日本郵便9月中間減収減益傾向 様々な施策への先行投資結果か

保険収入減少と人件費などの圧迫続く

日本郵政が発表したグループ全体の2014年9月中間連結決済は、売上高に当たる経常収入が7兆1,056億円で前年同期比5.7%減。最終当期利益が2,171億円で前年同期比1.2%減の、減収減益という結果であった。
傘下子会社三社のうち、日本郵便は純損失の幅が十倍の赤字、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は黒字であった。
日本郵便の人件費や設備投資などコスト増による伸び悩みと、かんぽ生命保険の契約数減少による保険料収入の低下などが、グループ全体の減収減益の要因となっている。親会社である日本郵政は2015年上場を目標としているが、具体的な成長路線の打ち出しがかなわない厳しい状況が続いているとの見方も出ている。

グループ中で最終損益が386億円の赤字であった日本郵便が、最大の課題となっている。通販需要の拡大などで「ゆうパック」「ゆうメール」は取扱数が増加し、二期連続での増収ではあったが、コスト増による投資回収手段が打ち出せていない。
衆院選が実施されれば、有権者宛ての投票所入場券や立候補者からの郵便物が増え、50億程度の増収効果は見込めるとしている。「かさばらず他の郵便物と同時に運べ、利益率が高い」と郵政幹部はコメントしている。また、「下半期は年賀状などで挽回する」とも述べているが、選挙や年賀状などの時期イベントに依存しない、安定収入を得る体質構築が課題となっている。

新施策や効率化進めるコストなど 回収と収益改善目指す

日本郵便は、再配達のコスト対策としAmazonとタッグを組み専用のポストの開発販売を行うなど、積極的に新しい施策を展開している。その半面、ドライバー不足による賃金上昇や、配達員不足への対策など人件費の増加など、今回の大幅な赤字幅増を裏押ししている要因は想定に難しくない。現状として、いわゆる「Amazonポスト」の浸透率も好調とは言いがたく、業務を進める上で必要な人件費は増え続けている。しかしそれらは、短期的で見れば赤字要因であるが、中長期スパンで見れば成長を支える先行投資であることも分かるだろう。
「業務の効率化に努めて収益改善を図っていきたい」とは、日本郵政市倉昇常務のコメントだ。赤字要因のコストと人件費がこのコメントに収束し、画期的な業務の効率化へとつながれば、グループの課題解決に向け大きなプラスになることは明らかである。

昨今、競合であるヤマト運輸や佐川急便も通販EC向けのCMをTV放送するなど、物流業界におけるECの食い込みは著しいものが見て取れる。古い体質をデトックスし、時代に合わせた新体質への過渡期に差し掛かっているのかもしれない。