企業は自社商品の情報をどう捉えている?[Contentserv調査]
商品情報管理(PIM)に関するサービスを提供する株式会社Contentserv(本社:東京都港区、代表取締役:渡辺信明、以下「Contentserv」または「同社」)は、商品点数10000点以上を取り扱う製造業・小売企業を対象に、商品情報管理に関する意識・実態調査を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
[調査概要調査企画・実施]
株式会社Contentserv
[調査対象]
取扱商品点数が10000点以上で従業員規模が100名以上の製造業、流通業・卸売業・小売業、商社の従業員、もしくは会社経営者・役員
[有効回答数]
300サンプル
[調査期間]
2023年1月18日(水)~19日(木)の2日間
[調査方法]
インターネット調査
※同調査では、小数点第2位を四捨五入している。そのため、数字の合計が100%とならない場合がある。
調査実施の背景
同社は、調査実施の背景として次のように述べている。
「企業が保有する商品情報は、仕様やスペック情報を中心とするマスタ情報と、販売・マーケティングに必要となるプロモーション情報に大別され、企業内の様々なシステムやスプレッドシート等で管理されています。顧客ニーズの多様化や世界的なパンデミックの発生によりビジネスが急速にデジタルへシフトする過程で、マーケティングや営業担当者の業務は、ウェブを通じた情報提供に加えて、マーケットプレイスやeコマースサイト、スマートフォンアプリなど、デジタルタッチポイントで顧客への商品情報の提供が求められています。今回の調査は、デジタル化が進行する日本の製造・小売業の現場で発生している商品情報管理における課題や問題点を明らかにすることを目的として実施したものです。併せて、欧米で導入が進んでいる『PIM』の導入率についての調査を実施しました。
※商品情報管理 (PIM: Product Information Management)は、企業が保有する各種製品関連情報(マスタ情報)と販売・マーケティングに必要となる情報(プロモーション情報)を一元管理するソリューション。PIMを導入することで、Webサイトやカタログ、ECサイトなどの各種システムとのシームレスな連携ができ、業務の効率性が向上するほか、データガバナンスやコンプライアンスを強化することができる
商品情報を取り扱う上で大切な点は?
まずマーケティングや営業責任者、または会社経営者・役員に対し、「商品情報を取り扱う上で大切と考える点」を聞いたところ、「商品の情報を正確に伝えること」が65%、「商品の魅力を伝えること」が60.3%と上位に挙がった。
次に正確な情報と魅力を伝えるための商品情報について、どこまでが該当するか「会社で取り扱っている商品情報として該当するもの」を聞いたところ、「価格情報」が73.3%、「商品説明」が68.7%、「仕様書」が67.0%と続き、主に商品仕様に関する属性が商品情報と認識されていることが分かった。
一方で、昨今消費者が注視している「口コミ」は12.3%、「SNSでのユーザーによる利用投稿」は11.7%という結果になり、8割以上は、これらを「商品情報」として認識していないことが分かった。
また、自社商品の魅力が顧客に正しく伝わっているかと尋ねたところ、「あまり思わない」が32.7%、「全く思わない」が5.3%と、4割が十分に伝わっていないと感じている結果となった。自社商品の魅力が伝わっていないと認識している一方で、顧客の「共感」を呼ぶSNS投稿や口コミなどのエモーショナルな情報の適切な管理・活用、感情的なつながりを築くことの重要性についてまだ十分に認識されていないようだと分析している。
「商品情報管理」における悩みや課題は?
「商品情報管理」における悩みや課題に感じていることについて聞いたところ、「情報が複数のシステムやデータベースに分かれている」39.0%が最も多い結果となった。
2番目に多かった「部署などスタッフによって利用する情報ソースが異なる」24.0%や、3番目に多い「マスタ情報の管理や統制ができていない(できているかわからない)」22.7%からも分かるように、“商品情報が集約されていない”ことに悩み・課題を感じているようだ。
次に「商品情報管理」において誤記載等があった場合、正しい情報を更新するための時間や、それに付随するコスト=「リカバリコスト」が発生していると思うかを聞いたところ、「思う」と「やや思う」と回答したのは55.7%という結果となった。
商品情報を管理する上で魅力的だと思う機能は?
商品情報を管理する上で魅力的だと思う機能はどういったものか聞いたところ、「商品データを一元管理できる」が76.7%、「さまざまなシステムと連携できる」が53.3%と情報を取得する際の管理のしやすさや、他システムとの連携できる機能が魅力と思う人が多い結果となった。
最後に、前問で多くの企業が商品情報を管理する上で魅力的だと思う機能として挙げられた「商品データを一元管理できる」や「さまざまなシステムと連携できる」などを叶えることができるツール、商品情報管理(PIM)の認知・導入状況について聞いたところ、「知っている」と回答したのは38.0%、「導入している」と回答したのは13.0%という結果だった。
サマリー
今回の調査の結果、次のことが分かった。商品情報管理(PIM)の導入状況について、「知っている」は38.0%、「導入している」が13.0%となり、マーケティングや営業での「商品情報」の取り扱いにおいて大切な点については、「商品情報を正確に伝える」65.0%が最多、次いで「商品の魅力を伝える」が60.3%となった。
また自社の取り扱い商品において「商品情報」に該当するものについては、「口コミ」「SNSでのユーザーによる利用投稿」は、“商品情報に該当していない”と思っている人が8割を超えた。
さらに「商品情報管理」において、日常の業務での悩み・課題に感じていることについては、「情報が複数のシステムやデータベースに分かれている」が最多となり、商品情報を管理する上で魅力的だと思う機能については、「商品情報を一元管理できる」76.7%、「さまざまなシステムと連携できる」53.3%が上位となった。
商品情報は、なんらかのアイテムを販売する企業にとっては、まさに生命線とも言えるものだが、クチコミやSNSでの情報が必ずしも商品情報に該当しないと考えているという回答が8割に上るというのは、意外な結果と言えるかもしれない。
各種の調査などからも、SNS等におけるユーザー投稿は、商品を購入する上でも重要な要素ともなっており、ECをはじめとした、さまざまな業態において、本質的な意味での商品情報の提供や拡散を意識することは、日々刻々と変化するメディアや消費者のマインド、そして社会そのものを捉えることにもつながるのではないだろうか。