GMOメイクショップ 2022年のEC市場を分析した結果を発表
GMOインターネットグループのGMOメイクショップ株式会社(以下:GMOメイクショップ)が提供するECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」の2022年の年間流通額は、過去最高を更新した昨年の2,749億円を上回る推移で成長しており、3,000億円に到達する見込みである。この約3,000億円の流通額と11,000件以上の導入店舗データをもとに、コロナ禍以前の2019年からコロナ禍3年目を迎えた2022年の振り返りを公表した。
2022年EC市場のトピックス
◆2020年以降は「フード・菓子」ジャンルが導入店舗トップシェアであり、注文数も「フード・菓子」が急増、流通額では「ファッション・ブランド」が1位
◆ID決済の注文割合が3年で10ポイント増の急成長を遂げ、複数の決済方法を導入している店舗が高売上の傾向
◆地域別の導入店舗数は、九州・四国・中部・北海道と地方で大きく伸長
◆「MakeShop byGMO」の年間流通額は今年も2桁成長で過去最高を更新し3,000億円到達見込み
◆2022年のECの利用は、コロナ禍以前の季節需要に応じた動向へ
◆コロナ禍で急増した補助金の申請希望は減少するも、支援強化で採択率は向上
◆2022年は「海外販売機能」の導入店舗数が急増、越境ECは今後も増加
以降で特に注目すべきポイントについて、それぞれ詳しく確認していく。
飲食店や食料品店のEC化
「MakeShop byGMO」は、幅広いジャンルの事業者に導入されているが、2022年12月現在で最も割合が高いものは以下の通りとなった。
◆「フード・菓子」:18.1%
◆「ファッション・ブランド」:13.2%
◆「生活・インテリア・文具」:12.7%
2019年までは「ファッション・ブランド」が最も多く15.2%であったが、2020年に「フード・菓子」が逆転し、以降増加を続けている。この背景には、コロナ禍で飲食店が営業自粛に追い込まれたことや、外出自粛により食品のお取り寄せ需要が増加したことから、飲食店や食料品店のEC化が進んだことが影響していると考えられるだろう。
ジャンルごとの「注文数」では、2022年1月~11月のデータによると、「ファッション・ブランド」が17.9%、「フード・菓子」が17.6%とほぼ並ぶ結果となった。一方ジャンルごとの「流通額」で見ると、「フード・菓子」は商品単価が低いこともあり、2022年1月~11月のデータでは、1位は「ファッション・ブランド」12.6%、2位が「フード・菓子」10.4%、3位が「家電・AV機器・カメラ」9.7%の順となった。
ID決済が3年間で10%も増加
2022年1月~11月の注文数を、決済手段ごとに確認すると以下の通りとなった。
◆クレジットカード決済:54%
◆ID決済:16%
◆銀行振込:9%
ID決済については、2019年と比較すると10ポイントも増加し急成長している。この背景には、キャッシュレス化の浸透に加え、コロナ禍が追い風となり実店舗でも非接触で購入できるID決済などの利用頻度が増え、ECの注文においても利用されるようになったことや、非対面受け取りのために減少した代金引換と置き換わったことが影響していると考えられる。
さらに、複数の決済方法を導入している店舗の売上のほうが高い傾向となり、クレジットカード決済以外に3種の決済方法を導入している店舗の場合には、クレジットカード決済のみの店舗の4.8倍も売上が高いといったデータも注目すべきだろう。
年間流通額は過去最高の3,000億円を見込む
2022年の「MakeShop byGMO」年間流通額はは、特需が落ち着く中でも2桁成長の推移となっており、3,000億円に到達する見込みでである。また月間流通額からも、長期化するコロナ禍と向き合いながら日常を取り戻し、イベントの再開なども行われる中で、ECの利用もコロナ禍以前の季節需要に応じた動向へと戻りつつあることがかがえるだろう。
「MakeShop byGMO」の地域別導入店舗数では、関東が最も多く全体の46%を占めている。しかし、2022年と2019年を比較した成長率で見ると、九州が150%と最も伸びており、次いで四国が141%、中部・北海道が131%となった。
首都圏に近い関東では以前からEC化が進み「MakeShop byGMO」の導入も多かったところ、コロナ禍で観光業が打撃を受けた地方事業者が販路拡大のためEC化に乗り出したことや、業務効率化のためにDX化を推進する動きが活発化したことが影響し、地方の導入店舗数が急増したと推測できる。
海外販売による流通額は増加
また、2022年の「MakeShop byGMO」利用傾向において特徴的であったのは「海外販売機能」の導入店舗数の急増だ。2022年4月の提供開始直後から円安の影響で注目が高まり、毎月100件ペースで導入店舗数が増加、12月14日時点で900件に到達し、海外販売による流通額も増加を続けている。
円安傾向はピーク時と比較し落ち着きを見せているが、インバウンド消費の減少が回復していない中、越境ECへの対応によるウェブインバウンド需要の獲得に対する期待も大きく、また、「海外販売機能」は追加費用負担もないため、引き続き導入店舗数の増加が見込まれるだろう。
EC市場はコロナ禍のによる巣ごもり需要をの増加から、2020年を境に急成長を遂げた。2022年はイベントの再開が相次ぐなど、日常に戻りつつある中でも2桁の伸長を維持している点は、ECによる購買が多くの人に浸透している結果だと言えるかもしれない。このような状況をベースにしながら、2023年以降のEC市場がどの様な変化を遂げるのか、今後の動向に注目すべきだろう。