運送業企業の8割が物流の2024年問題対策を実施 運送業者の声から考えるEC事業者にできることとは?

ECのミカタ編集部

株式会社オーサムエージェント(本社:愛知県名古屋市中区錦、代表取締役:竹村優、以下オーサムエージェント)は、オーサムエージェントが運営する、運送業に特化した専門求人サイト「ドラピタ」にて、契約中企業を対象に「2024年問題の意識調査」を実施し、その結果を公表した。

2024年問題、82.1%が対策中

2024年4月1日から運送業従事者の時間外労働時間が年間960時間に制限される。これにより、何も対策を行わなかった場合2024年では14.2%、2030年には34.1%輸送能力が不足するという「物流の2024年問題」が差し迫っている。

株式会社オーサムエージェント(以下、同社)が運送業に特化した専門求人サイト「ドラピタ」掲載中の企業を対象に行った調査によると、物流の2024年問題に対して対策を行っている企業は全体の82%に上ったという。

具体的な対策としては「ドライバーの確保(75.7%)」「荷主への運賃値上げの交渉(54.3%)」「労働環境の整備(45.7%)」の順であがっている。ドライバー確保のための運賃値上げ交渉や労働環境整備に力を入れているようだ。

出典元:株式会社オーサムエージェント

荷待ち時間、賃上げ交渉については半数以上が前向き

国土交通省がトラック運送事業における適正な取引を実現するために設置した「トラックGメン」の活動報告によれば、2023年11月から12月までの集中監視期間において主な違反原因行為は「長時間の荷待ち(62%)」「運賃・料金の不当な据置き(14%)」だった(※1)。

出典元:国土交通省

また同社の調査によれば、荷待時間削減の交渉は57.1%、運賃値上げ交渉では73.2%が前向きな結果となりそうだと見込んでいる。物流の2024年問題が徐々に認知されてきたことや、トラックGメンによる監視強化の結果が数字に表れているのだろう。とはいえ、まだまだ違反行為が絶えないことから、今後も業界全体での対策が必要だ。

※1出典元:別紙1)トラックGメンによる「集中監視月間」(令和5年11月・12月)の取組結果(国土交通省)

調査概要

・調査期間 2024年1月16日~2024年1月22日
・調査機関 同社調査
・調査対象 求人サービス「ドラピタ」に掲載中企業443社
・有効回答数 84社
・調査方法 アンケートフォームでのインターネット調査

・掲載元:2024年問題の意識調査結果 8割を超える企業が事業への影響に懸念|今やるべき対策とは(株式会社オーサムエージェント)

同社に寄せられた事業者の声

同社の調査では、2024年問題に対する事業者の声を紹介している。

賃金的な優位性だけでなく、適正なワークライフバランスの確保が安定的な事業体制構築のポイントになると感じている。荷主への値上げだけでなく、自社の労働条件改善が必要だが、経営損益的な課題との調整は非常に難しい。(北陸/宅配)

ある程度の理解は得られるものの地元の小さな企業ではこちらの要望を通すと企業自体の存続が危うくなる。地元企業も守りたいのでバランスをどうとっていくかが悩ましいところです。(九州/一般貨物)

・運送業は1社だけで成り立つものではなく横のつながりが大切なので、業界全体で人材の確保や労働環境の改善を進める必要があると思います。そのためには、荷主企業の理解、協力が不可欠ですが、それを実現するには社会全体の理解も必要だと思います。モノを買うためには作り手だけでなく運び手の存在が不可欠であることを消費者が理解し、荷主企業の対応を後押しできるような社会になることを願います。(東海/一般貨物)

自社ドライバーの人員確保による賃上げ、労働環境の整備を行いたい企業が多いなか、取引先会社のことを考えると中々交渉ができないという声もあげられていた。EC事業者としては、物流の現状を理解した上で、日にちに余裕を持った配送手段/受取方法を選択してほしいなど消費者へ伝え続けることが必要になるだろう。


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