リフォームEC「リノコ」今期6億円

問い合わせと受注数が倍増


セカイエ株式会社が運営するリフォームECサイト「リノコ」が2014年11月期決算での売上高は前年比約3倍の6億円を見込んでいる。9月の問い合わせ数は3,000件(5月比3倍)、受注数は600件(5月比2倍)と、問い合わせと受注数の伸びが大幅増収の要因としている。

リフォーム市場は、一生のうち何度も購入するサービスではなく、インターネットでの情報開示が進んでいないため、消費者はリフォームの相場観を掴みにくい。リノコは「リフォーム市場をとにかく明瞭に」という信念で、一般消費者にわかりにくい市場を変えていくとして2012年に誕生したECサイトだ。
工事費用を含めた総額をWEB上で提示し、訪問による見積もりを撤廃することで、不必要な工事を提案される心配を排除。日本全国同じ価格、同じサービスを提供し、施工後1年間の工事保証を約束している。

1月には2億円、5月には6,000万円の第三者割当増資の実施による資金調達を行い「リフォームといえば、リノコ」というキーワードで広告宣伝、マーケティングの強化を行ってきた。今回の増収はこうした広告宣伝の効果が現れ始めた結果とも見れる。
また、近年のEC市場全体の発展と普及に伴い、より手軽にECサービスを利用できる環境が整ってきたことも、リノコの利用を後押ししている要因の一つと思われる。

リフォーム業界は7兆円規模の成長市場


矢野経済研究所が行った住宅リフォーム市場に関する調査によれば、2013年の住宅リフォームの市場規模は前年比12.4%増の約7兆円、2020年の市場規模は8兆円という拡大予測を見せる成長市場だ。WEB上でリフォームの比較や見積もりなどを行っても、最終的には訪問見積もりをしないと金額が出ない、通常の料金よりも結局高くなってしまうなど、こうした問題に対し、真摯に取り組む同社の姿勢とECの利便性は、消費者の心をつかみ始めているようだ。特に、調べてみたら思いの外安かった…というような見積もりシュミレーション機能などは、ECならではの手軽さで、購入に進む良いきっかけとなる。

リノコの成功は、不透明だった業界に一つの基準を生んだ。そして、消費者は正しい情報があれば、リフォーム業態でもEC利用するという事実を今サービスは証明している。
これまででは考えられないような領域にもECが浸透することで、更に発展の可能性を見せるEC市場。今後どのようなサービスが登場するのか楽しみだ。




−山本一雄−