定形郵便が84円から110円に値上げへ 消費増税を除くと30年ぶりとなる価格改定
総務省は2023年12月18日、情報通信行政・郵政行政審議会の分科会を開き、定形郵便物(25g以下)料金の上限額を現行の84円から110円に引き上げる省令案を示した。
消費増税を除き30年ぶりの価格改定
総務省は18日、25g以下の封書(定形郵便物)の郵便料金の上限を現行の84円から110円に改正する省令案を発表。
はがきも7年ぶりの値上げとなる見込みであり、63円から85円へと変更、定形外の郵便も3割ほど値上げされる。レターパックや速達は、利用者の利便性を重視して値上げ幅を抑える予定だ。
審議会は2023年12月19日から2024年1月22日までパブリックコメントを募集し、同年3月にも答申する予定。その後は消費者委員会や物価問題の関係閣僚会議などを経て、早ければ6月に省令を公布するという。手続きが順調に進めば、2024年の秋ごろには新料金が導入される見通しである。
◆主な郵便料金の推移(※1)
※1 出典:総務省「郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案(p.10)」
デジタル化やSNS普及による郵便数減少が原因
今回値上げに踏み切った背景には、各種手続きのデジタル化やSNSの普及による、郵便物数の減少があげられる。
昨今の社会情勢の急速な変化に伴う賃上げや輸送コストの高騰も重なり、日本郵便は2022年(令和4年)度決算で2007年(平成13年)の民営化以降で初めての赤字転落を経験している。郵便物数も2007年をピークに毎年減少。デジタル技術の活用が急速に進む昨今の状況を踏まえると、今後も郵便物数の減少はさらに大きくなると考えられる。
◆郵便物数の推移(※2)
日本郵政は今後、営業費用削減の取り組みに加えて、以下のような施策を進めるとしている。
◆若者を中心とした新たな手紙振興策の実施
◆個人顧客を対象としたスマートねんがの推進
◆トレーディングカード等の送付需要に対応
デジタル技術に活躍の場を譲りつつある郵便であるが、今後も特定分野においては重要な社会インフラの役割を担い続けるはずだ。今後郵便文化がどのように社会に順応していくのか、その動向に注目が集まるだろう。
※2 出典:総務省「郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案(p.23)」