ヤマトHD、2024年3月期第2四半期決算 ECの伸び悩みや国際輸送の減少により業績予想を下方修正へ

ECのミカタ編集部

ヤマトホールディングス株式会社が、2024年3月期第2四半期の決算説明会を開催。第1四半期に引き続き、収益利益ともにマイナスの着地となったことがわかった。

収益利益ともにマイナス、業績予想を下方修正へ

ヤマトホールディングス株式会社(以下、ヤマトグループ)が11月2日に発表した資料によれば、2023年7月~9月の第2四半期は、営業収益8665億円(前期差-171億円、予想差-64億円)、営業利益123億円(前期差56億円、予想差-6億円)と第1四半期に引き続き、収益利益ともにマイナスの着地となった。

営業収益で気になるのは、宅配取扱量が前期より約2万個減少した点だろう。宅配便単価は価格改定により前期と比べ3.3%増加したものの、宅配便取扱数量は、消費行動のリアル回帰や物価上昇の影響でEC需要が想定以上に伸び悩んだことなどが大きい。

ヤマトグループではサプライチェーンの「End to End」に対する提供価値拡大を目指すため、ネットワーク・オペレーションの構造改革や越境EC領域の取り組み等を行っている。それでも宅配便収入、国際輸送の減少により第2四半期の予想水準には届かない結果となった。

ヤマトグループ決算説明資料〈2024年3月期 第2四半期〉より

結果的には2024年3月期予想について、営業収益は1兆8200億円から1兆7850億円に、営業利益は800億円から650億円に下方修正しているが、時給や委託、燃料費など外部変化によるコスト上昇が継続した中でも、オペレーションコストの適正化に注力したことで、営業利益はおおむね予想した水準で着地している。

ネットワーク・オペレーション構造改革と法人ビジネス領域の拡大

同社は経営戦略として、ネットワーク・オペレーション構造改革と法人ビジネス領域の拡大を掲げている。ネットワーク・オペレーション構造改革では専用ネットワークの構築・拡大と既存ネットワークの強靭化で多様な物流ニーズへの対応を強化していくとしている。基盤の取り組みとして、ラストマイル集配拠点を2023年9月時点で3086拠点から、今期末までに約2800拠点に集約する見通しだ。また大型ラストマイル集配拠点を含めた新規出店を推進し、人材構成の見直しも行っていくという。人材派遣を一元管理する仕組みを東京・関東地域より順次導入するようだ。

専用ネットワークに関しては、2023年6月時点で20拠点ある「EC物流ネットワーク」の開設、食品流通におけるEC拡大による「保冷専用ネットワーク」の拡大を進めている(※1)。法人ビジネスの拡大では、自動車生産・販売市場が拡大するインドにてロジスティクスセンターを3拠点開設する。日本国内のみならず海外領域も含む顧客のサプライチェーン全体の最適化を推進するとした。

物流2024年問題への対応は?

なお、2024年4月からの自動車運転業務における「時間外労働の上限規制」の適用に関していえば、同社グループでは働き方改革を進めてきており、社員の労働時間は既に適正な水準となっているとしている。

一方で、現在、ターミナル機能の見直しと並行して、今後の幹線輸送の在り方などについて、担当パートナー企業と協議を進めていることも強調。パートナー企業に対しては、燃料費や賃金単価など外部コストの上昇を踏まえた適正な対応を継続するとともに、輸送効率を高める取組みを進めることで、オペレーションコストの適正化に努めていくという。

※1関連記事:ヤマトグループ、統合レポート2023を発表 物流2024年問題や今後4年間の戦略へも言及


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