キリングループ、2024年問題への対策を加速 輸配送戦略と拠点戦略の両輪でトラックドライバー不足に対応

ECのミカタ編集部

キリンホールディングス株式会社(以下:キリングループ)のグループ会社であるキリングループロジスティクス株式会社は「物流2024年問題」への対策として、トラックの集車力・配車力・配送力の向上を主とする「輸配送戦略」と、物流拠点の能力・グループの拠点ネットワークの最適化を主とする「拠点戦略」を強化することを公表した。

「輸配送戦略」と「拠点戦略」を強化

キリングループは「物流2024年問題」に対して、以下の対策を講じる。

◆輸配送戦略
▷トラックドライバーの運賃改定
運賃改定後水準において2022年から2024年までの対応すべてを加味した運賃の引き上げ率は、2020年比で全国平均10.3%となる。同時に、これまでトラックあたりの輸送する貨物の重量ベースで算出していた運賃を、トラックの車型ベースでの算出に改定。積載状況の変動を受けず、トラックドライバーの安定的な収入につながる環境を整備する。

▷長距離輸送の削減
550Km以上の長距離輸送ルートは、モーダルシフトまたは中継拠点(※1)で貨物を積み替えるバウンド輸送に変更。550Km以上のモーダルシフト化率を2021年比で約2割拡大となる「72%」を2024年の目標とする。また、目標達成時には年間3130トンのGHG削減が見込まれる。

◆拠点戦略
▷トラックの荷待ち
各フォークリフトに搭載する端末に荷揃え作業指示が送信されるシステムを開発。トラックが積み込み場所に到着する前に、貨物を事前に用意しておく運用を整備した。また、キリングループの各拠点に、BI(※2)ツールなどのシステムの導入を進め、フォークリフトの作業生産性を可視化。荷待ち・荷役時間にかかる原因分析を迅速に行う運用を構築した。

※1:つくばセンター・西名古屋センター・阪神ドライセンター・キリンビール岡山工場
※2:「ビジネスインテリジェンスツール」の略称であり、企業に蓄積された大量のデータを集めて分析・見える化し、迅速な意思決定を助けるためのソフトウェア

荷主としての責任を果たす

キリングループは運賃改定について、2022年には「燃料価格の高騰に対する支援金」を、2023年には国交省の「標準運送自動車貨物約款」の改定にあわせ、基本運賃とは別に「店頭での付帯作業に対する支払い」を新設してきた。今回の運賃改定は運送会社、ドライバーにさらなる働きやすい環境を提示するだけでなく、集車力の強化にも繋がるはずだ。

今後は「トラック運行数の削減」「必要トラック台数の確保」「限られたトラックの有効活用」といった視点で段階的に解決策を実施する。

キリングループは「荷主としての責任を果たすべく、物流コスト全般とトラック台数のコントロールをしながら、トラックドライバーを始め、物流業務に関わるすべての人々・団体と協働し、必要な物量を運びきり、お客様に商品をお届けします」とコメントしている。いよいよ目前に迫った2024年4月に向け、各社の取り組みも佳境となってきた。各業界の施策、動向に引き続き注目したい。


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