バーチャルフィッティング(バーチャル試着)とは?ECにおけるメリットや導入事例を解説
アパレル系ECサイトで徐々に導入されてきているバーチャルフィッティングをご存知ですか?
コロナ禍をきっかけに急増したネットショッピングの課題は、実際に試すことができないことでした。しかし、バーチャルフィッティングはそんな問題を解決できる可能性があると今EC業界で話題になっているツールの1つです。
本記事では、そんなバーチャルフィッティングの仕組みや種類、ECサイトで導入するメリットなどアパレル商品を扱うECサイト運営者の方向けに詳しく紹介していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
バーチャルフィッティング(バーチャル試着)とは
バーチャルフィッティングとは、スマートフォンやボディスーツなどのデバイスを用いて、擬似的に服の試着を行うことができるシステムです。デバイスさえあれば、実際の試着のように店舗に赴いて何度も着脱することなく、データ上でスムーズに試着することができます。
最近では、洋服だけではなく帽子やメガネなどのアクセサリー類の試着もできるシステムが増えてきています。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000044966.html
なぜバーチャルフィッティング(バーチャル試着)が注目されているのか
アパレル業界は、トレンドの移り変わりが早く、また想定よりも商品の売れ行きが悪いという理由から新品でも廃棄されることが多く環境への負荷が大きな課題でした。
また、アパレル実店鋪の商品返品率は平均8%と言われているのに対し、ECサイトの返品率はなんと平均30%というデータもあるほど、届いた商品のサイズやイメージが合わないということから返品が多いことが問題としてよく挙げられます。一度返品された商品は、検品やアイロンがけが必要であったり、再び売ることが出来ないケースも多く廃棄につながりやすいのです。
そこでそのような課題を解決できる手段の1つとして注目されているのが、バーチャルフィッティングです。ECサイト上で擬似的に試着できるバーチャルフィッティングを活用すれば、イメージとギャップの差を減らし、返品率を下げ衣服の廃棄を減らせる可能性があります。
引用:https://mag.recustomer.me/virtual-fitting#a
ECにおけるバーチャルフィッティング(バーチャル試着)の種類
バーチャルフィッティングといってもいくつか種類があることをご存知でしょうか?
今回はECサイトに取り入れられているバーチャルフィッティングの種類を紹介していきます。
サイズ比較ツールタイプ
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000023882.html
サイズ比較ツールタイプでは、自身のサイズや体型などの情報をシステムに入力してシルエットを作り出し、そのシルエットに服を着せます。腹囲や胸囲といったサイズを測っておく必要がありますが、一度数値を登録してしまえば何度でも試着することができます。
スマホアプリタイプ
引用:https://webtan.impress.co.jp/n/2022/02/22/42384
スマホアプリタイプとは、スマートフォンのカメラで全身をスキャンしながら撮影することで、画面にバーチャル試着した様子を映し出すタイプです。AIのシミュレーションにより、実際に着たような姿をイメージすることができます。
ボディスーツタイプ
引用:https://zozo.jp/zozosuit/
ボディスーツタイプは、株式会社ZOZOが提供している「ZOZOスーツ」が代表的です。伸縮センサーが内蔵されているZOZOスーツを着用するだけで、全身が採寸され、スマートフォンに計測されたデータが転送されます。細かく正確な際数データがわかるため、自身にフィットする商品を選択しやすくなります。
しかし、ボディスーツタイプはZOZOが独自に開発したものであるため、導入を検討するならサイズ比較ツールタイプやスマホアプリタイプが一般的でしょう。
バーチャルフィッティング(バーチャル試着)のメリット
次にECサイトでバーチャルフィッティングシステムを導入するメリットを、ECサイトと消費者目線に分けてそれぞれ解説します。
ECサイトにとってのメリット
売り上げが上がる
ECサイトにおける一番の課題として試着できないことが挙げられますが、バーチャルフィッティングでこれらを解決し、消費者が商品を購入しやすい仕組みを作ることができます。
今までは、ECサイト上で気になっていた商品をチェックし、購入は実店舗で行うということがユーザーの購買行動でしたが、バーチャルフィッティングで実店舗と同じ商品イメージを伝えることができるとECサイト上で購入を決断させることに繋がります。
さらには、実店舗で在庫がない商品でもバーチャルでなら試着することができるので、販売機械の損失を減らすことができる点もメリットです。
返品が減る
バーチャルフィッティングでは自分と商品が合うかどうか、ということを確認することができるため、「届いたらイメージと違った」というギャップが減り、返品率を下げることができます。
また、ECサイトではSやMといったサイズ表記をもとに商品を購入することが一般的ですが、服によっては小さめであったり、タイトであることもあるでしょう。そのような場合でもバーチャルフィッティングを使えば、複数のサイズで着こなしを気軽に確認することが可能です。
消費者にとってのメリット
多くの試着体験ができる
バーチャルフィッティングであれば、気になる商品を何度でも気兼ねなく試すことができます。実店舗と同じ試着体験を簡単に行うことができるため気軽にショッピングをECサイト上で行えます。サイズや色違いを試すときにも時間も手間もかからず、消費者にとってもかなり便利であることは間違いありません。さらにすでに所有しているアイテムを着用すれば、組み合わせを確認することが可能です。
店舗に行く必要がない
ECサイトで気に入った商品を見つけても実店舗で試着してからでないと購入に踏み切れない、という消費者もいるでしょう。しかし、バーチャルフィッティングであればわざわざ店舗に赴く必要もなく、ECサイトのみで購入まで完結します。ECサイトにおける滞在時間の増加にもつながるかもしれませんね。
バーチャルフィッティングを導入しているサイトの事例
最後に、バーチャルフィッティングを導入しているアパレル・ファッション小物系サイトの事例を紹介します。
SHOPLIST
引用:https://shop-list.com/
数多くの服やファッション小物を取り扱うSHOPLISTでは、「bodygram」というバーチャルフィッティングシステムを世界で初めて導入しました。
bodygramはスマートフォン専用アプリであり、身長・体重・年齢・性別の4つの情報と2枚の全身写真から採寸データを作り出します。また、採寸データから消費者に適した商品を提案するレコメンド機能も備わっているため、消費者も安心して購入できるようなサービスとなっています。
JINS
引用:https://www.jins.com/
メガネメーカーであるJINSでは、公式サイトにてメガネ専用のバーチャルフィッティングシステムを導入しています。「WEBカムで撮影」または「写真ファイルをアップロード」することで、実際にメガネをかけたときのようなイメージ像が表示されます。
さらに、AIが顔型と雰囲気からお似合い度を瞬時に判断する機能や、似合うメガネをランキング形式でおすすめしてくれる機能を搭載しているため、自分に似合うメガネがわからないという方のお悩みを解消しています。
PayPayモール
引用:https://shopping.yahoo.co.jp/
モール型ECサイトであるPayPayモールでは、スマートフォンのアプリでメガネ、イヤリング・ピアス、コスメのバーチャルフィッティングが可能です。顔写真を撮影し、試着してみたいアイテムを選択することで、試着画像が表示されます。
また、メガネを試着した際には、顔とメガネの相性を数値化した「相性度スコア」が表示されるため、購入の参考にすることができます。試着したときの写真はそのまま保存したり、SNSにシェアすることも可能です。SNSと連携することで、ブランドの宣伝にもつながりそうですね。
ZARA
引用:https://www.zara.com/jp/
スペイン発のファッションブランドであるZARAのオンラインサイトでは、自身の身長や体重、普段の着用サイズ、好みのフィット感などを入力することで、自分と似た体型の人が購入しているサイズが表示されます。適切だと思われるサイズとともに、実際の購入者の返品率も記載されるため、信憑性のあるデータとなっています。
まとめ
これまでバーチャルフィッティングのタイプやメリット、導入事例を紹介してきました。バーチャルフィッティングシステムは、「実際の商品とイメージが違った」という状況を解消し、売上アップや返品率の低下につながる画期的な技術です。アパレル業界の課題である環境への負荷の減少にも寄与できる可能性があります。
ECサイト側・消費者双方へのメリットが大きく、今後はバーチャルフィッティングを導入するECサイトがますます増加していくことが予想されます。ぜひ、自社サイトでの導入もご検討してみてください。