物流だけでなく建設業も2024年問題に直面 鹿島建設、運送マッチングと物流中継システム開始
鹿島建設株式会社(代表取締役社長:天野裕正)は、建設資材(以下、資材)の効率的かつ環境に配慮した運送を実現するため、運送マッチングアプリと物流センター中継システムの運用を開始した。同社は、物流の2024年問題の解決を図るとともに、運送に伴い排出されるCO2削減を削減することで、脱酸素社会の実現に貢献していくとしている。
建設業も…2024年問題における課題
2024年4月から適用される時間外労働の上限規制により、輸送能力が低下し、ドライバー不足によってモノが運べなくなる「物流の2024年問題」。同じく建設業界でも2024年4月から時間外労働の上限規制が適応される(※1)。
建設現場では、資材搬送時に車両の可能積載量に対して実積載量が少ない「低積載」や、荷下ろし後の荷台が空となる「空荷」など、非効率な状態が度々発生するという。一般的に、資材は遠方にある製造元から現場に大型車両で一括運送されるため、現場の規模により荷受量などが制限される場合には、小型車両で何度も運送する必要がある。よって、車両由来のCO2排出量が増えるといった課題も発生している状況だ。
※1出典元:建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(厚生労働省)
現場作業会社と運送会社の情報を一画面で見れる、運送マッチングアプリ
同社は、脱炭素社会の実現と物流の2024年問題の解決に向け、2つの取組を行う。1つ目が、ヤマトシステム開発株式会社(以下、ヤマトシステム開発)と共同開発した「運送マッチングアプリ」。現場で作業する協力会社の「いつ、どの資材が欲しい」という情報と運送会社の「車両サイズ、どこからどこへの運送、合積みと帰り荷の状況」を一元管理することで、これまでロスとなっていた部分が一目瞭然となり、資材運送の効率化が可能だとしている。
さらに運送後に空荷となる車両に、現場から搬出したい資材を、帰路上にある資材置場に運送するようマッチングも可能だという。
物流センターを中継することで、脱炭素社会の実現へ
2つ目が、センコー株式会社(以下、センコー)の協力のもと行う、物流センターを中継して資材を運送する仕組み「物流センター中継システム」。横浜市内で施工中の集合住宅工事では、2023年4月からすでに導入されており、従来と比較して約60%のCO2排出量の削減効果を確認したという。
一般的に資材の製造元は現場から遠方にあることが多いため、資材の運送は大型車両を使って一括で運送する方が効率的だとされている。しかし、多くの現場では、大量の資材を保管するスペースがない。そこで、大量の資材を製造元から大型車両で同センターまで運送し、敷地内に一時保管する。同センター内での仕分け作業、現場で当該資材が必要となった際の運送はセンコーが行う仕組みを導入。
今後の展望として、2つの取組を全国の現場に展開し、脱酸素社会の実現と物流の2024年問題の解決に向けて取り組むとした。