プレイドがフルカイテンとの協業を強化 在庫の課題を解決へ

ECのミカタ編集部

株式会社プレイド(東京都中央区:代表取締役CEO 倉橋健太、以下「プレイド」または「同社」)は、「FULL KAITEN」を開発し小売企業等へ提供するフルカイテン株式会社(本社・大阪市福島区、代表取締役・瀬川直寛、以下「フルカイテン」)との協業を強化し、両社のプロダクト連携によるソリューションの提供を開始することを公表した。

協業の概要

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供するプレイドは、在庫を効率よく利益に変えるクラウドシステム「FULL KAITEN」を開発し小売企業等へ提供するフルカイテンとの協業を強化し、両社のプロダクト連携によるソリューションの提供を開始し、小売事業者の在庫課題の解決に取り組むとしている。さらに同社は、KARTEとFULL KAITEN、両プロダクトのデータを組み合わせることで、主に小売企業向けの在庫管理最適化と顧客体験の向上、その結果として売上拡大と利益の最大化を図ることができると述べている。

FULL KAITENによって在庫データや売上データを集計・分析し、販促を強化すれば値引きせずに販売できる可能性のある「隠れた売れ筋商品」や、例えばロイヤルティの高い顧客に支持され、客単価の向上に貢献する商品などを抽出する。KARTEによる解像度高い顧客理解に基づいてそこで抽出した商品と親和性のある顧客に向けて、パーソナライズした商品提案を行うことができるとのことだ。

単月で5,300万円の在庫削減効果も

単月で5,300万円の在庫削減効果も

同社は、共同実証実験に参加した企業のうち、株式会社アーバンリサーチ(以下「アーバンリサーチ」)の実験結果についても公表している。

◆PoCの実施概要

[ステップ1]
FULL KAITENを活用してアーバンリサーチの在庫分析。販促強化すれば値引きせずに販売できる可能性が高い「隠れた売れ筋商品」を可視化。

[ステップ2]
アーバンリサーチECサイト内で、KARTEを活用して「隠れた売れ筋商品」を最適なお客様に届ける独自のレコメンド施策を展開。

◆PoCの実施結果

上記のステップを踏んだ施策と、アーバンリサーチがKARTEで通常実施しているレコメンド施策を比較したところ、以下の効果が確認されたとしている(調査期間:2022年6月30日〜8月10日)。

FULL KAITENで「隠れた売れ筋商品」を特定し、その商品をKARTEで最適な顧客におすすめすることで、売上や粗利率の改善につながったとのことだ。この成果をサイト全体に適用すると、単月で5,300万円の在庫削減効果があると推計している(※1)。

- 購入金額 119%
- 粗利率 115%
- CVR 131%
- 平均来訪単価 160%

※1:PoCでのKARTE施策を通じた結果と、その時点のアーバンリサーチ社の在庫高をかけ合わせての推定値。

在庫ロス削減による持続可能な事業展開に貢献

実施企業コメント:株式会社アーバンリサーチ 執行役員デジタル事業本部デジタル営業部長の齊藤悟氏

「弊社にとって在庫問題は深刻な経営課題でした。値下げで在庫を解消するのではなくプロパー価格でのご購入を促すことで粗利を改善するとともに、お客様との継続的な関係づくりによるLTV(顧客生涯価値)向上を図ることで、事業成長を推進する必要があったのです。今回のPoCを通じて、在庫分析データで「隠れた売れ筋商品」を可視化するFULL KAITENと、リアルタイムかつ解像度高い顧客データ解析を可能にするKARTEによって、これまで光の当たりにくかった商品も、それを買いたいと思うお客様やLTVが高いお客様にお届けすることができるようになりました。粗利率の改善だけでなく、環境負荷低減への配慮も弊社の、ひいては業界の課題といえます。KARTEとFULL KAITENの連携ソリューションは、在庫ロス削減による持続可能な事業展開にも貢献するものです」

2022年2月より、プレイドとフルカイテンは複数企業の協力を得て、共同実証実験を通じて両者のプロダクトのデータ連携活用の効果検証を行ってきた。共同実証実験において効果検証ができたことに伴い、より多くの小売企業の課題解決に貢献するために、連携強化を行う運びとなったと述べている。また同社は、今回の取り組みについて、企業の経営課題であるSDGsやESGの取り組みも支援するものとなっているとしている。

さらに今回の在庫の適正化による効率的な資源の活用だけでなく、「消費に対して慎重になり、自分にとって本当に必要なものを買う」というサステナブルな消費に関心の高い今の生活者動向を捉えて、その人に合った精度の高い商品提案の展開につながることになりそうだ。同社はこれにより、SDGsの「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」という目標の達成に貢献するとしており、ECをはじめとした在庫の課題解決を通して持続可能な社会実現への取り組みが加速することになりそうだ。

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