ECサイトの在庫管理システム9社比較!導入メリットや選定ポイントを解説

ECのミカタ編集部

在庫管理システムとは、効率的な在庫管理を可能にするサービスのことだ。今回比較するのは、ECサイトに特化した在庫管理システム。ECサイト向けの在庫管理システムの特徴に触れた上で、EC業界に特化したサービス会社9社の特徴を紹介する。導入するメリットや選ぶ際のポイントも紹介するので、比較検討する際の参考にしてほしい。

目次

●在庫管理システムとは、在庫を過不足なく管理できるツール
●ECサイト向けの在庫管理システムの特徴
●在庫管理システムの種類
●EC業界に特化した在庫管理システム9選
●在庫管理システム導入のメリット
●ECサイト向け在庫管理システムを比較するポイント
●自社の目的に合った在庫管理システムを導入しよう


在庫管理システムとは、在庫を過不足なく管理できるするツール

在庫管理システムとは、資材や商品などの在庫情報が自動更新され、過不足なく在庫管理が行えるシステムのことだ。一般的な在庫管理業務は、企業が保管する在庫を製造・入荷から出荷まで適切に管理することで、棚卸作業も含まれる。しかし、在庫を適切に管理するといっても、管理するデータが幅広いために煩雑になりやすく、棚卸などの作業負担は大きい。

在庫管理システムは、入荷・出荷時の数量の情報をもとに、在庫に関するさまざまなデータを把握や管理ができるため、受注の可否やひと月の売上見込まで管理可能だ。そのため、管理工数やコスト削減に対して有効な手段として注目され、さまざまな業種で導入が進んでいる。

在庫管理システムの主な機能


在庫管理システムは、主に次のような機能を有している。

・ハンディターミナルなどの端末を用いたデータ入力機能
・倉庫商品確認などの在庫管理機能
・発注や入荷に関する仕入管理機能
・請求書や見積書の作成などの販売管理機能
・在庫管理状況に応じたデータ分析機能

いずれも過不足なく適切に在庫管理するには必要な機能といわれており、在庫管理システムの導入により業務の効率化につながる。

類似するシステムとの違い


在庫管理システムと混同しやすいのが、「倉庫管理システム(WMS)」だ。システムの違いは、「管理対象」と「利用の目的」といえる。

倉庫管理システムは、倉庫内の資材や商品、設備、人員を把握できるシステム。倉庫内業務の効率化を促進するのが目的だ。対して、在庫管理システムは、在庫量を可視化して入出荷などの移動情報までを把握できるシステムで、適正な在庫量を維持し、利益の最大化を実現するのが目的だ。入荷から出荷までと取り扱う範囲が広く、在庫管理システムの中には倉庫管理システムが担う機能も含まれると理解しておくとよいだろう。

また、EC運営に利用されるシステムには、受注から会計までの一元管理を行える「会計システム」や、売上管理や入金を帳簿で管理する「販売管理システム」などがある。これらのシステムは、「基幹システム」と呼ばれ、それぞれ管理の対象や目的は異なるが併用は可能だ。合わせて利用することで、商品や資金などを一元管理でき、さらなる業務効率化・ECサイトの品質向上につなげられるだろう。

正しい受注から出荷、売上などを含めて一元管理したいのか、在庫だけの管理でよいのかによって、必要となるシステムは異なる。契約倉庫の有無などで企業がシステムに求める内容は変わるため、自社の条件と目的に合ったシステムを選ぶことが不可欠といえる。

在庫管理システムの種類

管理在庫システムの導入には「オンプレミス型」「パッケージ型」「クラウド型」と、3つの方法がある。それぞれの特徴は以下の通りだ。

<オンプレミス型>
オンプレミス型とは、自社でネットワークやサーバーなどの設備を保有し、システムの運用や管理を社内で行う方法だ。カスタマイズ性が高く、自社に必要な機能のみといったオリジナルのシステムを構築できるといった特徴がある。その反面、運用管理業務が発生することや導入コストのハードルが高いといった懸念点がある。

<パッケージ型>
パッケージ型とは、メーカーが販売する在庫管理システムのソフトを自社のパソコンにインストールし、運用する方法だ。低コストで手軽に導入できるため、小規模な企業にとっては運用しやすい。一方で、限られたデバイスしか使用ができず、定期的な更新を必要とする。

<クラウド型>
クラウド型とは、インターネット上に構築されたシステムを利用する方法だ。サービス提供会社と契約し、月額で利用料を支払う仕組みで、初期費用が安く利便性が高いといったメリットがある。また、複数拠点やリモート対応が必要な場合に適している。注意点としては、インターネット上での提供となるため、通信障害などが発生した際に業務に支障を及ぼす可能性が高いことだ。

導入後に失敗したとならないためには、自社に適した形態を把握することが重要だ。それぞれの特徴を把握し、最適な方法で導入を検討しよう。

ECサイト向けの在庫管理システムの特徴

一言に在庫管理システムといっても、機能や用途はさまざまだ。倉庫管理機能を備えたタイプから、備品管理に適したタイプまで複数ある。その中でECサイト向けに特化した在庫管理システムがある。ここからは、ECサイトに特化したシステムを見極めるための、5つのポイントを確認しよう。

1.受注管理システムとの連携


在庫管理システムの機能を活かすためには、自社の受注管理システムとの連携は不可欠だ。受注管理システムとは、ECサイトの受注から出荷まで、一連の業務を自動で管理できるシステムである。

商品番号や出荷管理データなど、システム同士のデータ連携ができることで、業務を滞りなく遂行できる。自社に導入する際は、受注管理システムと直接連携できるのか、また連携実績があるのかを確認しておこう。

2.EC特有の情報項目


自社の商品をモールで出品している場合、「モール専用の注文番号」と「自社の受注管理システムに合わせた独自の管理番号」の2つを管理することになる。そのため、在庫管理システムを導入する際は、EC特有の情報項目を持つかの確認は不可欠だ。

さらに、配送業者やポイント、代引きといった情報も管理できる項目があるのが望ましい。

3.フリーロケーションへの対応


自社のECサイトが多品種小ロットの場合、倉庫を有効活用するために、商品の管理場所を固定しないフリーロケーションへのシフトチェンジを検討することもあるだろう。その際、導入した在庫管理システムをフリーロケーションに対応させる必要がある。導入時は、フリーロケーションに対応したピッキング指示ができるかを確認しよう。

なお、フリーロケーションを実現するためには、倉庫の現場スタッフとの連携は不可欠だ。リアルタイムに情報が更新されるよう、無線ハンディターミナルやスマートフォンで情報の反映ができるかを確認しておこう。

4.誤出荷を防ぐ仕組み


ECサイトにおいて、出荷ミスは自社の信用を損ねるリスクとなるため、誤出荷を防ぐ仕組み作りは重要だ。誤発送の防止には、ピッキング時に商品のバーコードを読み取り、注文内容とデジタルチェックする「バーコード検品」が有効な手段だ。在庫管理システムを選ぶ際は、自社で使用するハンディターミナルと連携し、バーコード検品による誤出荷防止を実現できるのかをチェックしよう。

5.配送とのデータ連携


ECサイトの荷物は、ヤマト運輸や佐川急便といった配送業者と連携して発送が行われる。そのため、発送時は各業者が提供する送り状発行システムとデータ連携することで、スムーズな送り状発行が可能となる。

在庫管理システム導入時は、送り状発行用データの出力機能があるか確認をしよう。データ連携が可能になれば、発送作業の一元管理や効率化を実現できるだろう。

EC業界に特化した在庫管理システム9選

EC業界は在庫状況の変化が早いため、顧客にリアルタイムで在庫状況が伝わるとサイトの利便性が向上し、サイト自体の価値も高まる。ここでは、EC業界に特化した、受注から在庫管理、発注、仕入れに至るまでを一元管理してくれる9社の在庫管理システムを紹介するので、導入時の参考にしてほしい。

稼働率の高さなら|ロジザードZERO


ロジザード株式会社が提供するロジザードZEROは、BtoBとBtoCの物流に対応し、アパレル・化粧品・ホビーなどさまざまなEC商材の在庫管理に適したシステムだ。EC業界でのシェア率が高く20年のノウハウを持ち、365日サポートの体制で導入前から導入後まで手厚く対応する。セキュリティ面においては、契約者単位でIPアドレスを制限し、社外からのアクセス可否や、ログインパスワードの使用期限が自社で設定できるなど、安心して利用できる環境が整備されている。

【料金】
要問い合わせ

ロジザードZERO

物流を制御する|logiec


株式会社はぴロジが運営するlogiecは、利用できる流通をブラウザ上で結合し、制御・指示できるシステムだ。受注データ更新といった付加価値の低い作業を自動化したり、販促品の同梱セットを指示したりなど、ショップデータも一括管理で変更・加工できる。複数倉庫の管理が可能であるため、出荷指示データの自動振り分けによる業務工数削減や、イベントやキャンペーンなどで出入りが激しくなる物流波動の制御にも効果が期待できる。

【料金】
スタートプラン:無料(ショップ登録数無制限、月間出荷数100件まで)

logiec

便利な機能を豊富に備えた|mylogi


アートトレーディング株式会社が提供するmylogiは、便利な機能を豊富に備え、シンプルな操作画面や業務フローにより、手軽に導入できるシステムだ。複数モールの受注ファイルを一括管理していることに加え、帳票出力や出荷完了メールが定型化しているためボタン一つで送信できるなど、さまざまな作業が簡単かつ時間をかけずに行える。問題が発生した際はEC経験者によるサポート体制があり、安心して利用できる。

【料金】
mylogi EC Liteプラン:8,800円/月(2倉庫、月間出荷件数300件まで)など

mylogi

手軽な管理を可能にする|ロジクラ


ロジクラは、入出荷処理や複数ユーザー・拠点の在庫管理が、手持ちのスマートフォンやパソコンで気軽にできるシステムだ。時間や場所を問わずにアクセスできるほか、スマートフォンのアプリを利用すれば、バーコードを読み取るだけの検品や追跡番号の記録ができるといった特徴がある。また、出荷時間の締めを管理できる「出荷グループ作成」や「在庫変動の履歴確認」があるため、時間内に作業漏れがないかの確認や、どのタイミングで在庫にトラブルが発生したかをひと目で確認できる。

【料金】
無料プラン:1拠点、月間出荷数300件まで(他、タイプに応じて多様な料金体系あり)

ロジクラ

D2Cビジネスに強みを持つ|クラウドロジ


スタークス株式会社が運営するクラウドロジは、メーカーが自社ECサイトなどを通じて中間流通を介さず直接購入者に販売する、サブスクやリピート通販などのD2Cビジネスに強みを持つ。各ECカートとの連携が可能なため、物流業務を大幅に効率化かつ自動化可能だ。また、D2C特有の販促物同梱にも対応。購入商品や定期購入の回数、会員ランク・誕生月のキャンペーンなど、顧客属性やあらゆる情報に応じた細やかな対応を実現できる。

【料金】
要問い合わせ

クラウドロジ

注文状況に応じた柔軟性に特化|LOGILESS


LOGILESSは、OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)が一体となったシステムだ。顧客属性の条件設定を行うだけで、「一定金額以上の購入者に特典を付ける」「初回購入者にカタログを送付する」など、顧客満足度を向上させるための複雑な出荷指示が自動化できる。また、購入者居住地の最寄り倉庫からの発送や複数注文時の出荷指示分割など、さまざまなニーズに対した柔軟な対応が可能だ。

【料金】
要問い合わせ

LOGILES

高品質な物流を提供する|三井物産グローバルロジスティクス


三井物産グローバルロジスティクスは、アパレルや健康食品・化粧品といった分野に多くの実績を持ち、全ての業務を自社で対応・管理するため、高品質な物流を可能にする。社内のIT専門部隊によって、現場の声をすぐにシステムに反映することが可能なため、利便性が高くミスが生じにくいといった特性がある。

【料金】
要問い合わせ

三井物産グローバルロジスティクス

短期間の導入を実現する|iWMS X5


株式会社フレームワークスが提供するiWMS X5は、テンプレートモデルにより短期間・低コスト・高品質を実現し、稼働倉庫の展開力を高めるシステムだ。800サイト以上の物流拠点、多様な業界に導入実績を持つ。オープンソースオプションを利用することで、24時間365日の保守運営、保守スピードUPも実現可能だ。

【料金】
要問い合わせ

iWMS X5

多店舗運営なら|らくらく在庫


グリニッジ株式会社が運営するらくらく在庫は、在庫連動が初めての方も手軽に活用でき、多店舗運営に強みを持つシステムといえる。業界最速スピードで在庫情報の更新ができる強みも特徴だ。また、運営店舗数が増えても売り越し防止が可能だ。メールや電話ですぐに問い合わせることができ、スムーズな運用まで手厚いサポートを受けられる。

【料金】
要問い合わせ(30日間の無料トライアルあり)

らくらく在庫

在庫管理システム導入のメリット

ここからは、在庫管理システムの導入によって得られる具体的なメリットを確認していこう。

在庫の適正管理


在庫管理システムは電子機器による管理が基本のため、リアルタイムに在庫を適正に把握・共有できるのが特徴だ。Excelなどを使った計算や入力は時間がかかり、ヒューマンエラーが生じやすいため現場に混乱を招くリスクがある。システムの導入は、在庫管理の効率化を促進し従業員の負担軽減に貢献できるのだ。

また、入出荷の数量がデータ化されるため、人気の商品や消費者のニーズが把握しやすい。これにより、ひと月の売上見込の予想や、今後の戦略策定が容易となるだろう。

管理コストの削減


在庫数の全てを人の手でチェックするには、時間だけでなく多大な人的コストが必要となる。その点、在庫管理システムを導入すると、管理コストの削減が可能だ。在庫数をバーコードで一括管理できるため、人的コストを抑えながら一定数の在庫を保てる。また、余剰在庫といったリスクを軽減し、適正在庫を維持できるため、保管スペースにかかる費用や仕入れ費用といったコストの削減にもつながる。

さらに、クラウド型を利用した場合は、一般的にデータは社外のクラウド上で管理される。万が一の事故や天災でデータを損失した場合でも、復元にかかるコストや時間を最小限に抑えられるといったこともメリットの一つだ。

機会損失の防止


在庫の適正把握は、欠品のために顧客を取り逃すといった機会損失の防止につながる。さらに、システムのデータ分析機能によって適正な在庫維持を実現できれば、売上向上が期待でき、顧客満足度向上にも貢献するだろう。

また在庫管理システムは、複数拠点の在庫を一元管理できる。一方の拠点で欠品していても、もう一方の拠点にある在庫から発送するといった柔軟な対応が可能なため、より効率的な運用を実現できるだろう。

在庫管理システムを比較するポイント

在庫管理システムを導入する際は、どのようなポイントをもとに比較するとよいのだろうか。最後に、5つの検討ポイントを紹介していく。

1.導入の目的


システム比較をする前に、システム導入の目的や、在庫管理業務における課題の洗い出しを行おう。「適正在庫を維持したい」「商品の種類や点数が多くて管理に困っている」など、ECサイトを運営する上で抱える課題は、企業によってさまざまだ。導入の目的を明確にして、必要な機能や要件をピックアップしよう。

2.自社に合ったサービス内容


先述したようにシステムの形態には、「オンプレミス型」「パッケージ型」「クラウド型」の3種類がある。それぞれ必要な設備、維持・管理にかかるコストは異なるため、導入と運用時にかかる費用を把握して総合的に比較検討をしよう。

また、利用するシステムの形態によってはITスキルを必要とするケースがある。システムを管理する担当者以外に、実際にシステムを利用する現場の担当者が使いこなせるのか、操作性は大切なチェックポイントとなる。操作性が自社に見合っていない場合、運用に無理が生じることが考えられるため注意しよう。

3.サポートやカスタマイズの有無


クラウド型の場合はデータ管理を社外に委託するため、問題が発生した場合に迅速に対応できる窓口が設定されているかの確認が不可欠だ。また、在庫管理システムのベンダー側に豊富な導入実績があると、スムーズな導入やサポートにつながるだろう。

在庫管理システムは、標準仕様として必要な機能をあらかじめ用意していることが多い。一方で、必要に応じて標準仕様に追加してカスタマイズできる「セミオーダー仕様」や、自社の業務に沿って一から選択できる「カスタマイズ仕様」を提供しているサービスなどがある。企業の成長によっては、途中で機能の追加を検討するケースもあるため、使いやすい環境を状況に応じて整えられるのか、柔軟性のチェックは必ず行おう。比較時に、対応可能な範囲やカスタマイズ方法、追加でかかる費用を確認しておくと安心だ。

4.セキュリティ対策


在庫データは、売上や利益、損失など自社にとって情報資産となるため、情報漏えいやデータ消失が発生しないようなセキュリティ対策が必要となる。オンプレミス型やパッケージ型であれば、独自でセキュリティ対策を行い、常にシステムの状態を最新バージョンにアップデートしておくことが大切だ。

クラウド型であれば、提供する企業のセキュリティ体制が標準でどのようなものが備わっているのかチェックを行おう。トラブルが生じた際の対応方法はもちろん、セキュリティサポートのスピード感を確認することも重要となる。

5.他システムとの連携


自社ですでに導入しているシステムがある場合は、連携性の可否も重要な確認ポイントだ。API連携がうまくできない場合、手作業が発生し結果的にヒューマンエラーにつながるケースが考えられる。

導入する在庫管理システムが、自社の他システムとスムーズに連携ができれば、一括管理が可能となり、在庫管理の業務効率化やデータの有効活用が望める。どのようなシステムと連携できるのか、導入事例や実績の有無などを必ず確認しよう。

自社の目的に合った在庫管理システムを導入しよう

在庫管理システムの導入により、在庫を過不足なく管理でき、時間の有効活用や管理コストの削減につながる。選定時のポイントとしては、まずECサイト特有の管理方法に考慮したシステムの見極めが重要だ。その上で、自社の状況に応じた目的やサポート・カスタマイズの有無などを考慮し、自社が求める管理方法を見つけるとよいだろう。例にあげたサービスを参考に、自社に合った在庫管理システムを導入したい。

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