BtoB物流とは?BtoCとの違いやEC化への変化と今後求められる対応策

ECのミカタ編集部

BtoB物流とは?BtoCとの違いやEC化への変化と今後求められる対応策

BtoB物流とは、企業間取引に伴う輸送や保管に関わる工程を意味する。事業者のなかには、「BtoB物流への理解を深めたい」「BtoBからBtoCへと販路を広げたい」と考える方もいるだろう。今回は、BtoB物流の概要とともに、BtoC物流との違いやEC化への変化とその課題を解説する。今後必要となるBtoB-EC物流に向けた対応策も紹介するので、販路拡大を模索する際の参考にしてほしい。

目次

●BtoB物流とは?
●BtoC物流との違い
●BtoB市場のEC化への変化と課題
●BtoB-EC物流に向けた対応策
●まとめ

BtoB物流とは?

そもそも、BtoBとは、Business to Business の略で、企業間で行われる取引を意味する。小売店に商品を販売する卸売、メーカーに製造部品を販売する業者などがBtoBにあたる。「物流」の観点から見ると、BtoB物流とは、企業間の商品やサービスの売買に伴う輸送や保管の過程のこと。特に、BtoB物流は販売相手が企業となるため、以下のような特徴がある。

出荷先(納品する企業)一つに対して、出荷量が多い


企業に商品を販売するため、1納品先に対する出荷量は多い傾向にある。商品内容によって異なるが、百や千、中には万単位の商品を納品する場合もある。

同一商品の保管量が多いため、高積保管に適した天井高の倉庫が必要


商品の保管量が多いため、高積み可能な天井高の倉庫が必須となる。また、ケース単位でパレットごと保管できるよう、倉庫内にはパレットを自在に移動するためのフォークリストも不可欠だ。

商品別にケースで分かれ、ケースの外装に内容明細が記載されている場合が多い


商品が入るケースのサイズが大きく、多量の商品が入っている傾向にある。そのため、ケースの外装明細には品番や商品名・数量を記載して、中身を管理するのが一般的だ。最近では、ケースに添付されたバーコードをスキャンし、中身の情報をデータで管理する方法が普及している。

納品先の納品ルールが細かく、厳しい場合がある


納品先によっては、独自の納品ルールに則る必要があり、指示された物流システムを導入することがある。また、最近では、データでの管理が主流だ。そのため、バーコードなどの印字にも厳しい基準があり、数ミリずれが生じ機械が認識できないといった問題から納品を断られる場合も。さらに、誤出荷や異物混入といったミスが発生すると、最悪のケースでは取引停止に追い込まれることもあるため、高い物流品質が求められる。

このように、BtoBにとって物流は相手企業との信頼関係をつなぐ要であり、ビジネスを継続させる上で重要な役割を担っているといえる。

BtoBの概要やBtoBマーケティングを成功させるポイントなどは、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてほしい。

関連記事:BtoBとはどんなビジネスモデル?BtoCやCtoCとの違いを解説

BtoC物流との違い

BtoBと比較される言葉にBtoCがある。BtoCとは、Business to Consumerの略で、企業が消費者向けに行うビジネス形態を指す。企業が提供する商品やサービスを、買ったり利用したりする相手が一般消費者であれば、それは全てBtoCといえる。BtoC物流の特徴は、以下の通りだ。

・一つの出荷先(消費者)に対する出荷数が少ない
・受注件数が多く、倉庫内の商品ピッキングに時間がかかる
・出荷先が不特定多数の個人宛てで、出荷予測が難しい
・一点の在庫数は少ないが商品種類が多い「多品種小ロット」で、それぞれの在庫位置を表すロケーションが複雑になりやすい
・荷主が実施する顧客サービスに沿った、庫内作業が発生する(納品書や請求書、チラシなど同梱やセット組みなど)

物流におけるBtoBのBtoCの違いは、「1納品先あたりの扱う出荷数量」と「直接消費者個人へ商品が届くかどうか」の2点だ。BtoB物流は、一回でまとまった数量を出荷するのが主流であり、取引先に商品を配送する。

一方のBtoC物流は、多品種小ロットでの受注件数が多く、消費者にダイレクトに商品を届ける。商品や配送品質は、その商品に関わるメーカー、小売企業、物流企業といった全ての関係者に対する、消費者からの信頼を左右する。商品への扱い方一つでクレームへと発展しかねないため、その点により配慮した管理と出荷サービスレベルが求められる。


BtoB市場のEC化への変化と課題

BtoB市場のEC化への変化とそれに伴う課題を紹介する。

近年のBtoB業界の動き


新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、今まで実店舗で販売していた企業や店舗が、営業時間の短縮や休業、さらには閉店に追い込まれた。その結果、そこに卸していたメーカーや問屋自体も、販売先がなくなり大量の在庫を抱える状況が生じたのだ。一方で、消費者側は外出の機会が限られるようになり、自宅で買い物が完結する、インターネットサイトでモノを購入をする人が急増した。

このような世の中の潮流を踏まえて、近年、BtoBで商売を行ってきた事業者において、商売の在り方を再構築する動きが生まれている。電子商取引と呼ばれるEC部門を強化し、売上拡大を目指す企業が増えているのだ。実際、BtoB-ECの需要は年々上昇しており、今後のBtoB企業の成長の鍵はEC化といっても過言ではない。さらに、BtoC-ECに参入するBtoB企業も増え、ビジネスにおける両者の垣根がなくなりつつある。

BtoB-ECの市場規模や企業間取引のEC化については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてほしい。

関連記事:BtoB-ECの市場規模。拡大の状況や背景、今後の動きを最新資料に基づき解説

関連記事:BtoB ECで企業間取引が変わる 拡大市場で相次ぐ導入の理由

BtoB、BtoCの両立には、物流管理が課題


EC市場の急成長に伴い、BtoBとBtoCの垣根がなくなりつつある一方で問題となるのは、両者の物流の在庫管理や運用だ。前述のように、BtoBとBtoCは物流に求められる要素が異なるため、同じ倉庫で業務が滞りなく行えるとは限らない。BtoB-ECの発展に向けBtoCも扱う場合、物流管理をどのように行っていくかが最大の課題となるだろう。


BtoB-EC物流に向けた対応策

最後に、BtoB-EC物流を本格化していく際の対応策を解説する。

在庫一元管理システムの導入


BtoBビジネスからBtoCに向けたEC化を図る場合、在庫の管理一元化システムの導入がおすすめだ。BtoBとBtoCで在庫を分けて管理すると、いずれかの店舗で在庫が不足した場合、機会損失が発生しかねない。しかし、在庫をシステムにより一元管理できれば、在庫の不足が発生せず安定した供給が見込める。また、物流拠点の集約によるコストダウンというメリットもある。

自社ECとモール出店の両立


BtoB-ECを展開する場合、自社ECサイト以外に、Amazonや楽天などの大手ECモールへの同時出店も検討しよう。得に、BtoCを視野に入れた場合、自社サイトだけでは消費者と接点を作ることは難しい。消費者に認知度の高いECモールを活用すれば、より多くの消費者の目に留まりやすくなり販路拡大が期待できるだろう。


まとめ

企業間取引に伴う輸送や管理に関わる全てを意味するBtoB物流。近年は、販路拡大に向け、BtoBビジネスのEC化、さらにはBtoC市場への参入を模索する企業もあるだろう。そのなかで、重要となるのは「物流」だ。物流は、相手企業や消費者との信頼関係をつなぐ大事な役割を担っているため、今回紹介した内容を参考に、適切な物流の仕組みを構築していこう。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事