ヤマトHD「赤字」は「EC需要の伸び悩み」? 2024年3月期第1四半期決算説明会 価格やオペレーティングでコストの適正化へ

ヤマトホールディングス株式会社は2023年8月3日、2024年3月期(2023年4月~2024年3月末)第1四半期の決算説明会を開催した。

営業収益、営業利益ともにマイナスの結果に

ヤマトホールディングス株式会社(以下、ヤマトグループ)が8月3日に発表した資料によると、2023年4月~6月の第1四半期は、営業収益は4202億円(前期比-0.9%)、営業利益は15億円(前期比-33.9%)どちらもマイナスの結果となった。

営業収益に関しては、消費費行動のリアル回帰によるEC需要の伸び悩みなどにより、宅配便取扱数量は前期と比べて1.6%減少している。一方で単価においては2.3%増加している。これは外部環境の変化を踏まえたプライジングの適正化を推進した結果だという。

プライジングの適正化について、ヤマトグループは「労働力人口の減少に伴う賃金・時給単価の上昇や、国際情勢・円安などによる原材料・エネルギー価格の上昇、物流業界における2024年問題への対応などを踏まえ、2023年4月3日より届出運賃を改定しました。また、また、個別契約を締結している法人のお客様に対しても、これまでのお取引の状況や契約内容等を踏まえ、順次交渉を進めています」とコメントしている(※1)。

営業利益は、営業収益減収の影響で、時給単価、燃料単価、電気代など、外部環境の変化によるコスト上昇が継続したものの、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みが進展した。具体的には、EC物流ネットワークを含む全体のネットワークで需要の変動(取扱数量の増減)に対応するオペレーションの稼働率が上がったことが考えられるという。結果、宅配取扱数量が減少した中で営業費用は31億と、前期より0.7%の低下となった。

営業利益は概ね前期並みの水準で着地している。ECに関しては、EC物流ネットワーク(業務量の繁閑に応じた費用連動)を活用し、EC需要に対応しつつ、ネットワーク全体のキャパシティ(稼動状況)を踏まえたコストコントロールに注力するという。

※1 関連記事:ヤマト運輸が宅急便など届出運賃等を改定へ

ヤマトグループ決算説明資料<2024年3月期 第1四半期>より一部抜粋

EC、物流事業に関する事業構造改革の進捗

ヤマトグループが進捗発表している事業構造改革は下記の4つ。

①専用ネットワークの拡大
②既存ネットワークの拡大
③日本郵政グループとの協業
④ワールドホールディングスとの業務提携

EC物流ネットワークについては、第1半期で6拠点開設(物量に連動)。保冷専用ネットワークとして6月に当社初の保冷専用大型ラストマイル拠点「低温輸配送センター東京南エリア」を開設し、港区から集約開始しているようだ。

また、クロネコDM便とネコポス(投函領域)の輸送・配達業務を日本郵便に委託する(※2)など日本郵政グループとの協業によって物流業界が抱える「2024年問題」や「カーボンニュートラル」の課題解決に向けた取組みに貢献していくとしている。

※2関連記事:「クロネコDM便」「ネコポス」終了へ…2024年問題を前に日本郵政とヤマト運輸が協業