食品物流とは。課題やEC事業者向けの効率化の方法を解説

ECのミカタ マーケティング部

食品物流とは。課題やEC事業者向けの効率化の方法を解説

食品物流で重要なのは、いかに効率よく最小限のコストで迅速に食品を届けられるかです。

しかし、そのためには一般的な物流と異なる点や食品物流の流れをよく知り、効率化の方法を検討する必要があります。

この記事では、EC事業者における食品物流の課題や効率化の方法について解説します。

大手食品メーカーの物流事例も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

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食品物流とは

食品物流とは、食べ物や飲み物など、人が口にするものを扱う物流をいいます。

「食品」といっても常温や冷蔵、冷凍など種類はさまざまで、それぞれ異なる温度調整が必要です。

そのため一般の貨物よりも特殊な設備や技術が求められます。

また、食品には賞味期限や消費期限があるため、日付や時間の管理も必須です。

一般の貨物よりも厳格な管理をしなければならない点が、食品物流の特徴といえます。

食品物流の流れ

消費者が食品を購入するまでの一般的な食品物流の流れは以下のとおりです。

  1. 食品メーカーが原料メーカー・生産者から原料を仕入れる
  2. 食品メーカーが原料から食品を加工・製造する
  3. 問屋が食品メーカーから食品を仕入れ、小売店に配送する
  4. 小売店が食品を販売する
  5. 消費者が食品を購入する

まず、食品メーカーが原料を仕入れ、工場で加工・製造します。

袋や瓶、缶などで包装された食品を問屋が仕入れ、注文に応じて小売店に配送します。

問屋から食品を仕入れた小売店は、肉や魚、野菜などの生鮮食品を加工し、店頭で販売されたものを消費者が購入するのが食品物流における一連の流れです。

農林水産省が推進する取り組み

農林水産省は「食品等の流通の合理化」を図るため、物流確保や負担軽減を目的とした「農林水産省物流対策本部」を設置し、物流機能を安定して確保するための取り組み「ホワイト物流」推進運動などを行っています。

出典:食品等の流通の合理化について|農林水産省

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種類1)低温食品物流とコールドチェーン

コールドチェーンとは、冷蔵や冷凍、生鮮食品といった低温食品を、低温状態を保ったまま消費者に提供することを目的とした物流です。

徹底した温度管理を行うため、食品を保管する倉庫や配送に使用するトラックには常温物流とは異なる工夫がされています。

たとえば以下のとおりです。

倉庫 トラック
・低音を保つための空調設備
・外気との温度差対策のためのドッグシェルター
・断熱パネル
・冷凍ユニット

上記の設備により、消費者は冷凍食品やアイスクリームなどでも適切な温度のまま気軽に購入できているのです。

コールドチェーンの仕組み

コールドチェーンでは、以下のルートで消費者へと食品が届けられます。

  1. 生産(農場・漁場など)
  2. 配送
  3. 加工(加工工場)
  4. 配送
  5. 保管(物流倉庫)
  6. 配送
  7. 販売(小売店・飲食店など)
  8. 消費

農場や漁場で生産された食品は、その時点から徹底した温度調整が必要です。

野菜や果物などにはまず「予冷」と呼ばれる低温処理を行い、低温状態にします。

肉や魚は鮮度を保つ必要があるため、「急速冷凍機」を用いて素早く冷凍状態にします。

食品はその後、配送中や加工中、倉庫で保管する際も適切な温度で管理され、低温状態を保ったまま消費者へと届けられるのです。

食品によっては、生産後加工工場に行かず冷凍・冷蔵倉庫に配送される場合もあります。

種類2)加工食品物流

加工食品物流においても温度管理は重要です。

それに加え、湿度や日付、衛生管理も欠かせません。

また、加工食品物流には「ドライバーから嫌われる」という問題があります。

トラックドライバーから嫌われる理由は以下のとおりです。

  • 夜間の積み下ろし作業が発生する
  • 荷物の積み下ろしに時間がかかる
  • 待機時間が長い
  • 検品に時間がかかる

とくに待機時間の長さは問題視されており、30分以上の待ち時間が発生することも珍しくありません。

長い待ち時間は、トラックドライバーの労働時間が長時間化する原因になっています。

種類3)健康食品物流

少し毛色は違いますが、健康食品の物流に関する疑問も多いため、ここで紹介します。

健康食品物流の特徴は以下のとおりです。

  • 賞味期限やロットの管理が必要
  • 定期便購入に対応する必要がある
  • サンプル品の出荷に対応する必要がある

賞味期限の管理を行うほか、ケースによってはロット管理も必要です。

また、定期便やサンプル品の出荷にも対応しなければなりません。

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食品物流の課題

食品物流はさまざまな課題を抱えています。

事業者一人ひとりがそれぞれの課題と向き合い、解決策を考えていく必要があるでしょう。

ここでは、食品物流の課題について解説します。

食品トレーサビリティの強化

食品トレーサビリティの強化が食品物流の課題として挙げられます。

食品トレーサビリティとは、食品に問題が発覚した際どの工程で問題が生じたのかを追跡し、把握することです。

たとえば異物混入が発覚した場合、どの工程で異物が混入したのかを特定する必要があります。

加工工場や物流倉庫、小売店など、生産者から小売店までの経路を明確にすることが、食品の安全や信用につながります。

食品ロス

食品が食べられることなく捨てられる「食品ロス」は、物流業界の問題でもあります。

消費期限が切れることはもちろん、物流工程で生じる食品の劣化も食品ロスの原因です。

たとえば、適切な温度調整ができていないと食品が傷みやすくなり、大量廃棄を招いてしまいます。

いかにして食品物流の過程で食品ロスを生じさせないようにするかが課題です。

トラックドライバーの人手不足

食品物流にかぎらず物流業界全体の問題ではありますが、トラックドライバーの人手不足も

課題のひとつです。

国土交通省の調査によると、令和4年8月時点の有効求人倍率は2.08倍というデータが出ています。

これは、全職業平均の約2倍の数値です。

人手不足の原因として考えられるのは、長時間におよぶ拘束時間や割に合わない収入などです。

働き方改革関連法により、2024年4月以降はドライバーの拘束時間は減少するものの、その分収入がさらに減少する可能性があり、人手不足に拍車がかかることが懸念されます。

出典:「2024年問題」解決に向けて|トラック運送事業の働き方をめぐる現状|国土交通省

大手食品メーカーの物流事例

大手食品メーカーはどのような物流機能を備え、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

ここでは、大手食品メーカーの物流実例を紹介します。

日清エンタープライズ株式会社

日清エンタープライズ株式会社では、以下のような取り組みが行われています。

  • 荷役作業の効率化
  • 無人フォークリフトの導入
  • 付帯作業の自動化

物流設備に投資し、生産性と品質の向上に努めるなかで、大きな効果がみられたのは「荷物をばら積みからパレット積みに変更したことによる荷役作業の効率化」だそうです。

以前は2時間かかっていた10t車への積み込み時間を30分まで短縮でき、ドライバーの待機時間減少に貢献したようです。

また、無人フォークリフトの導入や付帯作業の自動化により、人手不足への対策も行われています。

参考:日清エンタープライズ株式会社

三菱食品株式会社

三菱食品株式会社では、以下のような取り組みが行われています。

  • TMS(車両動態管理)導入による配車の最適化
  • 遠隔監視システム導入によるセンター管理の効率化
  • 積替えの自動化
  • 小分け作業の効率化

上記の取り組みにより、食品ロスやCO2の排出量増加につながると考えられる「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし、業務の効率化や品質の向上に努めているとのこと。

なかでも注目すべきなのは、「積替えの自動化」です。

三菱食品では、知能ロボット「デパレタイザー」導入で冷凍センターでの積替えを自動化することで、作業員にかかる負荷を軽減しているそうです。

参考:三菱食品株式会社

旭食品株式会社

旭食品株式会社では、以下のような取り組みが行われています。

  • ロジスティクスオペレーションシステムの導入
  • 大型物流センターの開設

顧客に対し「365日・24時間、最適な物流機能を構築する」ことを目指し、安心、安全、高品質で持続できる物流サービスの実現に取り組んでいるようです。

具体的な動きとして、入出荷作業を効率化・品質向上させるシステムを導入し、顧客のあらゆるニーズに対応できるよう努めているそうです。

また、大阪北センターと西淡路センターを統合し、大型物流センターを開設することで近畿エリアでの物流機能を強化しています。

参考:旭食品株式会社

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食品関連のEC事業者における物流効率化の方法

EC事業者が物流を効率化する方法には、どのようなものがあるでしょうか。

ここでは、食品関連のEC事業者における物流効率化の方法について解説します。

WMSを導入する

WMSを導入することで物流の効率化が期待できます。

「WMS(Warehouse Management System)」とは、倉庫への入荷から出荷までに発生する以下の作業を一括で管理できるシステムです。

  • 入出庫管理
  • 在庫管理
  • ラベル・帳票発行
  • ロケーション管理
  • 棚卸し

WMSを導入していない場合、上記の作業は従来どおり手作業で行う必要があります。

それぞれの作業に多くの時間がかかったり、ミスが生じたりといったリスクがあるほか、担当者によって作業精度が異なるといった問題もあります。

しかしWMSを導入していれば一連の作業を効率よく行えるうえ、ハンディターミナルで読み取った情報がリアルタイムで共有されるため、「担当者でないとわからない」という問題を解決できます。

また、作業の効率化はコスト削減にもつながります。

作業をマニュアル化する

物流効率を上げるためには、作業のマニュアル化が重要です。

個人の経験やスキルに頼ったやり方では、人によって品質にばらつきが生じるためです。

たとえば、慣れた人ならスムーズに行える作業でも、慣れていない人では効率的な作業が行えず、無駄に時間がかかります。

その結果、顧客満足度の低下やクレームにつながるおそれがあります。

また、経験のある担当者がいるうちはよいですが、退職するとなれば現場に混乱が生じるでしょう。

作成したマニュアルに従って作業を行うことで一定の品質が守られるようになり、新人教育もスムーズに行えます。

物流業者・委託倉庫にアウトソーシングする

これまで自社で行っていた物流業務を、物流業者や委託倉庫にアウトソーシングするのもひとつです。

物流業務をプロに委託すれば作業ミスや無駄が減り、作業品質が向上します。食品という難しい商品を扱う場合、それが得意な事業者に委託するメリットは非常に大きいです。

もちろん、自社で倉庫を借りて管理する必要がなくなるため、賃借料や管理費用も削減できます。

ただし、物流業者・委託倉庫ならどこでもよいわけではありません。

現在抱えている悩みに合っているかどうかはアウトソーシング先によるため、どのようなアウトソーシング先を選ぶかが重要です。

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食品物流が抱える課題や、EC事業者が物流効率を上げるための方法について解説しました。

物流業務は、自社でまかなうよりも物流業者や委託倉庫といったEC物流のプロに任せたほうがうまく効率化できる可能性があります。

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