経済産業省が海外からの直販製品に“措置”準備へ 「消費生活用製品安全法」等改正法律案

ECのミカタ編集部

海外から直接販売される製品の中には、国内の法規制から外れているものもある。2024年3月1日、消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案が閣議決定された。インターネット取引の拡大に関連法がどのように改正されるか押さえ、EC事業者にどんな影響が及びそうかチェックしておきたい。

「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」とは?

この法案における「消費生活用製品安全法等」とは、以下の4つの法律を指す。

・消費生活用製品安全法(消安法)
・ガス事業法(ガス事法)
・電気用品安全法(電安法)
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)

これらの法律の一部を改正する法律案が、2024年3月1日に閣議決定された。今後、第213回の通常国会へ提出される予定。

本法律案ができた背景には、インターネット取引の拡大がある。国内の消費者が国内外のオンラインショップから製品を購入する機会が増大しており、海外から直接販売される製品の安全確保を急がなければならない。

とくに注意したいのが子ども用の玩具による事故だ。誤嚥による窒息など痛ましい事故の未然防止を通じ、国内の消費者が製品を安全に使用できる環境を整備するため、今回の措置が講じられた。

インターネット取引の拡大への対応

海外事業者が国内事業者にECモールなどを通じて直接製品を販売する場合、製品の安全性に、とくに法的な責任を有する者が存在しない。この課題に対処するため、主に以下のような措置が講じられる。

1 国内管理人の選任
国内へ直接販売を行う海外事業者を、製品安全関連法である消安法、ガス事法、電安法、液石法において届出を行える事業者として明確化し、規制の執行を担保するために、国内管理人の選任を求める。

2 出品削除要請を可能に
国内消費者に危険が及ぶ恐れがある製品を販売し、かつ出品者によってリコールなどの適切な措置が講じられることが期待できないときは、当該製品の出品削除を要請できるようになる。

3 届出事項の公表制度の創設
届出事業者の氏名や特定製品の形式の区分、国内管理人の氏名等を公表する制度を創設する。

4 違反事業者を公表
法律に違反する行為を行った事業者の氏名等を公表する制度を創設する。

玩具等の子供用の製品の安全確保への対応

子ども用の製品についてはとくに事故の未然防止が必要との観点から、消安法において以下の措置が講じられる。

1 製造・輸入業者に技術基準への適合や警告表示を求める
玩具など、主に子どもの生活のために使うものとして対象年齢や使用上の注意を表示することが必要な製品(子供用特定製品)について、その製造・輸入事業者に対し、日本が定める技術基準への適合と、対象年齢・使用上の注意の警告表示等を求める。

2 中古品販売の特例
子供用特定製品の中古品について、国内消費者への注意喚起、安全確保のための体制整備等を条件に販売を可能とする特例を講ずる。

まとめ

以上の法案はまだ閣議決定段階であり、施行は未定だ。しかしオンラインによる取引がグローバル化している現代において、何らかの措置が必要であることは間違いないだろう。

EC事業者としては、消費者が海外製品をスムーズに購入できるよう利便性を高めるとともに、規制についても意識していきたい。とくに子ども向けの海外製品について、これまで以上に注意が必要になるだろう。

出典元:「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(経済産業省)


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