【楽天市場「二重価格」の真相(2)】 有力店「二重価格」を修正

「2週間前の比較対照価格から、現在の比較対照価格が上がっている商品につきまして、いったん該当商品のみを商品サーチから下げさせていただきます」。

店舗関係者によれば、シュークリーム問題を発端に「楽天日本一セール」の不当表示問題が大手マスコミで話題となった11月7日、こんなメールが出店者に届いたという。楽天の審査を経ていない、いわゆる「勝手セール」の不当表示に関しても、こうした措置を実施することを予告していれば、今回の騒動を防げた可能性もある。

また、前回の連載では「広告枠」の商品で不当表示の疑いがあること指摘したが、同様の問題は以前の「楽天スーパーSALE」でも起きていた(6月13日付本紙)。審査に通った商品に「元値釣り上げ」がなかったとしても、「通常価格」そのものが機能していなかったとすれば、審査は甘すぎたと言わざるをえない。楽天では、今回の日本一セールに関して「広告表示案件についても、他と同様の調査を行っている」(楽天市場事業PR推進グループ)としているが、「不当表示の審査結果について公表するかどうかも含めて対応を検討する」ことから、最終的にどの程度の違反があったかが消費者には分からない可能性もある。今後は「通常価格」そのものの妥当性をチェックしていくものとみられるが、大手マスコミで騒がれてからの対応は遅きに失した感が否めない。



本紙では10月17日付通販新聞で、楽天市場の有力店舗の中に不当な二重価格表示を行っている疑いのある店舗が一定数あることを指摘した。実際には機能していない可能性の高い「当店通常価格」を用いて「お得感」を演出するケースが大半だったが、今回の騒動を受けて次々と二重価格表示をやめている。

「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2012」でジャンル賞を受賞した、食品を扱う店舗。以前はほとんどの商品で、本紙調査期間中には使われていなかった「通常価格」と「価格」を併記していたが、騒動以降は二重価格を取りやめた。当該店舗の店長は二重価格表示自体をやめたことに対し、「報道を受けて表記を変えた。価格釣り上げのようなことはしていないが、まぎらわしい表記は随時やめていく方針だ」と話した。この店長は以前、本紙の取材に対し「卸販売での価格を『通常価格』として設定している」「問題はないと思っている」などと説明していた。

食品ジャンルでは、別のSOY受賞店舗も二重価格表示をやめた。当該店舗の担当者は「誤解を招く表記は一切やめた。より分かりやすくした方が良いだろうという自主的な判断だ」と話す。従来使用していた「通常価格」に関しては、セールによる値下げ以降、価格を戻せなくなったケースと、実店舗で販売している価格を表記していたケースがあったという。

こうした店舗はいずれも「自主的な判断で価格表記を取りやめた」と説明している。とはいえ、「卸販売の価格を通常価格と表記」「値下げ以降、価格を戻せなくなった」というケースは、景品表示法に照らし合わせれば不当表示となる可能性は高い。

楽天では「ECコンサルタントによって問題が発見された場合には店舗に指摘するなど対応を行っている」(楽天市場事業PR推進グループ)と説明しているが、売り上げが大きく楽天にとっても重要な位置付けである、SOY受賞店舗でこうした問題が起きていたのはなぜだろうか。

楽天の元ECコンサルタントは「例えば『実店舗では定価で売っている商品を77%オフにしている』と店から説明された場合、本当なら景表法上も問題はない。また、基本的にコンサルのミッションは売り上げを上げることなので、そこまでチェックする余裕がないのも事実」と話す。(つづく)

※右上画像はSOY受賞店舗の二重価格表記修正前(画像上)と修正後(画像下)