中国向け越境ECとは?中国ECの市場規模やおすすめECサイトも紹介

ECのミカタ マーケティング部

中国向け越境ECとは?中国ECの市場規模やおすすめECサイトも紹介

近年活発化している越境ECですが、EC市場として最大規模を誇る中国への新規参入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

今回はそんな方に向けて、中国向け越境ECについて解説します。おすすめのECサイトや中国での人気商品も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

なお、この記事では2024年2月時点の情報を記載しています。

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中国向け越境ECとは

ECの市場規模を国別で見ると、中国とアメリカが全体の7割を占めています。

その中でも中国が圧倒的に大きく、経済産業省の令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書によると、シェア率は驚異の50.4%。この市場規模の大きさから、新規参入を検討する日本企業も多くなっています。

まずはこの章で、中国におけるECの特徴を紹介します。

中国のEC市場規模

eMarketerの調査によると、2022年の中国におけるEC市場規模は2兆8,790億USドルとなり、前年比+9.1%であったと推測されています。

今後も中国EC市場は拡大傾向にあると考えられ、2026年には3兆9,850億USドルにまで成長するのではとの考察もあります。

また、経済産業省の報告によると、2022年度の日本・中国・米国の3カ国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加しています。

2022年の各国間の越境EC(BtoC)の市場規模

日本から買う 米国から買う 中国から買う 総市場規模
日本購入額 3,561億円 392億円 3,954億円
米国購入額 1兆3,056億円 9,055億円 2兆2,111億円
中国購入額 2兆2,569億円 2兆7,499億円 5兆68億円

日本・米国・中国の3カ国を比較すると、中国が越境ECによる日本・米国からの購入金額が最も多く、日本製品への関心の高さがうかがえます。

中国国内でのEC化率

2022年のデータで、中国は世界でトップのEC化率です。

世界のEC化率ランキング

  1. 中国 45.3%
  2. イギリス 35.9%
  3. 韓国 30.1%

日本は12.9%であり、中国は日本の約4倍です。この数字からも中国市場の規模の大きさが感じ取れます。

市場が拡大している主な要因は、ネットユーザー数の増加といわれています。

2022年時点のネットユーザー数は10億7,800万人で世界トップ、2位のインド6億5,100万人と比べてもずば抜けて高いネット利用数です。

EC市場が拡大しているほかの要因としては、中国国内の中流階級や富裕層の増加に伴う消費の拡大や、共働き夫婦や子育て世代によるネット利用の普及、ECサイトの利便性向上、物流の発達による配送時間の短縮などが挙げられます。

中国ECを牽引する3大企業

中国のEC市場では、アリババ・京東・ピンドゥドゥの3大企業が市場を牽引しています。

ECサイト 運営母体 特徴 市場規模について
天猫国際(Tmall Global) アリババグループ 中国最大の越境ECサイト。商品の仕入れから販売までを手がけるB2B2C型と、企業が自ら出店して販売するB2C型を組み合わせてECサイトを運営しています。 2017年のシェアが61.2%だったのに対し、2022年には42.7%まで減少しています。
京東国際(JD Worldwide) 京東商城グループ B2B2C型とB2C型を組み合わせたECサイトを展開し、スピーディーな配送や正規品の保証など、多くの利用者から支持を集めています。 シェアは20.0%と天猫の半数以下ですが、着実にシェアを伸ばしています。
拼多多(Pinduoduo) Pinduoduo 2015年に開始した共同購入サービス。2020年12月末時点での利用者数が7億8,800万人と発表され、初めてアリババを抜いて1位になったようです。(取引高はアリババが1位。) シェアは15.5%。

中国におけるECを象徴するライブコマース

中国EC市場が注目を集めるポイントの1つに、ライブコマースがあります。

ライブコマースは、ライブ配信とEコマース(電子商取引)を組み合わせた新しい販売方式で、インフルエンサーが動画中継で商品を紹介し、視聴者がその配信を視聴しながら商品を購入できる仕組みを指します。

売上上位ジャンルは、レディースアパレル、食品、バック類の順に高く、購入する理由は価格の安さや限定セールなど、通常よりもお得に購入できることが魅力となっています。

EC市場促進を後押ししたキャッシュレス決済

中国は、キャッシュレス決済の普及が早かった国の1つです。その背景には、クレジットカードの普及率の低さやスマートフォンの急速な普及などがあります。

中国では与信調査が厳しく、クレジットカードの取得が難しいため、現金以外の決済手段としては銀行でのデビットカードが主流でした。

しかし、導入コストが低いキャッシュレス決済手段としてモバイル決済がスタートすると、その手軽さや利便性がヒット。さらに、大規模なキャンペーンによるクーポンや割引、キャッシュバックなどが提供されたことで、爆発的に広がっていきました。

この結果、ECサイトにおける決済にもスムーズに対応できる基盤が築かれ、EC市場の拡大が後押しされました。

出典:

令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

世界のインターネットユーザー数 国別ランキング・推移|GLOBAL NOTE

ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 |ジェトロ

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中国向け越境ECでチェックすべき法律等の規制

越境ECで注意すべき法律や規制は多岐にわたるため、自社で対応する場合は1つずつ正確に理解して進めることが必要です。

電子商務法(電商法)について

中国向けの越境ECで最低限、確認すべき規制は「電子商務法(電商法)」です。

2019年に施行された比較的新しい規制で、消費者保護・知的財産保護を目的としています。中国国外のEC事業者も対象となり、代理購入など、社会問題化している不当な競争を防ぐことで、中国の経済を守っています。

化粧品規制強化について

2021年1月に発効した「化粧品監督管理条例」により、化粧品の成分表示が変更され、含有量が多い成分から順に表示されることが義務づけられました。この規制は2023年5月1日以降に適用され、適合しない場合、中国市場での一般貿易販売が禁止されます。

さらに、2024年1月から施行される「化粧品ラベル管理弁法」では、化粧品のラベルにおいて、成分を0.1%単位で含有量の多い順に表示することが義務づけられています。

これらの規制は、コスト圧迫と技術流出が懸念され、日本企業の中国参入のハードルをより高くしました。

出典:中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る|ジェトロ

【事例】中国向け越境ECを展開している日本企業

中国EC市場で人気を博している日本企業を数社紹介します。成功したポイントを参考に、中国市場での自社の強みの検討に活かしていきましょう。

ユニクロ

ユニクロは、中国市場での成功が際立つ日本企業の1つです。2002年に上海に進出し、2022年末には897店舗を展開しています。中華圏での営業利益が海外事業全体の約53%を占め、その収益力は非常に高いのが特徴です。

ユニクロは中国市場でのEC販売を強化し、天猫国際や海囤全球などのプラットフォームにも出店。同社は中国の消費者の需要を把握し、人気商品やサイズ展開を充実させることで、多くの中国消費者を獲得しています。

資生堂

資生堂は、中国越境EC市場で著しい成功を収めています。天猫国際を活用し、自社ブランドの化粧品やスキンケア商品を中国の消費者に販売しています。

さらに中国向けに独自の商品開発を行い、消費者ニーズに適した戦略を展開し、一躍有名になりました。

中国向け越境ECに参入・出店する方法

中国のEC市場に参入する方法と、参入までの準備手順を紹介します。

中国EC市場への参入方法

  1. モール(第三者プラットフォーム)への参入
    最も一般的な方法が、アリババなどのモールに出店する方法です。中国では既存のプラットフォームの影響力が強く、集客力もあるため、まずはモール出店が無難です。越境ECにおすすめのモールは後述します。

  2. 自社サイトを立ち上げる
    中国ではモールでの販売が一般的ですが、一部の成功例も出始めています。モールで販売されていない商品や難しい商品は自社サイトで挑戦することもよいでしょう。ただし、中国国内でECサイトを運用するには ICPライセンス取得など高いハードルがあるため、香港などにサーバーを置くのが賢明かもしれません。

  3. 卸売りする
    中国の現地企業や越境EC店舗などに商品を卸して販売する方法です。リスクは低いですが、魅力的な商品でないと卸し先が見つかりにくい点や、卸価格の交渉や広告費の負担もあります。また、卸し先が見つかっても、契約が伸びないことや価格競争に巻き込まれるリスクも懸念点です。直営店に卸すことで大規模な取引が見込むことができます。

  4. CtoCとして出品
    モールへの出店は時間やコスト、人的リソースが多く必要なため、手軽に試したい場合には「淘宝網(タオバオ)」などに出品することも1つです。淘宝網はCtoCサイトであり、出店には中国現地の住所や銀行口座が必要ですが、手間や費用は比較的少なく、多くの企業が利用しています。

  5. WeChatミニプログラム
    中国で最も利用されているアプリであるWeChat内に店舗を構える方法です。比較的簡単に店を構築し、出品することができ、決済もWeChat Payが最初から備わっています。ただし、知名度が低いブランドの場合、集客は非常に難しく、相応の手間と費用が必要になります。

中国EC市場への参入準備

越境ECを開始するには、慎重な準備が必要不可欠です。トラブルを回避し、売上を増やすために、順を追って進めましょう。

  1. 越境ECで販売する商品の検討
    まずは販売商品を検討しましょう。日本と中国は文化や好みが異なるため、現地向けにカスタマイズしたり、問題のあるデザインがないか確認したりする必要があります。また、すでに中国市場で販売されている類似商品の動向もチェックしながら検討しましょう。

  2. 法律等の規制の確認
    中国における関税や法律を確認しましょう。関税が高い商品は越境ECに適していない可能性がありますし、法律で輸入が禁止されている商品も販売できません。

  3. 中国語ができるスタッフの確保
    自動翻訳機能があっても、問い合わせ対応は現地の言葉または中国語で行う必要があります。トラブルが生じた際には、複雑なやり取りが発生する可能性もあるため、言語力のあるスタッフを育成・採用することが重要です。

出店に関する注意事項

どの方法でEC市場へ参入する場合でも注意すべきことは多々ありますが、代表的なものが関税です。

中国における越境ECでは、「行郵税」と「越境EC総合税」の2種類の関税があります。

行郵税は、個人向けの荷物を送る際にかかる税金であり、日本からEMSなどの国際宅急便で中国の消費者に直接配送する際に「輸入時」に納付されます。品目ごとに税率が決められています。

越境EC総合税は、中国保税倉庫を利用して商品を保管・発送する際にかかる税金です。注文ごとに通関手続きを行って出荷するモデルで、行郵税と比べると、税金が安いものの利用条件が厳しい特徴があります。

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中国向け越境ECにおすすめECサイト・モール

中国EC市場に参入する方法を前のパートで解説しましたが、日本企業がモール(第三者プラットフォーム)へ参入する場合のおすすめのサイトを紹介します。

Tmall.com(天猫)

2013年にアリババによって立ち上げられた越境EC専門のモールです。中国では、アリババグループが2003年に立ち上げたC2Cのマーケットプレイス「淘宝網(タオバオ)」と、B2Cの「天猫(Tmall)」の2つのモールがあります。中国国内のECサイト利用率ランキングでは、堂々1位で知名度のあるモールです。

資生堂や花王などの日本企業も出店、2021年のアクティブユーザー数は9億7900万人と中国国内のオンラインユーザーのほとんどが利用している大型モールです。11月11日のセール「W11」は国内外で注目され、日本企業も毎回ランキングに登場し、日本商品には高い需要があります。世界中のブランドや店舗が出店しているため、ユーザーも多いですが、競争も激しい環境です。

京東国際(JD Worldwide)

京東(ジンドン)は、中国第2位のECモールであり、越境ECにも力を入れています。2021年のアクティブユーザー数は約5億7000万人で、1年間で1億人近く増加しました。

京東はもともと家電製品の販売に力を入れており、主に男性ユーザーが利用しています。注目のセールは、京東の創業記念日に行われる「618」です。天猫のW11と並ぶほどの人気で、話題となります。現在は家電、化粧品が中心に取り扱われているので、自社商品とマッチするか確認しましょう。

拼多多(Pinduoduo)

拼多多は、共同購入という仕組みが特徴で、複数のユーザーが一緒に購入することで商品の価格を引き下げて販売するシステムで価格の安さがポイントです。

開店コストやランニングコストが安価に設定されており、大規模な宣伝費用が不要というメリットがあります。薄利多売で利益を得やすい販売スタイルの企業に適しており、食品など共同購入しやすい商品が多いモールです。

考拉海購(Kaola)

2015年に開設され、2019年にアリババ傘下となったモールです。企業から正規の製品を直接仕入れる「直営モデル」が特徴で、約80ヶ国以上、約10,000を超えるブランドが販売されており、日本からも多くの企業が出店しています。

日本法人でも出店可能で、日本の銀行口座に日本円で入金できるのもポイント。日本向け商品を多く扱っており、メインジャンルは、化粧品、健康食品、ファッションなど女性向け用品、化粧品、マタニティ用品、日本の特産品です。

中国向け越境ECで売れ筋の日本商品は?

中国のEC市場で人気のある日本製品ですが、どのようなジャンルに人気があり、なぜ日本の製品が中国で好まれているのでしょうか。

中国のEC市場は大きいとはいえど、なんでも売れるわけではありません。売れ筋商品を学び、展開商品の検討の参考にしてください。

中国で売れている日本の商品ジャンル

ジェトロが2018年に行った「中国の消費者の日本製品等意識調査」によると、日本から越境ECで何を購入したかの問いに対し、以下の結果が得られています。

  1. 基礎化粧品
  2. メイクアップ化粧品
  3. 食品
  4. 漫画・アニメ
  5. フェイスケア用品
  6. 衣類・ファッション(アパレル)

化粧品は、日本メーカーが中国向けに開発した製品を販売したり、個人が輸出する機会も増えていることからも、化粧品ジャンルの人気がうかがえます。

なぜ日本製の製品が愛されているのか

日本の商品を購入する理由は、以下の通りです。

  • 中国内では店頭で販売されていない製品である
  • 正規品等、信頼できる
  • 高品質である

このことから商品のオリジナリティや日本限定等の「プレミアム感」をいかに出せるかが、中国における越境EC成功のポイントといえるでしょう。

出典:中国の消費者の日本製品等意識調査|ジェトロ

中国への越境ECをサポートしてくれる事業者はECのミカタで見つかる◎

中国における越境ECはその市場規模や日本製品への信頼の強さから、今後も大きく拡大していく市場と考えられます。しかし、日本のECとは異なる法律や規制、ECの常識や文化も異なる中で成功を収めるのは容易ではありません。

たとえば越境ECの配送は、配送コストを抑えつつ長時間の配送に耐えられる厳重な梱包が求められます。国内配送の商品とは、重視すべきポイントが異なるのです。

したがって、現在日本でEC事業を展開している事業者でも、海外向けの発送のために新たに物流倉庫を探す必要や、場合によっては越境ECに精通した運営代行会社を利用する必要が出てきます。

中国での越境ECと国内のECでは、常識が全く異なるため、社内の知見を増やすためにも、事業を軌道に乗せるためにも、EC運営代行や海外発送代行を利用するのをおすすめします。

ECのミカタでは、最適な物流倉庫やECサイトの運営代行会社など、中国越境EC運営をサポートしてくれるパートナー企業をご紹介するサービスを提供しています。専門コンシェルジュが事業内容や要望を丁寧にヒアリングし、あなたに最適な会社を無料でご紹介します。

越境ECにおける物流や運営に悩んでいる方は、ぜひご相談くださいね。

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