ECサイトの引っ越し(移行・リプレイス)手順から費用・重要ポイントを徹底解説

ECのミカタ編集部

ECサイトを立ち上げた後、数年はプラットフォームを移行することはないと思います。しかし、サイトの規模感が大きくなると、現行のカートでは不満が出てきたり、システム面で不足したり部分が出てくる場合もあるでしょう。ですが、いざカートシステムを引っ越ししたいと思っても、実際にはサイトの停止期間が発生するなどのリスクも伴います。本記事では、ECサイトの引っ越しに必要な準備や作業手順、重要なポイントを解説します。

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ECサイトのシステム移管(リプレイス・引っ越し)の手順

以下ではECサイトの引っ越しをする際の一般的な手順を解説します。

引っ越し先サービスの決定・申し込み


自社が求めるカートシステムを選定し、システムの仕様や動作確認を行います。多くのカートASPでは、契約前に無料のトライアル期間が設けられているため、積極的に活用しましょう。

必要なシステムや動作の確認を終えたら、システムの契約に進みます。申し込み完了後、新システムのログイン情報が付与されるので、実際の引っ越し作業(データ移行・外観構築)を行っていきましょう。

基本的には管理画面へのログイン情報が発行された時点で、システムの利用料が発生するため、スムーズにデータ移行や環境構築が行える状態にしておくことがポイントです。このとき、新たに導入したい決済方法などがある場合には、同時に申し込みを完了させておきましょう。

新サイトのデザイン(テンプレート)の設定


引っ越し先のカートシステムで、新たにレイアウトを決定します。用意されているテンプレートからカスタマイズを加えることが可能な場合が多いので、新システムの仕様を理解するためにも、試用期間中にいくつかレイアウトを作成してみるのもいいでしょう。

商品情報など各種データの移行


商品情報やカテゴリデータなどは、カートシステムに実装されているCSVアップロードなどの機能を使って一括で登録できます。あらかじめ新システム用のフォーマットでデータを準備しておくとスムーズに登録作業を進められるでしょう。

商品情報のcsvと画像を紐づけて一括でアップロードができるので、CSVデータの生成さえきちんと行っていれば、商品情報の移行はスムーズに完了します。新システムへ画像を一括アップする際、画像を軽くするなどの圧縮作業も実施するとよいでしょう。

下層ページの移行


会社概要や特定商取引法、プライバシーポリシーなどのページは、多くの場合以前のページのコピペで移行が完了します。これらのページは一度作ってしまうと、なかなか見なおす機会も無いので、あらためて内容の見直しなどを行うのもよいでしょう。

以下がECサイトにはほぼ必ず実装されているページで、引っ越しが必要になるものです。
●会社概要
●特定商取引に基づく表記
●プライバシーポリシー
●ショッピングガイド
●Q&A

その他、今までに作成した特集ページやイベントページなどのコンテンツがある場合には、同じく移行作業を行います。多くはftpを使用してアップロードが可能なので、ページの引っ越しもスムーズに完了するでしょう。

各種設定


各種設定には、以下のようなものが挙げられます。
●決済設定
●送料/手数料設定
●ポイント設定
●カートページ設定
●マイページ設定
●レビュー設定
●各種受注関連のメールテンプレート設定
●納品書・領収書設定
●広告関連の設定
●アクセス解析など各種必要タグの設置

基本的にはECサイトを新規オープンさせる際に必要な設定と変わらないため、コピペなどで引き継げるものは引き継ぎ、見直しや新規設定が必要なものはあらためて設定していきましょう。

外部サービスとの連携確認・テスト注文


各種データの設定や移行がある程度完了した時点で、テスト注文を実施します。このとき、カート画面のUI確認や、注文データがどのように管理画面に反映されるのか、その後の受注処理は円滑に進められるかなどを確認しておきましょう。

本番同様に、すべての決済方法でテストをしておくと、実際のリニューアルオープン時に不具合無くスムーズに稼働できます。

新サイトのオープン告知と旧サイトの閉鎖


以上の工程を完了させ、問題無く稼働することが確認できたら、新サイトのオープンへと進みます。まずは新旧サイトをクローズ(閉鎖)状態にし、会員データ・注文データの整合性がとれる状態にします。

これは、カートシステムの移行を知らずに訪問した顧客が、旧サイト側で注文してしまったり、新規顧客登録などを行ってしまったりすることを防ぐためです。

顧客データ移行とオープン作業


現カートシステムから顧客情報を一括で出力し、引っ越し先のシステムへ移行します。多くの場合はCSVデータで一括出力ができるので、新システムのフォーマットに適宜修正しアップロードしましょう。

このとき、暗号化されている会員パスワードやクレジット情報の移管については、対応方法の検討が必要です。これらの情報を事業者側の好意で移管する判断をした場合、逆に利用者に不安を与えることもあります。

カートシステム移行を顧客に周知する際、これまでのパスワードやクレジット設定が初期化される旨を通達し、あらためて顧客自身に再登録を促すことで、トラブルなく移管できるでしょう。顧客データ、注文履歴データの移管が完了次第、新サイトのメンテナンス表示を解除して、オープン状態にします。

ECサイトを引っ越しする際に重要なポイント

ここからは、ECサイトを引っ越しする際に押さえておくべきポイントを解説します。

システム移管する目的・目標・予算を明確にする


冒頭でも述べたように、ECサイトのカートシステムを引っ越しする場合には、現状のシステムでは不満に思う部分や足りない点があるはずです。まずはその問題部分や、カート移行する目的を明確にしておきましょう。この部分を明確化しておかなければ、どのシステムを選べばいいかを判断できません。

また、このときに予算もあわせて出しておく方がよいでしょう。カートシステムを移行する際、ASPであれば数万円~数十万円、フルスクラッチとなると数億円となり、費用の幅が非常に大きくなります。

自社に必要なシステムを明確にし、どれくらいの予算があれば実装が可能なのかを明確にしなければ、移行先を決める段階で失敗してしまう恐れもあります。

スケジュールをきちんと決めておく


カートシステムを引っ越す際の作業の流れは先に解説しましたが、思っている以上に手間がかかります。スケジュール管理をきちんと整理して決定しておかなければ、いざ作業する際に時間が足りないなど、トラブルにつながる恐れもあります。

カートASP間でのシステム移行であれば、およそ3か月で移行完了が目安になりますが、フルスクラッチでの制作など大規模な移行になる場合には1年以上が目安になります。社内や移行先の担当者と密な打ち合わせを重ね、トラブルが無いよう無理のない綿密なスケジュール管理を行いましょう。

作業の分担・体制を決めておく


カートシステム移行の際、作業の分担範囲を決めておきましょう。移行作業には、すべての作業を社内で進めるケースと、代行サービスなど外部へ依頼するケースの2種類があります。さらに商品データ移行など、作業工数がかかりそうな一部分だけを代行依頼する方法などもあるため、必要な工数などを洗い出し、どのケースで進めるかを決定します。

クレジットカードの審査期間


ECサイトを引っ越す際に気をつけたいのが、クレジットカードの審査期間です。クレジットカード決済などは審査に期間を要することもあるため、早めに申請しておきましょう。

新しいシステムに移行した際、クレジットカードが使えないなど決済周りに不備があると、顧客満足度の低下につながりかねないため、決済周りは早めの準備をおすすめします。

乗り換えの際のSEO


ECサイトを引っ越す際にドメインの変更がある場合、きちんと対策を講じておかないと、これまで蓄積してきたドメインパワーを引き継げなくなる可能性があります。ドメインパワーが失われてしまうと、またゼロからスタートになってしまうため、集客面で大きなダメージを受けることになってしまいます。

では、具体的に何をすればいいかというと、旧サイトから新サイトへのリダイレクト設定は必ず行ってください。このとき、301リダイレクトではなく302リダイレクトにしてしまうと、「一時的なリダイレクト」となり、旧サイトまでインデックス登録されてしまいます。

301リダイレクトであれば、「恒久的なリダイレクト」と認識するので、旧サイトは存在しないものとされ、二重登録される心配はなく、既存ドメインのSEO評価も引き継がれるようになります。

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ECサイトの引っ越しにかかる費用

ECサイトを引っ越す際にかかる費用ですが、システム以外の主な内訳は人件費です。移行に関する作業を社内完結させるのか、代行業者を利用するのかで大きく変わります。

もちろん社内完結できる場合には、大きくコストを抑えることも可能です。ただし、社内リソースが無い場合には、後々大きなミスにつながらないように代行サービスを利用するのも、ひとつの選択肢です。

また、移行の際にデザインも一新しリニューアルするとなれば、別途デザイン費なども考えておかないといけません。

まとめ

今回はECサイトを引っ越す際に必要な作業手順と、押さえておきたいポイントをご紹介しました。サイトを移行するにはコストや労力もかかるため、まずは移行する目的とゴールを明確にしたうえで、取り組んでいきましょう。


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