書いてあった」「返品ページがなかなか見つからない」などと、購入者にとって信頼性に欠くケースも散見された。企業側の利益を追求したECサイトよりも、「返品・交換無料」など、購入者に寄り添った返品ポリシーを作成することで購入者の満足度や売上げの向上が期待できるだろう。

また、購入者側都合の返品が多い場合には、原因を探り解消する必要がある。イメージやサイズ違いが多い場合は、商品イメージを実際のものに近づけたり、レビューページを設けたりと、購入者に伝わりやすい工夫やツールを検討するとよいだろう。

伝わりやすい内容、導線に


わかりにくいECサイトは、リピーターを減らす原因にもなりかねない。これまで紹介した通り、返品条件について細かく記すことは大前提だが、返品をスムーズに行えるような導線作りも重要だ。問い合わせ数の削減は対応時間の減少につながり、信頼性や他業務の作業効率向上にもつながるといえる。

充実したFAQ(よくある質問)に


購入者が疑問を抱えそうなものに関しては、返品ポリシーの内容をFAQページに記すとより伝わりやすいだろう。返品ポリシーページとFAQページ、両方から行き来できる導線を設置すると迷わずに疑問点を探せるはずだ。

効率的な返品作業に


購入者が増加すれば、返品希望者も増加する。しかし、対応を間違えると返品や交換の大幅な遅れにつながるといえる。ECサイトの利用者が多い現在、全てを人の手で行うことは困難だ。よって、自動化システムの導入やアウトソーシングの導入は、返品作業の効率化が期待できるだろう。


まとめ

返品ポリシーは購入者の不安感や不信感を取り除くのに重要な規定だ。購入者に寄り添ったポリシーを作成することで、新規顧客やリピーターの獲得につながるだろう。自社の返品ポリシーを再確認してみるとともに、返品代行などのアウトソーシングを検討してみてはいかがだろうか。


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