2023年10月の景気動向 インフルエンザ流行の影響も? 全体的に景気DI回復も物価高や2024年問題が課題に

ECのミカタ編集部

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2023年10月18日から10月31日までの景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは、業界別の景気動向に絞って紹介する。

2023年10月の景気DIは前月比0.3ポイント増の44.7

TDBが調査した2023年10月の景気動向調査によると、景気DIは3カ月ぶりに改善したという。活発な各種イベントやインバウンド需要の増加、半導体関連がプラス要因となったようだ。

業界別で見ると下記の通り。

■サービス全体:前月比1.3ポイント増。3カ月ぶりに改善
・好調なインバウンド需要、行楽シーズンにより「旅館・ホテル」が2カ月連続で改善
・レジャー、ビジネスともにレンタカーが好調、「リース・賃貸」が2カ月連続改善
・情報サービスは3カ月ぶりに上向き
・人材費や原材料費などの高騰、節約志向の高まりで「飲食店」は3カ月連続で悪化

■製造全体:前月比0.3ポイント増。3カ月ぶりに改善
・半導体関連の需要が順調に推移し、3カ月ぶりに改善
・店舗関係の工事、先進的窓リノベ事業などの補助金により「建材・家具、窯業・土石製品製造」は3カ月連続で改善
・大手自動車メーカーの稼働停止により「輸送用機械・器具製造」は9カ月ぶりに悪化

小売全体:前月比0.5ポイント増。6カ月ぶりに改善
・衣替えのシーズンを迎え、婦人衣料を中心に「繊維・繊維製品・服飾品小売」は3カ月ぶりに改善
・インフルエンザの流行などで「医薬品・日用雑貨品小売」は6カ月ぶりに上向きに
・食品値上げよる買い控えが生じる「飲食料品小売」、「各種商品小売」はともに2カ月連続で悪化

今後は横ばいで推移か

今後の景気DIについて、TDBの資料では「今後の国内景気は、海外情勢のリスクを抱えつつも、個人消費と設備投資が下支えし、横ばいで推移すると見込まれる」としている。

好材料は2023年10月より改定された最低賃金引き上げに伴う所得増加が個人消費にプラスとなること(※1)。2023年は全国加重平均で1004円と昨年より43円の引き上げが決定し既に実施されている。また、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していく取り組み、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進やインバウンド需要拡大もプラス材料となりうるという。

悪材料としては、人件費の増加や生活必需品の高止まり、人手不足の長期化、2024年問題による時間外労働の上限規制などが考えられる。あわせて中東情勢の緊迫化や中国の不動産市場の動向など、為替動向を含め海外経済の動きにも注視する必要があるとしている。

時間外労働の上限規制については、すでに2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されている(※2)。今回2024年問題にあがっているのは、長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があり猶予期間を設けられた職種だ。工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業が対象になる。

なかでもEC事業に関連する「物流業界の2024年問題」は、トラックドライバーの人材不足かつ労働時間の制限で2030年には34.1%の輸送能力が不足する可能性が試算されている(※3)。2023年10月6日に物流革新緊急パッケージの発表で、物流業界の効率化や商慣行の見直しがなされる中、今後の景気動向との関連についてもあわせて動向を追っていきたい。

※1出典元:2023年度の最低賃金決定額について
※2出典元:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務
※3出典元:知っていますか?物流の2024年問題

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年10月18日~10月31日
調査対象:2万7052社
有効回答:1万1506社


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