EC物流倉庫の選び方は?相場の費用やおすすめの物流倉庫6選を紹介

ECのミカタ編集部

年々広がりを見せるネットショッピングですが、近年EC事業者の多くは自社で倉庫を持たずに物流倉庫をアウトソーシングするのが一般的になってきています。しかし、多くの物流倉庫がある中でどのような倉庫が自社に合っているのか、どのような基準で物流倉庫を選べば良いかわからないというEC事業者の方も多いはず。

そこで今回は、物流倉庫の種類や選び方、相場料金を詳しく解説していきます。記事の後半には、EC事業者におすすめできる物流倉庫を厳選してご紹介しますので、これから物流倉庫のアウトソーシングを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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■目次
・EC物流倉庫とは
・タイプ別に見るEC物流倉庫の種類
・EC物流倉庫を利用するメリット
・物流倉庫の相場や料金体系
・物流倉庫を比較する際に見るべき重要な3つのポイント
・EC物流におすすめの物流倉庫6選
・まとめ

EC物流倉庫とは

EC物流倉庫とは、商品の在庫管理をはじめ、検品、梱包、発送など、ユーザーに商品が届くまでの一連のプロセスの物流実務を担う倉庫を指します。EC物流倉庫の特徴は、インターネットを通じて商品を購入するビジネスのため、配達先のほとんどが「toC」向けであることです。toC向けのEC事業は様々な種類の商品を小ロットで出荷する場合がほとんどですが、EC物流倉庫では多品種小ロットで商品を管理することが可能です。

また競争が激化するEC事業では、スピーディーな配達が求められると共に丁寧な作業や正確性が重視されますが、EC物流倉庫では商品の保管場所を住所と番地でシステム管理するなど、多くの商品を正確に保管する仕組みが取られており、スムーズでクオリティが高い商品発送を任せることができます。

タイプ別に見るEC物流倉庫の種類

EC物流倉庫には、大きく分けて以下4つのタイプの物流倉庫があり、EC事業者が扱う商品に合わせて最適な倉庫を選択する必要があります。

・販売主体型のEC倉庫
・専門設備がある倉庫
・細かなサービスに対応できる倉庫
・ECや通販向けの倉庫

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

販売主体型のEC倉庫


販売主体型のEC倉庫とは、大手ECモールが主体となって運営している倉庫で、商品の保管や出荷だけでなく「注文受付」や「返品処理」などの顧客対応までサポートしてくれることが特徴です。

発送量が多いほど、倉庫の利用料が安くなる料金体系の場合が多いため、在庫の回転が早いEC事業者であれば、リーズナブルに利用できるでしょう。販売主体型の有名な物流倉庫には、「フルフィルメント by Amazon」や「楽天スーパーロジスティクス」などが挙げられます。

専門設備がある倉庫


「専門設備がある倉庫」とは、専門的な流通加工に対応できる倉庫のことを指します。例えば食品関連のEC事業者であれば、食品の品質を保つため低温保管ができる倉庫があり、アパレル関係であれば、倉庫内でほつれを直すためにミシンが設置されている倉庫などが挙げられます。

専門設備が必要となる商品を扱う事業者が設備費用を削減したい場合などに適しているEC物流倉庫と言えるでしょう。

細かなサービスに対応できる倉庫


「細かなサービスに対応できる倉庫」とは、物流倉庫が主体となりEC事業者の要望に合わせてカスタマイズできる倉庫を言います。

たとえば、「お礼のメッセージカードを同梱したい」や「商品に熨斗をつけたい」など、自社の要望に対応してくれることが特徴です。もちろん、カスタマイズには要望が多いほど費用はかかってしまうため、そのような細かな対応に予算を確保できるEC事業者におすすめできます。

EC・通販向けの倉庫


「EC・通販向けの倉庫」とは、多品種小ロットから対応してくれるためEC事業と相性が良い倉庫です。WMSなどのシステムを使用して徹底した在庫管理を行っており、商品の種類やロット数に関係なく利用できるのが特徴です。ただ、仕組み化された明確なルールを基に運用しているため、イレギュラーな対応ができないというデメリットもあります。

EC物流倉庫を利用するメリット

では、物流倉庫をアウトソーシングしてEC運営を行う場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?物流倉庫を委託するメリットは、大きく3つありますので、それぞれ詳しく解説します。

コア業務に専念できる


在庫管理をはじめとする物流業務は多くのスタッフが必要となりますが、倉庫管理のために新しく人材を採用したり、育成やオペレーションを組むとなるとコストがかかりるだけでなく、本来注力したい業務に振り切れません。

物流倉庫をアウトソーシングすれば、物流業務に費やしていたリソースを営業やマーケティングなどの主業務に充てることができます。人手不足も解消され、スタッフに余裕が生まれることで、業務効率の向上や事業規模の拡大も期待できるでしょう。

物流業務の品質向上が期待できる


2つ目のメリットは、物流業務をプロにアウトソーシングすることで、物流品質の向上が期待できる点です。システム化された物流倉庫であれば、リアルタイムで在庫状況やロットの管理、賞味期限の把握やフリーロケーションによる保管スペースの有効活用など、多岐にわたる業務を効率的に行うことができます。物流品質が向上することで、顧客満足度や企業評価のアップにも繋がるでしょう。

コストを削減できる


3つ目のメリットは、物流コストを変動費化して削減できることです。物流業務は、イベントや時期によって作業量が大きく変動するため、自社で物流業務のスタッフを雇用している場合は、繁忙期や閑散期に関わらず人件費は固定でかかってしまいます。これに対し、物流倉庫は物量によって費用が変わるため、たとえ閑散期であってもかかる費用をカバーすることが可能です。

物流倉庫の料金体系とは

ここまで、物流倉庫を利用するメリットや、EC物流倉庫の種類について解説してきましたが、物流倉庫を比較検討する際に気になるのはやはり委託費用ではないでしょうか?続いては、固定費と変動費に分けて物流倉庫の料金体系について解説していきます。

固定費


物流倉庫の固定費は主に、倉庫保管料、システム利用料、業務管理料が挙げられます。
それでは、詳しく見ていきましょう。

倉庫保管料
倉庫保管料とは、預かった荷物を保管するために必要なテナント料のことです。土地の価格に影響されやすく、倉庫を構えるエリアによって相場は大きく変わってきます。そのため、地価が高い都市部では倉庫保管料も割高に設定されており、あえて地方にある物流倉庫を選ぶEC事業者も多くあります。

地方や都市部から少し離れたエリアの場合、都市部の物流倉庫の約半分程度の倉庫保管料で費用を抑えられるケースもあります。

システム利用料
システム利用料は、倉庫システムを利用することで発生する費用です。入庫、在庫管理、ピッキング、出荷までの一連の物流業務を、倉庫システムを用いて効率的に行うことができます。規模が大きなECサイトや複数のネットショップを運営している事業者にとっては必須と言えるでしょう。倉庫システムの利用料の相場は、月額2〜5万円程度と言われています。

業務管理料
業務管理料とは、保管する荷物を管理するためにかかる費用のことを言います。具体的には、セキュリティ強化や落下や破損から荷物を守るために発生する手数料で、倉庫システムと倉庫ロボットを連携する際に充てられる場合もあります。

業務管理料の相場は、月額1万円〜5万円程度で、システム利用料と併せて請求されるケースや扱う荷物量に応じて料金設定されている物流倉庫もあります。

変動費


物流倉庫の変動費とは、入荷や出荷、売り上げなど商品の動きによってその都度変動する経費のことを指します。変動費は、主に入庫料、検品・ピッキング・出荷料、梱包資材料、配送料の4つの項目が挙げられます。

入庫料
入庫料とは、預かった荷物の仕分けや決められた保管スペースに荷物を収納するための入庫作業にかかる費用です。段ボールやパレットなど、入荷形態に応じて価格が設定されていることや、入荷する荷物の量によっても人員の労力が変わるため変動費として扱われます。

検品・ピッキング・出荷料
入庫した荷物の検品やピッキング、出荷にかかる手数料を指します。初期不良のチェックや、数量をはじめ、サンプルの同梱など、EC事業者のニーズに合わせた多種多様な確認事項が必要になるため、対応するサービスによって費用が加算されていきます。

梱包資材料
梱包資材料とは、商品を発送するための梱包作業にかかる費用です。ギフト用のラッピングや熨斗に対応している物流倉庫であれば、別途費用を請求されることが多くあります。また、通常梱包のみの作業になる倉庫もありますので、事前に確認が必要です。

配送料
配送料は発送するサイズや、重さ、エリアによって金額が設定されています。物流倉庫が独自のトラックを所有し、配送まで一貫して行うケースもあるようです。

物流倉庫の相場


続いては、物流倉庫を利用する際に発生する平均相場を見ていきましょう。坪数や件数、エリアなど物流倉庫によって金額は大きく変わるため、自社で扱う商品をイメージしながら参考にしてみてください。

【固定費の相場】
・システム利用料:30,000~80,000円/月
・業務管理料:10,000~100,000円/月
・倉庫保管料:4,000円~7,000円/坪

基本料として計上されることが多いシステム利用料は、利用するシステムの規模によって料金に幅が出てきます。業務管理料は、出荷件数によって物流業者と値段交渉ができるケースもあるなど、柔軟に対応してくれる業者もあるようです。今回、坪数で倉庫の保管料を算出しましたが、先述しました通り倉庫の種類や特徴、立地によって保管料は大きく異なる項目となります。

【変動費の相場】
・入庫、ピッキング料:10円~30円/個
・検品料:10円~100円/個
・梱包資材料:150円~300円(段ボールの場合)
・配送料:400円~1,200円

費用を基準にして物流倉庫を比較する際のポイントは、商品1個あたりのコストを算出することで、比較しやすくなるためおすすめです。

物流倉庫を比較検討する際の4つのポイント

では、実際に物流倉庫を比較する際に、押さえておきたい4つのポイントについて解説していきます。これからご紹介するポイントを参考にして、自社が取り扱う商品と物流倉庫とのミスマッチを防ぎましょう。

立地(ロケーション)


物流倉庫の立地は、配送コストを削減できる重要な要素です。仕入れ先に近い物流倉庫であれば仕入先の配送時間やコストを削減することができ、消費者に近い物流倉庫であれば、柔軟に出荷のタイミングをコントロールすることが可能です。自社が扱う商品から、仕入れと配送先のバランスを考慮して物流倉庫の立地を比較検討すると良いでしょう。

在庫システムと連携可能か


委託倉庫と自社のシステムが上手く連携できるかどうかも、物流倉庫を選定するうえで重要なポイントです。仮に連携ができないシステムを使用している場合は、システムを一新しなければいけないことや運用スタッフの負担が増えることも考えられます。スムーズに運用するまでに、時間や予算が想定よりかかってしまう可能性があるため注意が必要です。

BtoCへ出荷経験が豊富か


EC物流倉庫の大きな特徴は「toC」への出荷件数が大半を占めていることです。そのため、多種多様な商品をそれぞれの個人宅へ配送することになるため、「BtoC」の物流経験が豊富な倉庫を選ぶとスムーズに稼働することができます。反対に「BtoB」に適した物流倉庫もありますので、どちらに適しているか事前に調査しておきましょう。

迅速かつ丁寧な梱包・発送か


物流倉庫を比較する際は、委託業者の業務クオリティに注視する必要があります。物流作業は、いかに迅速に発送できるかが1つの目安になりますが、それだけでは顧客満足度の向上には繋がりません。ピッキングや出荷ミスの少なさ、現場の管理体制などの正確さも物流倉庫を比較するうえで重要なポイントになります。比較検討段階で、物流業者へミスの実績値を開示してもらうのもおすすめです。

EC物流におすすめの物流倉庫6選


それでは実際にEC物流倉庫におすすめの物流倉庫をご紹介します。今自社が抱える課題を解決できるか、それぞれの特徴を参考に比較してみてください。

スクロール360

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引用:https://www.scroll360.jp/

スクロール360は、BtoCの豊富な現場経験から、「このお店で、もう1度買いたい!と思わせる」をコンセプトに、ホスピタリティの高い作業を担う物流のプロフェッショナル集団です。受注から配送までの作業を一貫して行うフルフィルメント業務だけでなく、マーケティングからシステム開発などのサポート体制も充実しています。集客・販促・商品拡充などのマーケティング業務も含めたサービスをお探しのEC事業者の方におすすめの物流倉庫です。

日立物流

引用:https://www.logisteed.com/jp/

日立物流の特徴は、EC物流向けのシェアリング自動倉庫「スマートウエアハウス」が完備されていることです。これにより、システム化されたオペレーション作業でミスの軽減や、繁忙期の際のスペース拡張にも対応することができます。閑散期のコスト効率や、人材不足による品質の低下に課題を持つ事業者の方に特におすすめの物流倉庫です。

三井倉庫ホールディングス

引用:https://www.mbp-co.net/service

三井倉庫ホールディングスは、EC物流をはじめ、サンプル発送やBtoB物流に対応できるロジスティクスサービスを提供する他、書類管理やバックオフィスサービスなど多岐にわたる物流業務サービスを展開しています。特にEC物流では、一般的なフルフィルメント業務だけでなく、クライアントの特性に合わせた業務運用の計画立案を行うことが特徴です。

また、キャンペーンツールの梱包発送、販促品、ノベルティグッズの梱包などのサンプル発送代行サービスも提供しています。自社のリソースをコア業務に割くことができるため、定期的にキャンペーンなどを行う事業者におすすめです。

SBSホールディングス

引用:https://www.sbs-group.co.jp/

SBSグループは、国内外に700か所以上の拠点を持つ総合物流企業で、各専門業界のBtoB物流で培ったノウハウを基にEC物流サービスを提供しています。EC物流サービスの「EC物流お任せくん」では、充実したロボットやマテハン機器の導入で、将来を見据えた物流運営を行っていることが特徴です。

全国の拠点でECプラットフォーム現場が順次拡大しており、要件や拡張性など様々な条件から自社に最適な拠点を選ぶことができます。

佐川グローバルロジスティクス

引用:https://www.sagawa-logi.com/

佐川グローバルロジスティクスは、複数のEC事業者が共同で利用するシェアリング倉庫です。

特徴は、稼働開始までのスピードが早く、受注に合わせた料金体系で初めての方でも安心して委託することができます。また、従量課金制度のため、閑散期でも使った分だけの請求となり、固定費を抑制することが可能です。

見える化された料金体系と、受注から出荷までのリードタイムを短縮したいEC事業者におすすめの物流倉庫です。

株式会社イー・ロジット

引用:https://www.e-logit.com/

イー・ロジット倉庫は、受注から発送、カスタマー業務までを一貫して行い、365日ワンストップで代行することで配送コストのオプティマイズを実現しています。

高い業務効率で大規模な波動にも対応できる人的リソースが整っているため、時期によって出荷量に大幅な増減がある場合にも対応可能です。また、受注だけでなくカスタマー業務を委託したい、物流コストを最適化したい物流倉庫をお探しの方におすすめできます。

まとめ

物流倉庫を比較する際のポイントやおすすめの物流倉庫をご紹介しました。
物流倉庫を選ぶ際は、「立地(ロケーション)」「在庫システムと連携可能か」「BtoCへ出荷経験が豊富か」「迅速かつ丁寧な梱包・配送か」の4つのポイントに注目して比較検討するのがおすすめです。

自社が抱える課題を解決できる倉庫であれば、コスト削減や売り上げアップに貢献することができます。ぜひ、さまざまな物流倉庫を比較して、自社に最適なサービスを選びましょう。

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