在庫分析クラウドの「FULL KAITEN」 8億円の資金調達を実施し累計資金調達額は約20億円に

ECのミカタ編集部

在庫分析クラウドのフルカイテン、合計8億円の資金調達が終了

在庫分析クラウド「FULL KAITEN」を展開するフルカイテン株式会社(以下:フルカイテン)は、ジャフコグループ株式会社が運用する投資事業有限責任組合をリードインベスターとして、三菱UFJキャピタル株式会社など複数社を引受先とする第三者割当増資と、あおぞら企業投資株式会社が運用する投資事業有限責任組合を引受先とする新株予約権付社債の発行によって、8億円の資金調達を実施したことを公表した。

5カ年計画に沿った成長

フルカイテンは「FULL KAITEN」の開発・提供を通じて「世界の大量廃棄問題を解決する」というミッションを実現するため、2025年12月期を最終年度とした5カ年計画を立てている。

初年度に当たる2021年は、機能を大きく刷新した「FULL KAITEN」バージョン3.0をリリース。その後、小売の現場から要望の多かった新機能を順次実装するなど機能改良を続けており、「小売の在庫効率を上げる在庫分析クラウド」という事業として完成度を上げた1年になった。

続く2022年はFULL KAITENを導入する小売企業を大きく延ばすことで、「在庫分析ツール」の市場でのシェアを拡大した。

最終的な資金調達額は10億円を超える見込み

2023年からは、世界の大量廃棄問題の解決に向けた第2のフェーズに事業が入り、「FULL KAITEN」を導入する顧客の実売データを活かした新商品の需要予測を事業化するために研究を重ねている。

この新事業によって、サプライチェーンの川下に位置する小売だけでなく、川中(卸売、商社、メーカー)へ遡り余剰在庫の問題を解決できるよう、サプライチェーンの川下と川中に散在する販売・生産・在庫に関するデータを集約するためのプロダクト開発を本格化させる。

本当に必要な在庫量を需要予測することで、必要な在庫が必要な量だけ生産され流通するサプライチェーンへの変革を実現させるだろう。

そのため、プロダクト開発と採用強化に向けた投資の原資として、今回の8億円を超える資金調達を実行。なお、引き続き資金調達を行っており、最終的な資金調達額は10億円を超える見込みとしている。

大量廃棄が解決に向かう世界

今回の資金調達について、フルカイテン代表取締役CEOである瀬川直寛氏は以下のようにコメントしている。

「在庫は値引きを抑えて販売できるなら利益を生み出す宝になります。しかしそれは言葉で言うほど簡単なものではなく、また筋の良い解決策もあまり考案されていないため、顕在化しているのに諦められた課題でした。私たちフルカイテンはこの難しい問題を解決し、企業の経営を粗利体質に変革するお手伝いをすることで成長してきました。そして今回、販売実績がない新商品の需要予測を可能とする新たな技術開発にも成功しました。この技術があれば、『生産量の適正化』から『値引きを抑えた販売』まで、サプライチェーン全体をカバーするソリューションに進化できます。そしてその先には、サプライチェーン上を必要な商品が必要な量だけ流通する社会、大量生産が抑制され大量廃棄が解決に向かう世界が待っています。今回の資金をこの夢の実現のために責任を持って使っていきたいと思います」

累計資金調達額は計約20億に

累計資金調達額は計約20億に

「FULL KAITEN」は、在庫効率を向上させるための在庫分析機能をクラウドサービスとして提供している。これまで提供してきた「プロパー消化率を向上させる、不要な値引きを抑制する、売れる商品を売れる場所に移動する」などの機能は、どれも在庫効率を向上させ売上・粗利・キャッシュフローを増加させるのに有効だ。

現在「FULL KAITEN」は、株式会社アーバンリサーチやパルグループホールディングス、美津濃株式会社などのほか楽天市場ショップオブザイヤー受賞店舗など、中小から大手まで多くの小売企業(EC及び実店舗)への導入が進んでいる。

その背景として、縮小していく国内小売市場においては従来の「売上第一」ではなく、無駄な在庫を持たずに利益とキャッシュフローを増やしていく「粗利経営」が必要不可欠であるという意識が浸透し始めたことが挙げられる。

今回の資金調達の結果、フルカイテンの累計資金調達額は計約20億となった。

今後は「FULL KAITEN」上に蓄積した顧客の実売データを元にした新商品の需要予測機能のリリースを計画している。同機能は既存顧客とのPoCにおいて3億円以上の余剰在庫抑制を実現しているため、複数の顧客から強い関心が寄せられている。

さらに今回の資金をもとに事業拡大を加速させるべく、社員43名から70人の組織体制まで人材採用を進めていく予定である。今後も成長を続けるフルカイテンに注目だ。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事